東京都教育委員会は、2026年度(令和8年度)都立高校入試における「文化・スポーツ等特別推薦」の実施内容を公表しました。この記事では、その中からバレーボール(男女)の推薦実施校・募集人数・前年倍率のデータを整理し、
- どの高校で
- どのくらいの募集があり
- どれくらいの倍率だったのか
を、なるべく一目でわかる形でまとめていきます。
<参考リンク>令和8年度東京都立高等学校入学者選抜実施要綱・同細目について
都立高校のバレーボール推薦はどんな入試?
「文化・スポーツ等特別推薦」は、都立高校ごとの特色を生かしつつ、文化・スポーツなど特定分野で優れた力を持つ生徒を評価して選抜する制度です。バレーボール部での実績や技術、チームへの貢献度などをもとに選抜される推薦も、この枠に含まれます。
各校は独自の選抜基準を持っており、「基準を満たしている=必ず合格」ではない点が、内申点中心の一般推薦との大きな違いです。
- 同じ高校の一般推薦との併願も可能(その場合は両方の検査を受ける)
- 応募資格は一般推薦と同じく、在籍中学校長の推薦が必要
- 特別推薦で不合格でも、同じ高校を学力検査(一般入試)で再受験することは可能
(推薦で出願していたことが有利になることはありません)
バレーボール(女子)|文化・スポーツ等特別推薦 実施概要(2026年度)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 実施校数 | 22校(前年 ▲3校) |
| 募集人数 | 62人(前年 ▲6人) |
| 願書受付期間 | 2026年1月9日(金)〜16日(金) |
| 実技検査日 | 2026年1月26日(月)・27日(火) |
| 合格発表日 | 2026年2月2日(月) |
| (参考)2025年度募集校・人数 | 25校・68人 |
| (参考)2025年度応募人数 | 116人 |
| (参考)2025年度応募倍率 | 1.71倍 |
2026年度の女子バレーボール推薦は、募集人数が前年よりやや縮小しつつも、都内各エリアにまんべんなく枠が配置されています。普通科・総合学科・専門学科まで幅広いタイプの都立で実施されており、「都立でバレーを続けたい」受験生にとって、依然として主要な選択肢になっています。
バレーボール(男子)|文化・スポーツ等特別推薦 実施概要(2026年度)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 実施校数 | 6校(前年+1校) |
| 募集人数 | 17人(前年+2人) |
| 願書受付期間 | 2026年1月9日(金)〜16日(金) |
| 実技検査日 | 2026年1月26日(月)・27日(月) |
| 合格発表日 | 2026年2月2日(月) |
| (参考)2025年度募集校・人数 | 5校・15人 |
| (参考)2025年度応募人数 | 37人 |
| (参考)2025年度応募倍率 | 2.47倍 |
男子は6校・17人と母数は少ないものの、平均応募倍率は女子より高く、例年2〜3倍台の“ピンポイント激戦”になりやすいのが特徴です。
女子バレーボール推薦実施校の募集一覧(2026年度)
2026年度の女子は、3〜4人募集が中心で、一部に2人募集・1人募集の高校がある構成です。
※以下の倍率はすべて2025年度実績(参考)です。
- 応募倍率 = 応募人数 ÷ 募集人数
- 合格倍率 = 応募人数 ÷ 合格人数(全員合格の高校は1.00倍として記載)
| No. | 高校名 | 所在地 | 2026年度 | 2025年度 | |||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 募集人数 | 前年比 | 応募人数 | 応募倍率 | 合格倍率 | |||
| 1 | 青梅総合高校 | 青梅市 | 4人 | +1人 | 5人 | 1.67倍 | 1.67倍 |
| 2 | 向丘高校 | 文京区 | 4人 | – | 6人 | 1.50倍 | 1.50倍 |
| 3 | 府中東高校 | 府中市 | 4人 | – | 6人 | 1.50倍 | 1.50倍 |
| 4 | 千早高校 | 豊島区 | 4人 | – | 5人 | 1.25倍 | 1.25倍 |
| 5 | 府中高校 | 府中市 | 3人 | – | 9人 | 3.00倍 | 3.00倍 |
| 6 | 高島高校 | 板橋区 | 3人 | – | 8人 | 2.67倍 | 2.67倍 |
| 7 | 田無高校 | 西東京市 | 3人 | – | 8人 | 2.67倍 | 2.67倍 |
| 8 | 日野高校 | 日野市 | 3人 | – | 7人 | 2.33倍 | 2.33倍 |
| 9 | 小川高校 | 町田市 | 3人 | – | 2人 | 0.67倍 | 2.00倍 |
| 10 | 足立新田高校 | 足立区 | 3人 | – | 5人 | 1.67倍 | 1.67倍 |
| 11 | 文京高校 | 豊島区 | 3人 | – | 5人 | 1.67倍 | 1.67倍 |
| 12 | 江戸川高校 | 江戸川区 | 3人 | – | 5人 | 1.67倍 | 1.67倍 |
| 13 | 福生高校 | 福生市 | 3人 | – | 5人 | 1.67倍 | 1.67倍 |
| 14 | 城東高校 | 江東区 | 3人 | – | 2人 | 0.67倍 | 1.00倍 |
| 15 | 石神井高校 | 練馬区 | 2人 | – | 6人 | 3.00倍 | 3.00倍 |
| 16 | 足立西高校 | 足立区 | 2人 | – | 5人 | 2.50倍 | 2.50倍 |
| 17 | 葛飾総合高校 | 葛飾区 | 2人 | – | 4人 | 2.00倍 | 2.00倍 |
| 18 | 練馬高校 | 練馬区 | 2人 | – | 4人 | 2.00倍 | 2.00倍 |
| 19 | 墨田川高校 | 墨田区 | 2人 | – | 3人 | 1.50倍 | 1.50倍 |
| 20 | 保谷高校 | 西東京市 | 2人 | – | 3人 | 1.50倍 | 1.50倍 |
| 21 | 東大和高校 | 東大和市 | 2人 | – | 2人 | 1.00倍 | 1.00倍 |
| 22 | 豊多摩高校 | 杉並区 | 2人 | – | 1人 | 0.50倍 | 1.00倍 |
※2025年度に女子バレー推薦を実施していた杉並総合高校・美原高校・武蔵村山高校は、2026年度は女子バレーの特別推薦を行っていません。
上の一覧から分かる通り、3〜4人募集+2人募集が少数という「少人数枠」が中心で、応募倍率の振れ幅がかなり大きいのが女子バレー推薦の特徴です。募集3人に対して9人前後集まる高校もあれば、定員割れに近い高校もあります。
男子バレーボール推薦実施校の募集一覧(2026年度)
男子は6校・17人募集とコンパクトですが、上位校では毎年2〜5倍前後の倍率になる傾向があります。
※倍率の定義は女子と同様です。
| No. | 高校名 | 所在地 | 2026年度 | 2025年度 | |||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 募集人数 | 前年比 | 応募人数 | 応募倍率 | 合格倍率 | |||
| 1 | 東大和高校 | 東大和市 | 2人 | – | 10人 | 5.00倍 | 5.00倍 |
| 2 | 足立新田高校 | 足立区 | 4人 | – | 11人 | 2.75倍 | 2.75倍 |
| 3 | 上野高校 | 台東区 | 3人 | – | 7人 | 2.33倍 | 2.33倍 |
| 4 | 小川高校 | 町田市 | 3人 | – | 6人 | 2.00倍 | 2.00倍 |
| 5 | 深沢高校 | 世田谷区 | 3人 | – | 3人 | 1.00倍 | 1.00倍 |
| 6 | 永山高校 | 多摩市 | 2人 | +2人 | – | – | – |
男子は東大和・足立新田が突出して人気で、特に東大和は5.00倍と、バレーボール推薦全体の中でもトップクラスの倍率となっています。
昨年度(2025年度)応募倍率が高かった主な高校
2025年度実績で、応募倍率が高かった高校を女子・男子に分けてピックアップしてみます。
女子バレーボール
| 高校名 | 所在地 | 募集人数 | 応募人数 | 応募倍率 | 合格倍率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 府中高校 | 府中市 | 3人 | 9人 | 3.00倍 | 3.00倍 |
| 石神井高校 | 練馬区 | 2人 | 6人 | 3.00倍 | 3.00倍 |
| 高島高校 | 板橋区 | 3人 | 8人 | 2.67倍 | 2.67倍 |
| 田無高校 | 西東京市 | 3人 | 8人 | 2.67倍 | 2.67倍 |
| 足立西高校 | 足立区 | 2人 | 5人 | 2.50倍 | 2.50倍 |
| 杉並総合高校 | 杉並区 | 2人 | 5人 | 2.50倍 | 2.50倍 |
| 日野高校 | 日野市 | 3人 | 7人 | 2.33倍 | 2.33倍 |
いずれも、
- これまでの大会成績が一定以上ある
- 練習環境や指導体制が整っている
- 地域での認知度が高く、「バレーで入りたい都立」として名前が挙がりやすい
といった共通点を持つ“人気ゾーン”の高校です。別記事で紹介している👉都立高校女子バレーボール部強豪TOP10に含まれている高校も多いですが、募集人数が2〜3人と少ない学校も多く、実技検査での細かな差がそのまま合否に直結するレベルの競争になっています。
【注】杉並総合高校は2026年度は女子バレーボール部の推薦入試を行っていません。
男子バレーボール
男子は実施校が少ない分、「この学校でバレーをやりたい」層の志願が集中しやすい構造です。東大和の5倍は、他競技を含めてもかなり高めの水準と言えます。
昨年度(2025年度)応募倍率が低かった主な高校
一方で、応募倍率が低めだった高校もあります。
女子バレーボール
| 高校名 | 所在地 | 募集人数 | 応募人数 | 応募倍率 | 合格倍率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 広尾高校 | 渋谷区 | 3人 | 1人 | 0.33倍 | 1.00倍 |
| 豊多摩高校 | 杉並区 | 2人 | 1人 | 0.50倍 | 1.00倍 |
| 葛飾総合高校 | 葛飾区 | 2人 | 4人 | 2.00倍 | 2.00倍 |
| 小川高校 | 町田市 | 3人 | 2人 | 0.67倍 | 2.00倍 |
| 城東高校 | 江東区 | 3人 | 2人 | 0.67倍 | 1.00倍 |
| 東大和高校 | 東大和市 | 2人 | 2人 | 1.00倍 | 1.00倍 |
これらの高校では、
- 地域の競技人口や通学圏の事情で、そもそも志願者が多くない
- 豊多摩や城東のように高いレベルで文武両道を目指す高校の場合、一般推薦・学力試験を受ける傾向がある
- まさにこれから実績を積み上げていく“成長中のチーム”
といった背景が想定されます。「倍率を抑えつつ、都立でバレーも勉強も続けたい」という受験生にとっては、現実的で検討価値の高い選択肢になり得ます。
男子バレーボール
男子は実施校が少ないため“低倍率組”は多くありませんが、深沢高校(世田谷区:3人募集・応募3人・1.00倍)のように、定員ちょうどの応募で落ちる人が出なかったケースもあります。
都立高校バレーボール推薦の地域別傾向
バレーボール推薦をエリア別に眺めると、おおまかに次のような傾向があります。
| 地域 | 主な高校(男女) | 特徴 |
|---|---|---|
| 23区東部(江東・江戸川・葛飾・足立・墨田など) | 足立新田・城東・小岩・江戸川・葛飾総合・墨田川 など | ミニバスやクラブ出身者が多く、基本技術+ゲームの実戦力を重視。男女とも倍率は校ごとのバラツキが大きい。 |
| 23区西部(練馬・中野・杉並・文京・豊島 など) | 高島・練馬・向丘・文京・千早・豊多摩 など | 「学力と部活の両立」を志望する層が多く、1.5〜2.5倍程度の安定した倍率になりやすい。 |
| 多摩地域(府中・日野・八王子・福生・東大和・町田 など) | 青梅総合・府中・府中東・日野・福生・東大和・小川・永山 など | 中学からの継続組が集まり、女子は2倍前後、男子は東大和など一部で高倍率。地域密着の“部活重視”志向が強いエリア。 |
| その他のエリア(台東・世田谷・目黒 など) | 上野・深沢 など | 通学しやすさや校風で選ぶ受験生が多く、男子は2〜3倍前後、女子は1〜2倍台で推移することが多い。 |
同じ「バレーボール推薦」といっても、
- 都大会上位〜関東大会を本気で狙う“競技レベル重視”エリア
- 文武両道や通学圏とのバランスを意識する“地域密着型”エリア
にざっくり分かれているイメージです。志望校を絞るときは、倍率だけでなく、どの地域で3年間を過ごしたいかも合わせて考えておくとミスマッチを防ぎやすくなります。
都立高校バレーボール推薦の実技検査と選抜基準(2026年度)
1.主な実技検査内容の傾向
バレーボールの文化・スポーツ等特別推薦では、実技検査が合否の中核になります。公開されている検査内容例を整理すると、主な評価ポイントは次の通りです。
① 基礎技術(ボールコントロール)
- アンダーハンドパス・オーバーハンドパス
- 対人パス、トス(2段トスを含む)
- サーブ、サーブレシーブ
- スパイク、スパイクレシーブ、ブロック など
② ポジション別の専門技能
- セッター:トスワーク・2段トス・判断力
- アタッカー:助走からのスパイク・コース打ち
- リベロ:レシーブ・サーブカット・守備範囲
一部の高校では、ポジションごとに配点を変えると明記されている場合もあります。
③ フィジカル・運動能力
- 9m×3往復ダッシュや折り返し走
- 垂直跳び・ブロックジャンプ
- アジリティ(レーン走) など
身長やジャンプ力だけでなく、素早いフットワークや持久力も評価対象です。
こうした検査は、「基本技術ができるか」だけでなく、試合でどれだけ動き続けられるか/チームの中でどんな役割を担えるかを総合的に見るものだと考えておくとイメージしやすいです。
<参考リンク>文化・スポーツ等特別推薦の実技検査の内容等一覧
2.選抜基準のタイプ別傾向(バレーボール)
公表されている基準文を整理すると、バレーボール推薦の選抜基準は大きく次の3タイプに分けられます。
① 実績重視型(競技力最優先)
- 「女子バレーボール部やクラブチームに3年間所属し、都大会・ヤングクラブでレギュラーとして活躍した者」
- 「都大会出場レベル、あるいはそれに準ずる競技力を有する者」
- 「公式戦で中心選手として顕著な成績を収めた者」 など
都大会ベスト16・ベスト8、関東大会出場など、高い数値目標を掲げる部活ほど、このタイプの文言が多く見られます。
② バランス型(技術+学業+生活態度)
- 「中学校3年間、部活動やクラブチームに継続して所属し、学業と両立できる者」
- 「入学後も3年間バレーボール部に所属し、学習活動と両立することができる者」
- 「学校生活のルールを守り、文武両道を実践できる者」
“そこそこ競技レベルは高いが、勉強も手を抜かない層”と相性が良い基準です。都立の女子・男子バレー推薦校の多くが、このタイプの文言を含めています。
③ 人間性重視型(リーダーシップ・チーム貢献)
- 「HR活動や学校行事でリーダーシップを発揮できる者」
- 「学校生活全般で他の生徒の模範となれる者」
- 「3年間中心となって部活動を引っ張る強い意志のある者」
こうした基準では、多少実績に差があっても、練習態度・チームワーク・人柄が高く評価されるケースがあります。
「キャプテンや副キャプテンを務めた」「チームをまとめるのが得意」といった生徒はアピール材料になりやすいタイプです。
<参考リンク>令和8年度文化・スポーツ等特別推薦実施校の選抜方法等一覧
3.今後3年間のチーム目標と、受験生が意識したいこと
各校のバレーボール部が掲げている今後3年間の数値目標をまとめると、次のようなワードが頻出します。
- 東京都大会ベスト32・ベスト16・ベスト8
- 関東高等学校バレーボール大会出場
- 都立大会・公立校大会での優勝・上位進出
- インターハイ東京都予選でのベスト16以上 など
ざっくり言えば、「都大会で安定して勝ち上がり、3年間で関東・全国の舞台を狙う」というのが、多くの都立バレーボール部の共通イメージです。
受験生側から見ると、
- 現時点の実力が、その“目標ライン”にどのくらい届いているか
- 3年間でそこまで成長できるだけの伸びしろと継続力をアピールできるか
がポイントになってきます。
バレーボール推薦は「技術+チームワーク+継続力」の総合勝負
2025年度実績では、
- 女子:平均応募倍率 1.71倍
- 男子:平均応募倍率 2.47倍
と、競技人口の違いもあって男女で雰囲気は少し異なりますが、共通しているのは、
- 基礎技術+ポジション別スキル
- 試合での判断力・チームワーク
- 学業・生活態度・リーダーシップ
- 3年間部活をやり切る継続力
といった要素をトータルで評価される入試だということです。
志望校を検討するときは、倍率の数字だけでなく、
- チームの目標(都大会/関東/全国、どこを目指しているか)
- 練習環境や指導体制、部の雰囲気
- 自分の学力・通学圏・将来の進路
を合わせて考え、「ここで3年間やり切りたい」と思える都立高校を選んでいきましょう。
<参考リンク>
令和8年度東京都立高等学校入学者選抜実施要綱・同細目について
令和8年度文化・スポーツ等特別推薦実施校の選抜方法等一覧
文化・スポーツ等特別推薦の実技検査の内容等一覧





