剣道部が強い都立高校はどこ?都立高校強豪剣道部TOP10を男女別にご紹介

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東京都の高校剣道界は、歴史ある強豪私立校と挑戦者としての都立高校の攻防が続く独特の世界です。男子は私立校の壁が厚く、女子は一部の都立校が健闘するという対照的な構図が見られます。

限られた環境のなかでも工夫と情熱で私立名門校に挑み続ける都立高校剣道部の姿は、東京高校剣道の多様性と層の厚さを物語っています。伝統の強豪校が君臨する中で、都立高校がどのようにして自らの道を切り開いているのか、男女それぞれの競技環境を見ていきましょう。

目次

都立高校の剣道部が参加する各種トーナメント

東京都内の高校剣道部が参加する大会は複数ありますが、東京都を超えて関東や全国につながる大会は、主に以下の大会が挙げられます。

  • 東京都高等学校春季剣道大会 兼 関東大会東京都予選会
  • 全国高等学校剣道大会 東京都予選会(インターハイ)
  • 国民スポーツ大会(少年の部)
  • 東京都高等学校秋季剣道大会(1部・2部)
  • 東京都高等学校新人剣道大会

これらに加え、東京では都立高校のみ参加する大会や地域ごとの大会もあります。

剣道は個人戦、団体戦が行われますが、学校全体の競技力を正確に評価するため、下記の大会の団体戦の成績を調査しました。調査対象は、2021年から2024年(2025年4月時点)の以下4大会における結果です。

  1. 関東大会東京都予選会|団体
  2. 全国高等学校剣道大会 東京都予選会|団体
  3. 東京都高等学校秋季剣道大会|団体(1部・2部)
  4. 東京都高等学校新人剣道大会|団体

各大会の形式や規模がおおよそ一致している1.2.3.の大会、都立高校のみが参加のため競技レベルが少し落ちる4.の大会において、順位に対するポイントを制定しました。

<1.2.4の大会>

  • 優勝、準優勝:30点、ベスト4:20点、ベスト8:15点、ベスト16:10点、ベスト32:5点

<3.の大会(1部・2部と分かれている)>

  • 1部:上記1.2.4の大会と同じ、2部:ベスト8以上:一律2点

剣道は競技人口が多く、男女とも盛んな競技であり、都立高校においてスポーツ推薦制度を導入している高校もあります。各校の剣道部の運営方針は多様で、選手育成重視の学校もあれば競技成績重視の学校もあります。

各大会に臨むそれぞれの高校の思惑もありますが、ある程度総合的な学校の競技力を反映した、各校の現在の競技レベルを客観的に評価することを目的とし、下記にランキング化しました。

都立高校強豪剣道部 TOP10【男子】

高校名市区町村ポイント
(2021~2024)
備考
1位青梅総合高校青梅市140pt・インターハイ予選ベスト16(2021)
・スポーツ推薦あり(男女問わず6人)
・Sport-Science Promotion Club指定
2位上水高校武蔵村山市125pt・秋季剣道大会1部ベスト8(2021)
・スポーツ推薦あり(男女問わず4人)
・普通科単位制高校
3位八王子東高校
※紹介記事はこちら
八王子市110pt・都ベスト16の常連
・進学指導重点校/GE-NET20/理数研究校
(ー)富士高校中野区85pt・インターハイ予選ベスト8(2021~2023)
・高校時入学はなく、中高一貫
4位多摩工科高校福生市65pt・秋季大会1部優勝(2022)
・スポーツ推薦あり(男女問わず5人)
・全日制工科高校
5位光丘高校練馬区55pt・インターハイ予選ベスト8(2022)
・スポーツ推薦あり(男3,女3)
・スキルアップ推進校/DXハイスクール指定
6位松が谷高校八王子市45pt・スポーツ推薦あり(男女問わず2人)
・英語教育研究推進校/進学指導研究校
7位(同率)篠崎高校江戸川区30pt・新人剣道大会ベスト16(2024)
・スポーツ推薦あり(男女問わず6人)
・地域探究推進校/海外学校間交流推進校
7位(同率)鷺宮高校中野区30pt・関東大会予選ベスト16(2022)
・スポーツ推薦あり(男女問わず3人)
・国際交流リーディング校/海外学校間交流推進校
9位日比谷高校
※紹介記事はこちら
千代田区25pt・関東大会予選ベスト16(2023)
・進学指導重点校/SSH/GE-NET20指定校
10位国立高校
※紹介記事はこちら
国立市20pt・秋季剣道大会1部ベスト16(2021)
・進学指導重点校/理数研究校/英語教育研究推進校

東京都の高校男子剣道界では、郁文館、明大中野、足立学園、正則学園、東海大菅生、東海大高輪台、国士舘などの私立強豪校が長年にわたり上位を独占しています。都立高校の男子剣道部はこうした私学の壁に阻まれ、なかなか全国大会や関東大会といった上位大会への進出が難しい状況が続いています。

しかし、そんな厳しい環境の中でも、青梅総合、八王子東、富士など一部の都立高校は独自の工夫と地道な努力で着実に力をつけ、時には都大会でベスト16や8に進出するなど、着実に実績を積み上げています。限られた環境と資源の中で、都立高校ならではの強みを生かした剣道部の挑戦が続いています。

都立高校強豪男子剣道部 TOP3を詳しく紹介

【No.1】青梅総合高校(青梅市) ※スポーツ推薦あり(男女問わず6人)

2024年度2023年度2022年度2021年度
春季剣道大会
(関東大会予選)
ベスト32ベスト16ベスト16ベスト16
全国高校剣道大会
(インターハイ予選)
ベスト16ベスト16ベスト8
秋季剣道大会1部_ベスト81部_ベスト321部_ベスト16
新人剣道大会ベスト32ベスト16ベスト16ベスト8

青梅総合高校の剣道部は、令和5年度に東京都教育委員会から「Sport-Science Promotion Club」(スポーツ特別強化指定クラブ)に選ばれました。これは、剣道の技術だけでなく、学習との両立にも力を入れている証です。

この剣道部では、「キャリア教育」を大切にしています。つまり、剣道の練習だけでなく、毎日の勉強もしっかり行うことを目標にしています。特に家で勉強する時間をきちんと確保することを大事にしています。また、東京都の代表として関東大会に出場することも目指しています。さらに、ただ勝つことだけではなく、練習や試合に取り組む姿勢を大切にして、人の命を尊重する心も育てています。

練習は平日2時間、休日2時間30分で、短い時間でも集中して取り組みます。「なぜこの練習をするのか」を考え、工夫する力も身につけています。また、礼儀や言葉遣いなども日常生活から意識しています。

指導方法としては、体罰や怒鳴ったりすることなく、理論的にわかりやすく教えています。生徒同士の暴力も禁止されています。顧問の先生と外部から来る指導者が協力して、安全に配慮した指導を行っています。

成績としては、令和5年度の東京都国公立高等学校剣道大会で男子が優勝しました。また、東京都高等学校秋季剣道大会では男子Ⅰ部でベスト8に入り敢闘賞をもらい、東京都高等学校新人剣道大会では男子がベスト16という結果を残しています。

【No.2】上水高校(武蔵村山市)  ※スポーツ推薦あり(男女問わず4人)

2024年度2023年度2022年度2021年度
春季剣道大会
(関東大会予選)
ベスト16ベスト16ベスト32ベスト16
全国高校剣道大会
(インターハイ予選)
ベスト16ベスト16ベスト32ベスト16
秋季剣道大会1部_ベスト321部_ベスト8
新人剣道大会ベスト16ベスト16ベスト8

都立上水高校の剣道部は、「剣道の理念」を大切にしながら、関東大会出場と東京都ベスト8を目指して日々稽古に励んでいます。男女ともに団体戦に出場しており、都立高校の中でも部員が多いチームとして知られています。部員たちはお互いにコミュニケーションを取りながら切磋琢磨し、成長しています。

この剣道部では、部活動だけでなく学校生活や行事にも熱心に取り組み、卒業時には「愛される人間」になることを目標にしています。技術だけでなく人間性も大切にしている部活動です。

近年の主な成績としては、令和3年度には全国高等学校剣道大会個人の部でベスト8東京都秋季大会と新人剣道大会で男子団体がベスト8に入りました。令和4年度には東京都春季剣道大会の女子個人の部で7・8位を獲得し、令和5年度には国公立剣道大会で第3位に輝いています。

最近では武蔵村山市民剣道大会で男子が1位と2位、女子が1位から3位までを独占するなど、素晴らしい成績を収めています。また東京都新人剣道大会では男子がベスト16入りを果たしました。

上水高校剣道部は多くの練成会や大会に積極的に参加しています。多摩工科高校や晴海総合高校での練成会、普及指導講習会、獨協大学高校生親善剣道大会、第5支部大会などに参加し、様々な学校と交流しながら技術を高めています。

中学生の部活動体験も受け入れており、高校生にとっても良い刺激となる「交剣知愛」(剣を交えて互いに学びあう)の場を大切にしています。

【No.3】八王子東高校(八王子市)

2024年度2023年度2022年度2021年度
春季剣道大会
(関東大会予選)
ベスト16ベスト32ベスト32ベスト16
全国高校剣道大会
(インターハイ予選)
ベスト16ベスト16ベスト16
秋季剣道大会1部_ベスト8
新人剣道大会ベスト16ベスト16ベスト32ベスト16

都立八王子東高校は、都内屈指の進学校として知られ、東京都から進学指導重点校に指定されています。そんな八王子東高校の剣道部は、「楽しく、厳しく、明るく」をモットーに活動しています。学業と部活動の両立を図りながら、「関東大会出場」という高い目標に向けて日々稽古に励んでいます。

剣道部の活動日は、火曜日から土曜日までの平日と土曜日、そして公式戦や練習試合がある日曜日です。勉強を大切にする進学校でありながら、熱心に部活動に取り組む姿勢が見られます。

近年の成績も目覚ましく、2024年4月の東京都春季剣道大会(関東大会東京都予選会)では、男女ともに東京都ベスト16に入り、シード権を維持・獲得しました。都立高校で男女ともに東京都ベスト16のシード校は、八王子東高校と上水高校の2校だけという貴重な存在です。

特に男子チームは、2024年12月の東京都国公立高等学校剣道大会で準優勝という過去最高の成績を収めました。2025年1月の東京都新人剣道大会でも男子はベスト16に入り、シード権を維持しています。

剣道部顧問は、男子チームに対して「攻撃力」、いわゆる「有効打突を取る力」を鍛えることを課題として挙げ、「ベスト8」の壁を突破することを次の目標としています。女子チームも少ない人数ながら健闘しており、「攻撃力」を磨くことを目指しています。

八王子東高校剣道部は、学業と剣道の両方で高い目標を持ち、バランスのとれた高校生活を送っています。剣道部では「充実した高校生活を送りたい、少しでも剣道をやってみたい人」を歓迎し、「あなたの知らない新たな八王子東の魅力」を発見できる場所として門戸を開いています。

都立高校強豪剣道部 TOP10【女子】

高校名市区町村ポイント
(2021~2024)
備考
1位深川高校
※紹介記事はこちら
江東区295pt・10年連続関東大会出場
・秋季剣道大会1部優勝(2023)
・Sport Science Promotion Club指定
・GE-NET20指定
2位青梅総合高校青梅市130pt・新人剣道大会ベスト8(2024)
・スポーツ推薦あり(男女問わず6人)
・Sport-Science Promotion Club指定
3位篠崎高校江戸川区107pt・秋季剣道大会1部ベスト8(2022)
・スポーツ推薦あり(男女問わず6人)
・地域探究推進校/海外学校間交流推進校
富士高校中野区102pt・インターハイ予選ベスト4(2021,2022)
・高校時入学はなく、中高一貫
4位晴海総合高校中央区100pt・秋季剣道大会1部ベスト4(2023)
・スポーツ推薦あり(男女問わず3人)
・都立高校初の全日制総合学科
5位光丘高校練馬区80pt・秋季剣道大会1部ベスト8(2022)
・スポーツ推薦あり(男3,女3)
・スキルアップ推進校/DXハイスクール指定
6位(同率)松が谷高校八王子市70pt・関東大会予選ベスト16(2024)
・スポーツ推薦あり(男女問わず2人)
・英語教育研究推進校/進学指導研究校
6位(同率)鷺宮高校中野区70pt・秋季剣道大会1部ベスト8(2021)
・スポーツ推薦あり(男女問わず3人)
・国際交流リーディング校/海外学校間交流推進校
8位上水高校武蔵村山市65pt・関東大会予選ベスト16(2024)
・スポーツ推薦あり(男女問わず4人)
・普通科単位制高校
9位(同率)向丘高校文京区50pt・インターハイ予選ベスト8(2023)
・スポーツ推薦あり(男女問わず4人)
・Society5.0に向けた学習方法研究校
9位(同率)駒場高校
※紹介記事はこちら
目黒区50pt・保健体育科にて剣道を専門とする生徒の募集
・進学指導特別推進校/英語教育研究推進校/海外学校間交流推進校

東京都の高校女子剣道界では、淑徳巣鴨が圧倒的な強さを誇り、毎年のように全国大会の代表権を獲得しています。その牙城に挑むのは、修徳、日体大桜華、東海大菅生、東海大高輪台などの私立強豪校で、これらの学校がベスト4の常連となっています。

そんな私立校の強豪ひしめく世界に、公立勢として果敢に挑んでいるのが都立深川高校と、中高一貫校のため高校からの入学はできないものの同じ都立の富士高校です。特に深川高校は「東京都スポーツ特別強化校」の指定を受け、全国大会出場や関東大会での上位進出など、目覚ましい成果を上げています。練習環境や部員確保など様々な面で私立に比べて制約のある公立高校が、工夫と努力で名門私立校と互角に渡り合う姿は、都立高校女子剣道部の誇りとなっています。

都立高校強豪女子剣道部 TOP3を詳しく紹介

【No.1】深川高校(江東区) ※スポーツ推薦あり

2024年度2023年度2022年度2021年度
春季剣道大会
(関東大会予選)
ベスト8
※関東大会出場
ベスト4
※関東大会出場
ベスト8
※関東大会出場
ベスト8
※関東大会出場
全国高校剣道大会
(インターハイ予選)
ベスト8ベスト4準優勝ベスト8
秋季剣道大会1部_ベスト321部_優勝1部_ベスト161部_準優勝
新人剣道大会ベスト8ベスト8準優勝ベスト8

都立深川高校の女子剣道部は、平成30年度(2018年)より「東京都スポーツ特別強化校」に指定された実力ある部活動です。「常行直心」(じょうぎょうじきしん)という部訓のもと、高校3年間を剣道に懸けて活動しています。

「関東は通過点、全国で勝負」を合言葉に、剣道においては正しい剣道・勝って打つ剣道を目指し、日常生活では「人として金メダル」を目標に掲げています。部員たちは稽古では互いに厳しく取り組み、稽古終了後は明るく和気あいあいとした雰囲気で活動するところが、深川高校女子剣道部の強さの秘訣とされています。

火曜日から金曜日までの平日練習と、土日の遠征で力をつけています。月曜日はビデオ研究やミーティングの日となっています。活動場所は学校の剣道場です。

「東京制覇」を掲げるとともに、高校四冠(インターハイ・全国選抜大会・玉竜旗・魁星旗)での入賞を目指しています。

主な実績

  • 令和5年度(2023年):全国高等学校剣道選抜大会出場(6年ぶり2回目)、関東大会出場(11年連続)
  • 令和4年度(2022年):関東大会第3位、国民体育大会東京都代表
  • 第32回魁星旗争奪全国高校女子剣道大会:8強、優秀選手賞
  • 関東近県高校選抜剣道大会:優勝経験あり
  • 諏訪湖剣道大会:優勝経験あり
  • 関東高等学校剣道大会:6年連続出場(過去には62・63・65回で16強、優秀選手賞も獲得)

2024年1月20日には、BSテレビの「がむしゃら #91」で深川高校剣道部の活動が放送されました。

全国レベルでの活躍を目指し、多くの大会や遠征に参加することで経験を積んでいる伝統ある強豪校です。卒業生は大学進学後も剣道を続け、筑波大学、埼玉大学、駒澤大学など様々な大学へ進学しています。

【No.2】青梅総合高校(青梅市) ※スポーツ推薦あり(男女問わず6人)

2024年度2023年度2022年度2021年度
春季剣道大会
(関東大会予選)
ベスト16ベスト16ベスト32ベスト8
全国高校剣道大会
(インターハイ予選)
ベスト16ベスト16
秋季剣道大会1部_ベスト321部_ベスト8
新人剣道大会ベスト8ベスト16ベスト8ベスト16

都立青梅総合高校の女子剣道部は、高い実績を誇る強豪校です。部活動では「キャリア教育」の実践を掲げ、剣道の稽古と学業の両立を重視しています。また、東京都代表として関東大会出場を目指すとともに、勝利至上主義ではなく、稽古や試合に取り組む姿勢と自他の生命尊重を大切にしています。

専門的な知識と経験を持つ顧問の先生方と外部指導員によるしっかりとした指導体制が整っています。外部指導員には剣道教士七段の先生も含まれ、質の高い指導が行われています。

「短時間で集中」を掲げ、平日は2時間、休日は2時間30分という時間の中で、「考える・工夫する」力を養う稽古を行っています。また、ON・OFFのメリハリをつけた活動と、礼儀・言葉遣い・所作を大切にする生活態度も重視しています。

体罰や暴言のない理論的な指導を中心に、生徒一人ひとりの状況を把握した安全な指導が行われています。顧問と外部指導員の連携を図り、定期的な保護者会や生徒ミーティングも開催されています。

春季大会や新人戦などの公式戦に加え、練習試合や合宿など充実した活動が計画されています。夏季には4泊5日の校内合宿も実施されます。

主な実績

  • 令和5年度 第34回増田杯争奪剣道大会:女子優勝
  • 令和5年度 東京都高等学校新人剣道大会:女子ベスト8、敢闘賞
  • 令和4年度 高体連8支部大会:女子1年生団体戦準優勝、女子2年生個人戦3位
  • 令和3年:春季大会を勝ち抜き、関東大会に出場

青梅総合高校の女子剣道部は、剣道の技術向上だけでなく、人間性の成長も大切にしています。様々な大会で優秀な成績を収めながら、文武両道を実践する素晴らしい部活動です。

【No.3】篠崎高校(江戸川区) ※スポーツ推薦あり(男女問わず6人)

2024年度2023年度2022年度2021年度
春季剣道大会
(関東大会予選)
ベスト8ベスト16ベスト16
全国高校剣道大会
(インターハイ予選)
ベスト16ベスト16
秋季剣道大会1部_ベスト81部_ベスト16
新人剣道大会ベスト32ベスト16ベスト16

都立篠崎高校の女子剣道部は、「念念相続」(今日この日、この場、この相手との稽古を人生最後の稽古として心得よ)という深い意味を持つ部訓のもと、日々稽古に励んでいます。この部訓は、一瞬一瞬を大切にし、常に真剣に剣道と向き合う姿勢を表しています。

月曜日から土曜日まで(時には日曜日も)活動しており、試合や大会に向けて熱心に取り組んでいます。

主な実績

  • 令和6年度(2024年)東京都高等学校秋季剣道大会:女子Ⅱ部で優勝
  • 令和6年度東京都高等学校新人剣道大会第一支部予選:女子団体が都大会出場権獲得
  • 令和6年度江戸川区区民大会:女子10代の部で準優勝と第三位
  • 令和6年度墨東杯争奪剣道大会: 1年女子の部で優勝、準優勝、第三位まで総なめ。 2・3年女子の部で準優勝

公式戦だけでなく、区民大会や地域の大会にも積極的に参加し、様々な経験を積んでいます。特に女子部員の活躍が目立ち、個人戦でも多くの入賞者を出しています。

篠崎高校女子剣道部は、「念念相続」の精神で日々の稽古に真摯に取り組む姿勢が、大会での好成績という結果に表れています。部員一人ひとりが剣道を通じて技術だけでなく、精神面での成長も遂げています。

文武両道の精神で挑む都立剣道部の今とこれから

都立高校の剣道部は、私立校に比べて部員確保や練習環境など様々な面で制約があります。特に、強化指定選手の獲得や専用道場の整備、専門コーチの配置などの面で私立校に及ばないことが多く、その差を埋めるのは容易ではありません。しかし、そうした環境の中でも都立高校ならではの強みを最大限に活かした取り組みが実を結びつつあります。

男子では青梅総合高校が国公立大会で優勝を果たし、八王子東高校も都大会でベスト16の常連となるなど、着実に力をつけています。これらの学校では「短時間で集中」という方針のもと、限られた練習時間を効率的に活用する工夫がなされています。また、「キャリア教育」の実践として稽古と学業の両立を重視し、部員の自主性を育む指導法が特徴です。

女子においては、深川高校が「東京都スポーツ特別強化校」の指定を受け、全国大会出場や関東大会での上位進出を果たすなど目覚ましい活躍を見せています。女子剣道では、技術や体格差よりも精神力や練習の質が勝敗を分けることが多く、「常行直心」という部訓に表れるように、日々の稽古への真摯な姿勢が結果につながっています。篠崎高校の「念念相続」という部訓も、一瞬一瞬を大切にする姿勢を表しており、都立校ならではの精神性の高さを感じさせます。

都立高校剣道部の多くは外部指導員との連携も積極的に図っており、経験豊富な指導者から理論的な指導を受けることで技術向上を目指しています。また、練習試合や合同稽古、遠征などを通じて様々な相手と対戦する機会を設け、経験値を高める工夫も見られます。

これからの都立高校剣道部には、伝統的な礼節を重んじる姿勢を保ちながらも、新たな技術や戦術を取り入れる柔軟性が求められるでしょう。また、中学生への積極的な働きかけによる部員確保や、地域との連携強化による支援体制の充実なども課題となります。

限られた環境の中で最大限の努力を続ける都立高校剣道部の姿は、剣道が単なる勝負の世界ではなく、人間形成の場であることを改めて教えてくれます。勝利至上主義ではなく、稽古・試合に取り組む姿勢を大切にする理念は、これからも都立高校剣道部の誇りとして受け継がれていくことでしょう。


<データ参照元>
大会の結果は、以下の公式サイトのデータを参照・加工しポイントに換算しています。
・東京都高体連剣道専門部 https://to-koutairen-kendo.org/
また、剣道部の紹介は各高校のホームページを参考にまとめています。

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この記事を書いた人

教員免許保有(小学校教諭1種、中学校・高校保健体育)の40代サラリーマン。現在高校生の息子の高校受験時に生来のオタク気質をこじらせ首都圏の私立・都立高校を調べた結果、都立高校のコスパの良さに驚愕。現在小学生の娘の高校受験に備えての備忘録がてら、都立高校の魅力を発信していくために「都立高のトリセツ」を開設。

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