インターエデュにより難関大学の合格速報が出たことを受け、東京の進学指導重点校7校(日比谷・西・国立・戸山・青山・立川・八王子東)と進学指導特別推進校2校(新宿・国分寺)の国公立最難関大学(東京一科医:東京大学、京都大学、一橋大学、東京科学大学、国公立医学部)への現役合格者数の推移を分析しました。各校の2020年から2025年までの傾向と特色、そして強みを明らかにします。
日比谷高校の国公立最難関大学(東京一科医)への現役合格人数推移(2020年~2025速報値)


速報では国公立大学医学部の合格実績が出ていませんので、日比谷高校の数値は仮置きの暫定数値になります。
日比谷高校の東京一科医への現役合格実績の推移
- 2020年から2025年にかけて、「東京一科医」(東京大学、京都大学、一橋大学、東京科学大学、国公立医学部)への現役合格者数は全体的に増加傾向
- 2023年に一時的な落ち込みがあったものの、2024年、2025年と回復・向上している
- 特に2025年は現役合格者が99人(国公立医学部を除く)と非常に高い実績
2025年度の特筆すべき実績
- 東京大学への現役合格者が65人と突出して多い(前年の52人から大幅増加)
- 合格者総数は国公立医学部を加えると約130人と推定
- 現役生に占める合格率は約40%と高水準
日比谷高校の強み
- 東京大学合格者数が特に多く、この分野では他校を圧倒
- 私立進学校と比較しても「勝るとも劣らない」実力を持つ
- 浪人生の合格も含めると更に実績は高い(浪人20人の追加合格)
日比谷高校は「名実ともに最強の公立高校」と評されており、特に東京大学への合格実績が際立っています。現役合格率の高さは学校の教育体制の充実を示しており、2025年度はその傾向がさらに強まっていることがわかります。
西高校の国公立最難関大学(東京一科医)への現役合格人数推移(2020年~2025速報値)


西高校の東京一科医への現役合格実績の推移
- 2020年から2022年にかけて「東京一科医」(東京大学、京都大学、一橋大学、東京科学大学、国公立医学部)への現役合格者数は増加傾向にあった
- 2022年の54人(現役比率17.2%)をピークに2023年と2024年は減少
- 2025年は43人(現役比率14.2%)と回復傾向を示している
2025年度の特筆すべき実績
- 東京一科医で現役43人、浪人24人の合格
- 特に京都大学への合格が顕著で、20人(現役13人)は進学指導重点校の中で最多
- 東京大学19人(現役10人)は日比谷高校に次ぐ2番手の実績
- 旧帝国大学の医学部(東北大学、九州大学)への現役合格者を輩出
西高校の強み
- 京都大学への合格に強みがあり、都立高校で最多と推測される
- 東京大学と京都大学のバランスが良く、関東・関西両方の最難関大学に対応できる
- 医学部合格においても難易度の高い旧帝国大学に合格者を出している
- 浪人生の合格も多く(24人)、卒業生のサポート体制も充実していると考えられる
西高校は特に京都大学への合格に強みを持ち、幅広い国公立難関大学に合格者を送り出しています。2022年のピーク時と比べると若干数値は下がっていますが、2025年度は回復傾向にあり、安定した進学実績を維持していることがわかります。東京大学への現役合格数は日比谷高校には及ばないものの、京都大学への強さと医学部合格実績は特筆すべき点です。
国立高校の国公立最難関大学(東京一科医)への現役合格人数推移(2020年~2025速報値)


国立高校の東京一科医への現役合格実績の推移
- 2020年から2023年まで比較的安定した「東京一科医」(東京大学、京都大学、一橋大学、東京科学大学、国公立医学部)への現役合格実績
- 2024年に37人(現役比率11.9%)と一時的に落ち込み
- 2025年は52人(現役比率16.9%)と大きく回復し、2020年のレベル(56人、現役比率17.7%)に近づいている
2025年度の特筆すべき実績
- 東京一科医で現役43人、浪人24人の合格
- 特に一橋大学への合格が顕著で、18人(現役16人)は進学指導重点校で最多
- インターエデュによると、一橋大学への合格者数は3月11日時点で日本全国でも最多
- 京都大学への現役合格者も12人と健闘
- 旧帝国大学の医学部(名古屋大学)への現役合格者も輩出
国立高校の強み
- 一橋大学への合格に抜群の強みがあり、地の利(最寄り駅が一橋大学と同じ国立駅)を活かしている
- 一橋大学に焦点を当てた指導体制が充実していると考えられる
- 京都大学への合格実績も良好で、複数の難関大学に対応できる体制
- 2025年度の回復傾向は、指導方針の見直しや教育体制の改善の成果と推測される
国立高校は一橋大学への合格実績が特に優れており、学校名と立地の相乗効果が見られます。2024年の一時的な落ち込みからの回復が著しく、2025年度は浪人生の合格も含めると76人という実績を出しています。総合的に見て、特に社会科学系の最難関大学である一橋大学への進学に強みを持つ高校であることがわかります。
戸山高校の国公立最難関大学(東京一科医)への現役合格人数推移(2020年~2025速報値)


戸山高校の東京一科医への現役合格実績の推移
- 2020年の27人(現役比率7.4%)から徐々に増加し、近年は安定して高い実績
- 特に2024年の46人(現役比率14.2%)と2025年の45人(現役比率14.4%)は顕著な成果
- 2020年から2025年までの間に合格者数と現役合格率はほぼ倍増しており、着実な成長を見せている
2025年度の特筆すべき実績
- 東京一科医で現役45人、浪人9人の合格
- 特に東京科学大学への合格が顕著で、21人(現役20人)は進学指導重点校で最多
- インターエデュによると、東京科学大学への合格者数は日本全体でも2番手(3月11日時点)
- 東京大学への現役合格者は8人で、現役の実績としては日比谷高校に次ぐ高水準
- 旧帝国大学の医学部(北海道大学)への現役合格者も輩出
戸山高校の強み
- 東京科学大学への圧倒的な強さ(現役20人という実績は特筆すべき)
- 合格者の現役・浪人比率が良好(45人対9人)で、現役での合格に強い指導体制
- 科学系・理系分野への進学に強みがあると考えられる
- 東京大学への安定した実績も有している
戸山高校は特に東京科学大学への合格に優れた実績を持ち、理系分野での強みが際立っています。2020年からの推移を見ると、着実に合格実績を伸ばしてきており、特に2024年以降は高水準で安定しています。東京大学への実績も堅調で、バランスの良い進学実績を持つ高校であることがわかります。国公立医学部への合格実績も含めると、理系の難関大学への合格に特化した教育を行っていると推測されます。
青山高校の国公立最難関大学(東京一科医)への現役合格人数推移(2020年~2025速報値)


青山高校の東京一科医への現役合格実績の推移
- 2020年から2025年にかけて「東京一科医」(東京大学、京都大学、一橋大学、東京科学大学、国公立医学部)への現役合格者数は18〜24人の範囲で比較的安定
- 現役合格率は6.4%〜8.5%の間を推移しており、2023年の8.5%がピーク
- 2025年は21人(現役合格率7.9%)と若干低下傾向だが安定した実績を維持
2025年度の特筆すべき実績
- 東京一科医で現役21人、浪人10人の合格(※東京科学大の医学部合格の重複カウントせず)
- 特に国公立医学部の現役合格が6人と、西高校、国立高校、戸山高校をも上回る優れた実績
- 難関医学部(東京科学大学・旧東京医科歯科大、筑波大学)に現役合格者を出している
- 他の進学指導重点校より1クラス分人数が少ないという条件を考慮すると、人数比では更に評価できる実績
青山高校の強み
- 医学部合格に際立った強みを持ち、特に難関国公立医学部への合格実績が優れている
- 少ない生徒数(1クラス分少ない)にもかかわらず、一定の合格者数を維持している
- 合格者の現役・浪人比率も良好(21人対10人)で、現役での合格にも強い
青山高校は特に医学部進学に強みを持ち、生徒数が他校より少ない条件を考慮すると、その実績は特筆すべきものです。東京大学や一橋大学への合格実績は御三家や近隣の戸山高校と比べるとやや少ないものの、医学部という特定分野での優れた成果を出している特色ある高校といえます。難関国公立医学部への合格者数が他校を上回る点は、医学部進学を目指す生徒にとって魅力的な進学先となっていることを示しています。
立川高校の国公立最難関大学(東京一科医)への現役合格人数推移(2020年~2025速報値)


立川高校の東京一科医への現役合格実績の推移
- 2020年の12人(現役比率3.8%)から着実に増加し、2025年は25人(現役比率7.9%)と約2倍に成長
- 6年間の推移を見ると、ほぼ一貫して右肩上がりの成長カーブを描いている
- 特に2025年は大きく飛躍し、直近5年間では合格者数・合格率ともに過去最高を記録
2025年度の特筆すべき実績
- 東京一科医で現役25人、浪人4人の合格
- 合格者の現役・浪人比率が86.2%と、他の進学指導重点校と比較して現役合格の割合が最も高い
- 東京科学大学への合格者が9人と増加し、前年の4人から大幅に伸ばしている
- 難関医学部(東京科学大学:旧東京医科歯科大)への現役合格者も出している
立川高校の強み
- 現役合格に非常に強く、浪人を必要とせずに合格する指導体制が充実している
- 2022年に創設された「創造理数科」の卒業生が初めて出たことで、2025年度の実績が向上
- 特に東京科学大学や一橋大学などの特定大学に対して継続的に安定した合格実績がある
- 合格者数の着実な増加は、計画的な教育改革の成果と推測される
立川高校は特に現役での合格に強みを持ち、近年の合格実績の伸びが最も顕著な高校の一つと言えます。新設された創造理数科の効果も見られ、今後さらなる発展が期待できる高校です。東京大学への合格者も増加傾向にあり、総合的な進学実績が向上していることがわかります。地域的にも多摩地区の中心的な進学校としての地位を確立しつつあると考えられます。
八王子東高校の国公立最難関大学(東京一科医)への現役合格人数推移(2020年~2025速報値)


八王子東高校の東京一科医への現役合格実績の推移
- 2020年から2025年にかけての「東京一科医」(東京大学、京都大学、一橋大学、東京科学大学、国公立医学部)への現役合格実績は変動が大きい
- 2022年に9人(現役比率2.9%)と落ち込み、その後回復したものの、2025年は再び11人(現役比率3.5%)と減少している
- 2023年と2024年の16人(現役比率5.2%)をピークに下降傾向
2025年度の実績と課題
- 東京一科医で現役11人、浪人4人の合格
- 他の進学指導重点校と比較するとやや苦戦している状況
- 東京大学への合格は1人と低調
- 同じ多摩地区の国立高校や立川高校に受験生が流れている可能性
八王子東高校の課題
- 2023年、2024年と回復した後の2025年の再度の落ち込みは注意すべき傾向
- 特定の大学への強みが見られず、全体的にバランスの取れた実績ではあるが、総数が他校に比べて少ない
- 地理的に国立高校や立川高校と競合関係にあり、学区内での優秀な生徒の獲得に苦戦している可能性
八王子東高校は進学指導重点校としては現状やや苦戦している状況です。2023年と2024年には回復の兆しが見られたものの、2025年度の実績低下は今後の課題といえます。東京都の西部地域という立地において、進学実績もよく文化祭で有名な国立高校、創造理数科の設置とSSH指定で理系に舵を切る立川高校などの台頭により、競争が激化している可能性があります。今後の指導体制の見直しや特色ある教育プログラムの導入などが検討される可能性があるでしょう。
新宿高校の国公立最難関大学(東京一科医)への現役合格人数推移(2020年~2025速報値)※進学指導特別推進校


新宿高校の東京一科医への現役合格実績の推移
- 2020年から2025年にかけての「東京一科医」(東京大学、京都大学、一橋大学、東京科学大学、国公立医学部)への現役合格実績は変動が見られる
- 2021年に9人(現役比率2.9%)と落ち込んだ後、回復と低下を繰り返している
- 2025年は17人(現役比率5.4%)と直近5年では最高の実績を達成
2025年度の特筆すべき実績
- 東京一科医で現役17人、浪人2人の合格
- 東京科学大学への合格者が8人と増加し、2024年の3人から大きく伸ばしている
- 国公立医学部への現役合格も4人と大幅に増加(前年の1人から)
- 医学部では旧帝国大学(北海道大学・名古屋大学)や東京科学大学(旧東京医科歯科大)、筑波大学といった難関校への現役合格者を出している
新宿高校の強み
- 「進学指導特別推進校」ながら「進学指導重点校に負けていない実績」
- 特に医学部合格に関して、難易度の高い大学に複数の合格者を出している点が強み
- 浪人合格者の少なさ(17人対2人)は、現役での合格指導が充実していることを示唆
- 2025年の実績向上は、指導体制の改善や進学実績重視の取り組みの成果と推測される
新宿高校は、本来は「進学指導重点校」よりも一段低い「進学指導特別推進校」に分類されているにもかかわらず、特に2025年度は一部の「進学指導重点校」を上回る合格実績を示しています。特に医学部合格に特化した実績があり、難関医学部への複数合格は注目に値します。進学校としての地位向上が進んでいると考えられ、今後の継続的な発展が期待されます。
国分寺高校の国公立最難関大学(東京一科医)への現役合格人数推移(2020年~2025速報値)※進学指導特別推進校


国分寺高校の東京一科医への現役合格実績の推移
- 2020年から2025年にかけての「東京一科医」(東京大学、京都大学、一橋大学、東京科学大学、国公立医学部)への現役合格実績は3~7人の範囲で変動
- 2024年に7人(現役比率2.2%)とピークを迎えたが、2025年は4人(現役比率1.3%)と減少
- 年度によって合格実績にばらつきがあり、安定感に欠ける
2025年度の実績
- 東京一科医で現役4人、浪人2人の合格
- 東京大学と京都大学にそれぞれ1人ずつの現役合格
- 「進学指導重点校」と比較するとまだ差がある状況
国分寺高校の強みと今後の展望
- 2024年度からSSH(スーパーサイエンスハイスクール)に指定されたことは大きな転機
- SSHの指定により、理数系教育の充実と研究活動の活性化が期待される
- 数年後には理系の国公立難関大学への合格実績向上が見込まれる
- 浪人生の合格も含めると6人の実績があり、卒業後のサポート体制も一定程度整っている
国分寺高校は現時点では「進学指導重点校」や「新宿高校」などの進学指導特別推進校と比較すると合格実績に差があるものの、SSHの指定を受けたことで今後の発展可能性は高いと考えられます。特に理系分野での教育強化が進めば、東京科学大学や国公立医学部などへの合格実績向上が期待できます。現在の実績は発展途上ですが、数年後の変化に注目すべき高校と言えるでしょう。
公立トップ校の栄光と多様化する進学実績 ―特色を持つ各校の強みが鮮明に
2025年度の合格実績から見えてくるのは、日比谷高校の圧倒的な東大合格実績を筆頭に、各校が特色ある強みを発揮している様子です。西高校の京大合格、国立高校の一橋大合格、戸山高校の東京科学大合格など、それぞれが得意分野を持ち、独自の教育戦略の成果を上げています。
注目すべきは立川高校の急成長や新宿高校の躍進、青山高校の医学部実績など、従来の序列にとらわれない多様な成功パターンが見られることです。地域特性を活かした教育や新設学科の効果、そして現役合格率の高さなど、今後の受験生や保護者の高校選択に影響を与える重要な傾向が明らかとなりました。公立難関校の実績は私立進学校に引けを取らず、特に都立日比谷高校は「名実ともに最強の公立高校」としての地位を確立しています。
<参照元>
ページ内の大学合格実績は各高校のホームページやパンフレットを参照しています。しかしながら、参照したタイミングによっては速報データであったり、年度をまたぎ変更となっている場合もありますので、正確なデータは各都立高校の最新データをご確認ください。