SAPIXの2025年度高校合格実績は、早慶ICU系列校で安定した成果を維持しつつも、国立・私立最難関校や都立高校では減少傾向が見られます。15校舎という少数精鋭の体制の中で、特に早大本庄や慶應志木、立教新座などの中高一貫校において高い合格効率を示している一方、最難関校や都立高校では課題が顕在化しています。本記事では、SAPIXの2023年から2025年にかけての高校合格実績を詳細に分析し、その指導の特徴と傾向を検証します。
SAPIXの最難関国立・私立高校の合格実績|2025年度版

最難関国立(お茶附・筑駒・筑附・学大附)の合格実績|2025年度版

- お茶の水女子大附属:2023年9名→2024年10名→2025年13名(44.4%増加)
- 筑波大付属駒場:2023年16名→2024年22名→2025年9名(43.8%減少)
- 筑波大付属:2023年12名→2024年20名→2025年9名(25%減少)
- 東京学芸大附属:2023年52名→2024年70名→2025年42名(19.2%減少)
最難関・難関私立進学校(開成・城北・巣鴨・桐朋)の合格実績|2025年度版

- 開成高校:2023年29名→2024年31名→2025年18名(37.9%減少)
- 城北高校:2023年10名→2024年7名→2025年12名(20%増加)
- 巣鴨高校:2023年19名→2024年18名→2025年16名(15.8%減少)
- 桐朋高校:2023年4名→2024年10名→2025年3名(25%減少)
最難関国立(お茶附・筑駒・筑附・学大附)・私立高校(開成・城北・巣鴨・桐朋)の合格実績の全体傾向
- 国立附属高校:2023年89名→2024年122名→2025年73名(18%減少)
- 難関私立高校:2023年33名→2024年35名→2025年31名(6.1%減少)
- 全体合計:2023年122名→2024年157名→2025年104名(14.8%減少)
最難関国立・私立高校の合格実績の全体傾向
- SAPIXの最難関校全体の合格者数は、2024年に157名とピークを迎えた後、2025年は104名と33.8%減少しています。
- 国立附属高校では、2024年に大幅に増加したものの、2025年は全体的に減少しており、特に東京学芸大附属高校で顕著な減少(40%減)が見られます。
- お茶の水女子大附属高校は例外的に3年間で44.4%増加しており、SAPIXの国立附属高校対策の中でも安定した成果を上げています。
- 難関私立高校では、開成高校が2024年の31名から2025年は18名へと41.9%減少する一方、城北高校は2025年に71.4%増加しています。
- 全体として、2023年から2025年にかけての3年間では14.8%減少していますが、特に2024年から2025年にかけての減少が顕著です。
SAPIXの最難関国立・私立高校への合格実績は、2024年に大きく伸びた後、2025年は全体的に減少傾向にあります。特に国立附属高校全体で40.2%の減少、開成高校で41.9%の減少と、主要校で大幅な減少が見られる点が特徴的です。
一方で、お茶の水女子大附属高校や城北高校では増加を維持しており、学校によって傾向が分かれています。SAPIXは全体で104名の合格者を維持しているものの、2024年の好調さからは後退している状況です。
15校舎という規模を考慮すると、1校舎あたりの合格効率ではZ会進学教室(6.9人)に次ぐ高い水準(約6.9人)を維持しており、少数精鋭の指導による質の高さを示していると言えるでしょう。しかしながら、2025年は減少傾向にあり、今後の指導体制の強化が課題となります。
SAPIXの早慶ICU附属・系属高校の合格実績|2025年度版


早稲田系列では早大学院315名、早稲田実業121名(47.6%増)、早大本庄481名、慶應系列では慶應義塾275名、慶應志木326名、慶應女子115名、慶應湘南藤沢35名、ICU高校87名と、こちらも他塾を圧倒する結果となっています。早慶ICU系全体では2023年1634名から2025年1755名へと7.4%増加しました。
大学別の附属・系属高校合格者数の推移
- 早稲田附属・系属:2023年116名→2024年119名→2025年115名(0.9%減少)
- 慶應義塾附属:2023年130名→2024年136名→2025年133名(2.3%増加)
- ICU附属:2023年14名→2024年14名→2025年11名(21.4%減少)
- 全体合計:2023年260名→2024年269名→2025年259名(0.4%減少)
個別高校の合格者数推移
- 早大学院:2023年42名→2024年42名→2025年40名(4.8%減少)
- 早稲田実業:2023年7名→2024年13名→2025年11名(57.1%増加)
- 早大本庄:2023年67名→2024年64名→2025年64名(4.5%減少)
- 慶應義塾:2023年31名→2024年39名→2025年44名(41.9%増加)
- 慶應湘南藤沢:2023年4名→2024年3名→2025年4名(変化なし)
- 慶應志木:2023年63名→2024年61名→2025年59名(6.3%減少)
- 慶應女子:2023年32名→2024年33名→2025年26名(18.8%減少)
- 国際基督教大学高校:2023年14名→2024年14名→2025年11名(21.4%減少)
早慶ICU附属・系属高校の合格実績の全体傾向
- SAPIXの早慶ICU系列全体の合格者数は3年間でほぼ横ばいであり、2024年に269名とわずかに増加した後、2025年は259名と3.7%減少しています。
- 早稲田系列全体ではほぼ変動がなく(0.9%減少)、特に早大本庄が3年間を通じて安定した合格者数を維持しています。
- 慶應系列では、慶應義塾本校が3年間で41.9%増加する一方、慶應女子は18.8%減少しており、学校によって傾向が分かれています。
- 早稲田実業は3年間で57.1%増加しており、比較的小規模ながらも着実な成長を示しています。
- 全体として見ると、SAPIXの早慶ICU系列合格実績は非常に安定しており、大きな増減なく一定水準を維持していることが特徴的です。
SAPIXの早慶ICU附属・系属高校への合格実績は、3年間を通じてほぼ一定の水準を維持しています。2024年にわずかに増加した後、2025年は若干減少していますが、全体として安定した合格者数を確保しています。
特に早大本庄(64名)と慶應志木(59名)では多くの合格者を輩出しており、これらの学校への指導に強みを持っていることが分かります。また、慶應義塾本校では合格者数が着実に増加しており、最難関校での成果も向上しています。
15校舎という規模を考慮すると、1校舎あたりの合格効率は約17.3人となり、早稲田アカデミー(27.4人)に次ぐ高い水準を維持しています。SAPIXの早慶ICU系列指導は、安定した実績と一定の質の高さを示していると言えるでしょう。
SAPIXのMARCH附属・系列高校の合格実績|2025年度版


立教新座525名(20.7%増)をはじめ、明大中野206名、明大明治165名、明大八王子98名、青山学院159名、中大杉並171名、中大附属132名、法政大学52名(40.5%増)など、東京所在のMARCH系高校では他の塾を圧倒し、すべて合格者数トップを誇ります。神奈川に所在がある法政第二、法政国際、中大横浜は臨海セミナーに次ぐ結果となっていますが、東京ではナンバー1の実績です。全体では2023年1607名から2025年1817名へと13.1%増加しました。
大学別の附属・系列高校の合格者数の推移
- 明治系列:2023年44名→2024年54名→2025年34名(22.7%減少)
- 青山学院:2023年41名→2024年35名→2025年23名(43.9%減少)
- 立教系列:2023年62名→2024年53名→2025年66名(6.5%増加)
- 中央系列:2023年47名→2024年60名→2025年43名(8.5%減少)
- 法政系列:2023年23名→2024年33名→2025年28名(21.7%増加)
- 全体合計:2023年217名→2024年235名→2025年194名(10.6%減少)
個別学校の合格者数推移
明治大学系列
- 明大中野:2023年14名→2024年19名→2025年18名(28.6%増加)
- 明大明治:2023年25名→2024年24名→2025年15名(40%減少)
- 明大八王子:2023年5名→2024年11名→2025年1名(80%減少)
青山学院系列
- 青山学院:2023年41名→2024年35名→2025年23名(43.9%減少)
立教大学系列
- 立教池袋:2023年0名→2024年0名→2025年0名
- 立教新座:2023年62名→2024年53名→2025年66名(6.5%増加)
中央大学系列
- 中大杉並:2023年19名→2024年20名→2025年16名(15.8%減少)
- 中大附属:2023年9名→2024年18名→2025年8名(11.1%減少)
- 中央大学:2023年10名→2024年19名→2025年15名(50%増加)
- 中大横浜:2023年9名→2024年3名→2025年4名(55.6%減少)
法政大学系列
- 法政大学:2023年3名→2024年4名→2025年3名(変化なし)
- 法政国際:2023年8名→2024年7名→2025年8名(変化なし)
- 法政第二:2023年11名→2024年19名→2025年17名(54.5%増加)
MARCH附属・系列高校の合格実績の全体傾向
- SAPIXのMARCH系列全体の合格者数は、2024年に235名とピークを迎え、2025年は194名と17.4%減少しています。3年間の比較では10.6%の減少となっています。
- 立教新座が最も多くの合格者数を誇り、2025年には66名と前年比24.5%増加しています。立教系列全体でも3年間で6.5%増加しています。
- 青山学院高校は3年間で43.9%と大幅に減少しており、特に2024年から2025年にかけての減少が目立ちます。
- 明治系列では、明大八王子が大幅に減少(80%減)する一方、明大中野は増加(28.6%増)しており、学校によって傾向が分かれています。
- 法政系列では法政第二が54.5%増加し、全体として21.7%の増加を示しています。
SAPIXのMARCH系列高校への合格実績は、2024年にピークを迎えた後、2025年は全体的に減少傾向にあります。しかし、立教新座や法政第二など一部の学校では増加傾向が見られ、学校によって結果が分かれています。
特に立教新座への強みが際立っており、66名という多くの合格者を輩出しています。一方で、青山学院や明大八王子などでの大幅な減少が全体の数字に影響を与えています。
15校舎という規模で194名の合格者を出していることから、1校舎あたりの合格効率は約12.9人となり、早稲田アカデミー(28.7人)には及ばないものの、栄光ゼミナール(12.9人)と同等の効率を示しています。
SAPIXのMARCH系列指導は、立教系と法政系で安定した実績を維持している一方、明治系と青山学院系での課題が見られ、今後はこれらの学校への対策強化が望まれます。
SAPIXの東京都立最難関・難関高校(進学指導重点校・進学指導特別推進校)の合格実績|2025年度版



最難関の日比谷高校では91名と過去最高を記録し、大手塾中トップの合格者数を達成。西高校63名、国立高校69名(27.8%増)を含む都立御三家合計でも業界トップの実績です。全体では2023年415名から2025年443名へと6.7%増加しました。
都立校グループ別合格者数の推移
- 日比谷:2023年36名→2024年30名→2025年19名(47.2%減少)
- 西・国立・戸山:2023年23名→2024年20名→2025年16名(30.4%減少)
- 青山・立川・八王子東:2023年13名→2024年14名→2025年9名(30.8%減少)
- 特別推進校:2023年16名→2024年11名→2025年4名(75%減少)
- 全体合計:2023年88名→2024年75名→2025年48名(45.5%減少)
進学指導重点校の合格者数推移
- 日比谷:2023年36名→2024年30名→2025年19名(47.2%減少)
- 西:2023年10名→2024年14名→2025年6名(40%減少)
- 国立:2023年7名→2024年3名→2025年4名(42.9%減少)
- 戸山:2023年6名→2024年3名→2025年6名(変化なし)
- 青山:2023年11名→2024年12名→2025年5名(54.5%減少)
- 立川:2023年2名→2024年1名→2025年3名(50%増加)
- 八王子東:2023年0名→2024年1名→2025年1名
進学指導特別推進校の合格者数推移
- 国分寺:2023年1名→2024年1名→2025年0名(100%減少)
- 国際:2023年5名→2024年2名→2025年0名(100%減少)
- 新宿:2023年2名→2024年0名→2025年2名(変化なし)
- 小山台:2023年5名→2024年6名→2025年1名(80%減少)
- 駒場:2023年1名→2024年2名→2025年0名(100%減少)
- 小松川:2023年2名→2024年0名→2025年1名(50%減少)
- 町田:2023年0名→2024年0名→2025年0名(変化なし)
都立難関高校(進学指導重点校・進学指導特別推進校)合格実績の全体傾向
- 最難関の日比谷高校への合格者数が3年間で47.2%と大きく減少しており、2025年は19名となっています。
- 特別推進校では2023年の16名から2025年は4名へと75%の大幅な減少が見られ、特に国際高校と駒場高校では2025年の合格者が0名となっています。
- 西高校も2024年の14名から2025年は6名へと57.1%減少しており、全体的に減少傾向が強く表れています。
- 立川高校のみが2023年から2025年にかけて50%増加していますが、絶対数としては2名→3名と小規模です。
SAPIXの都立高校合格実績は、3年間で大幅な減少傾向にあります。特に日比谷高校や西高校など上位校、そして特別推進校での減少が著しく、2025年は全体で48名と2023年の88名から45.5%減少しています。
日比谷高校では他塾と比較しても一定の実績(19名)を維持していますが、前年比でも大きく減少しており、都立高校対策が課題となっていることが伺えます。特別推進校ではほとんどの学校で合格者が少数または0名となっており、この層への対応にも課題が見られます。
15校舎という規模を考慮すると、1校舎あたりの合格効率は約3.2人となり、Z会進学教室(17.8人)や早稲田アカデミー(5.0人)と比較すると効率面でも課題があると言えるでしょう。SAPIXの都立高校対策は、近年減少傾向にあることから、今後の指導体制の見直しが求められる状況にあります。
SAPIXの指導効率と特徴分析
SAPIXは東京都内に15校舎を展開する中規模の進学塾であり、上記の比較データからは特徴的な指導傾向が読み取れます。
校舎あたりの合格効率
SAPIXの1校舎あたりの合格者数は以下の通りです。
- 最難関(国立附属+開成):0.4人
- 早慶ICU附属:17.3人
- MARCH附属:12.9人
- 都立進学指導重点校:2.9人
- 都立御三家:1.9人
- 都立特別推進校:0.8人
他塾との比較分析
- 早慶ICU系に特化した指導の強み: 早慶ICU附属では1校舎あたり17.3人と、早稲田アカデミー(27.4人)に次ぐ高い効率を示しており、慶應志木や早大本庄などで安定した合格実績を誇っています。特に少数精鋭による質の高い指導に特化している傾向が見られます。
- MARCH系でも安定した実績: MARCH附属では1校舎あたり12.9人と、栄光ゼミナールと同等の効率を示しており、特に立教新座で高い実績を維持しています。
- 最難関校と都立高校の課題: 国立附属・開成では1校舎あたり0.4人、都立進学指導重点校では2.9人と、Z会進学教室(6.9人、17.8人)や早稲田アカデミー(5.7人、5.0人)と比較すると効率が低い傾向にあります。特に2025年は両方の分野で減少が見られます。
- 校舎規模の特徴: 15校舎という比較的少ない校舎数で、特に早慶ICU系で高い合格者数を生み出しており、少数精鋭体制で質を重視した指導を行っていることが伺えます。
SAPIXは、早慶ICU系とMARCH系の中堅~上位校に特化した指導に強みを持ち、特に早慶系の学校では高い合格実績を維持しています。一方で、2025年は国立附属高校や都立トップ校での合格者数が大幅に減少しており、この領域での課題が顕在化しています。
15校舎という規模を活かした少数精鋭の指導体制は、早慶ICU系では効果を発揮していますが、最難関校や都立高校では効率面での課題があります。全体的な傾向として、2025年は2024年と比較して多くの分野で減少傾向にあり、今後の指導体制の見直しが求められる状況です。
SAPIXの強みは早慶ICUを中心とした中高一貫校への指導にあり、この層での質の高い合格実績を維持していることが特徴と言えるでしょう。今後は最難関校や都立高校対策の強化が課題となります。
少数精鋭の体制で早慶ICU系に特化した指導強化
SAPIXの2025年度高校合格実績は、校種によって明確な特徴が表れています。国立・私立最難関校では104名の合格者を輩出したものの、前年比33.8%減と大幅に減少しています。特に開成高校(41.9%減)や筑波大付属駒場高校(43.8%減)など主要校での減少が目立ちますが、お茶の水女子大附属高校(44.4%増)や城北高校(20%増)では成長を維持しています。
早慶ICU系では259名と安定した合格者数を維持し、特に慶應義塾本校(41.9%増)で成長が見られます。MARCH系では194名の合格者を輩出し、立教新座(6.5%増)や法政第二(54.5%増)などで増加傾向があるものの、全体では前年比17.4%減となっています。都立高校は最も減少が著しく、全体で48名と前年比36%減、3年間では45.5%減と課題が顕著です。
校舎あたりの合格効率では、早慶ICU系(17.3人)とMARCH系(12.9人)で高い効率を示す一方、最難関校(0.4人)や都立高校(2.9人)では課題があります。SAPIXの特徴は15校舎という少数精鋭の体制で質の高い指導に特化していることであり、特に中高一貫校で安定した合格実績を維持しています。今後は最難関校と都立高校対策の強化が求められます。