東京都教育委員会は令和7年度都立高校推薦入試の合格発表を行い、専門学科の結果が明らかになりました。商業科から芸術科まで、専門分野によって大きく志願動向が分かれる結果となっています。特に工芸高校のデザイン科(5.10倍)や総合芸術高校の美術科(5.08倍)が最高倍率を記録。一方で、工業科の一部では定員割れも発生するなど、専門分野による志願傾向の差が顕著となりました。
以下、各専門学科のデータをまとめていきます。
商業、ビジネスコミュニケーションに関する学科の推薦入試概況 | 高校別応募人数・合格人数・合格倍率

全体概況
- 合格者数:全校で募集人員通りの合格者を出し、定員割れなし
- 倍率:1.07倍~2.01倍の範囲で推移
- 前年度との大きな変動なし
注目ポイント
最高倍率/最低倍率
- 最高:第五商業 2.01倍(169名/84名)
- 最低:江東商業 1.07倍(75名/70名)
応募状況からの変化
- 第一商業:応募時に志願者増加(前年比+16名)を報告していたが、最終的な倍率は1.49倍と安定的
- 第三商業:応募時の志願者減少(前年比-23名)が、そのまま倍率低下(1.30倍)につながる
安定した状況
- ビジネスコミュニケーション科(大田桜台、千早)は、応募時の予測通り1.1~1.9倍の安定した倍率を維持
- 全校で定員通りの合格者を出しており、募集に大きな問題は見られない
商業・ビジネス系の専門学科では、応募時点での志願動向がほぼそのまま合格発表時の倍率に反映される結果となりました。第五商業が唯一2倍台を維持する一方、他校は1.1~1.5倍台と、比較的安定した倍率となっています。応募時と合格発表時で大きな変動は見られず、計画的な合格者選考が行われたと言えます。
工業に関する学科の推薦入試概況に関する学科の推薦入試概況 | 高校別応募人数・合格人数・合格倍率

全体概況
- 倍率:0.62倍~5.10倍と学科間で大きな差
- 定員割れ:複数の学科で発生
特徴的な動向
高倍率学科
- 工芸高校デザイン科: 5.10倍(前年4.50倍) 応募51名から10名合格 前年より更に倍率上昇
- 墨田工科自動車科: 2.64倍 応募37名から14名合格 応募時の増加傾向が合格発表でも維持
定員割れ学科
蔵前工科:機械、設備工業、墨田工科:機械、電機、建築、杉並工科:IT・環境、荒川工科:電気、電子、情報技術、北豊島工科:都市防災技術、足立工科:総合技術、葛西工科:建築、デュアルシステム、多摩工科:デュアルシステムが定員割れとなっている。
応募時に定員割れしていた高校・学科に関して、推薦入試の規定として「志望する同一の都立高校内にある同一の学科内に2科(2分野)以上ある場合(芸術に関する学科を除く)は、 第2志望として他の1科(1分野)に限り指定することができる」ため、応募人数よりも合格人数が多いといったことが起こりえ、結果として定員充足となったり倍率が変わることがあります。
注目すべき変化
- IT・環境系: 全体的に苦戦葛飾工科キャリア技術科: 1.19倍(前年1.75倍)、 町田工科情報システム: 1.23倍
- 六郷工科: 学科改編に伴う募集停止 2025年度から「ものづくり工学科」として再編
工業科の推薦入試では、デザインや自動車といった特定分野で高倍率を維持する一方、電子・情報系を中心に定員割れが目立つ結果となりました。応募時点での志願動向が、ほぼそのまま合格発表時の結果に反映されており、分野による志願傾向の二極化が鮮明になっています。
農業に関する学科の推薦入試概況に関する学科の推薦入試概況 | 高校別応募人数・合格人数・合格倍率

全体概況
- 倍率範囲:1.29倍~3.90倍
- 全学科で定員確保
- 応募時からの大きな変動なし
注目ポイント
高倍率学科
- 瑞穂農芸 畜産科学科: 3.90倍。応募39名に対し10名合格。前年比1.80ポイント上昇で最高倍率
- 園芸 動物学科: 3.60倍。応募36名から10名合格。動物系分野の人気を示す。
前年比での変動
- 瑞穂農芸の畜産科学科で大幅上昇(+1.80)
- 農産の都市園芸で大きく減少(-1.43)
農業科の推薦入試では、畜産・食品分野で高い人気が見られ、特に瑞穂農芸の畜産科学科は前年を大きく上回る倍率となりました。全体的に定員は確保され、応募時の志願動向がそのまま合格発表に反映される形となっています。基本的には安定した志願状況を維持しており、農業関連学科全体として堅調な結果となりました。
その他専門学科の推薦入試概況に関する学科の推薦入試概況 | 高校別応募人数・合格人数・合格倍率

全体概況
- 倍率範囲:1.00倍~5.08倍と大きな開き
- 一部学科で定員増減の調整
- 特色のある学科で高倍率維持
注目すべき動向
高倍率学科(3倍以上)
- 総合芸術 美術: 5.08倍。応募122名から24名合格 芸術系で最高倍率
- 駒場 保健体育: 5.00倍。応募60名から12名合格 前年度から倍率上昇
- 総合芸術 舞台芸術: 3.33倍。応募40名から12名合格
注目される変化
- 科学技術:1.33倍。応募84名から63名合格。前年より0.35ポイント低下
- 八王子桑志:デザイン分野で定員増(+7名)。システム情報分野も定員増(+4名)
その他専門学科では、芸術系や体育系で高倍率を維持する一方、科学技術系は比較的低めの倍率となりました。応募時の傾向がほぼ維持される中、各校の特色や専門性によって志願動向に大きな差が見られます。特に総合芸術高校の美術科と駒場高校の保健体育科は5倍を超える高倍率を記録し、専門性の高い特色ある学科への関心の高さが際立つ結果となっています。
総合学科の推薦入試概況に関する学科の推薦入試概況 | 高校別応募人数・合格人数・合格倍率

全体概況
- 倍率範囲:1.33倍~2.88倍
- 全校で定員確保
- 応募時の志願者数増減が合格発表に反映
注目ポイント
高倍率校
- 杉並総合: 2.88倍。応募242名から84名合格。トップの倍率を維持
- 東久留米総合: 2.78倍。前年比+0.86と大幅上昇。応募時の志願者増(+62名)が反映
低倍率校
- 世田谷総合: 1.33倍(前年比-0.59)
- 町田総合: 1.50倍
総合学科の推薦入試では、学校間で志願動向に大きな差が見られました。杉並総合や東久留米総合が高倍率を維持する一方、町田総合や世田谷総合では比較的低い倍率となっています。応募時点での志願動向がほぼそのまま合格発表時の倍率に反映される結果となり、学校間での二極化傾向が見られます。ただし、全校で定員は確保されており、総合学科全体としては安定した募集状況を維持しています。
専門学科入試に見る志願動向の変化と今後の展望
令和7年度の専門学科推薦入試からは、以下のような特徴的な傾向が浮かび上がりました。
第一に、デザインや芸術、体育といった創造的・実践的な分野で高倍率が維持されています。工芸高校デザイン科(5.10倍)、総合芸術高校美術科(5.08倍)、駒場高校保健体育科(5.00倍)など、特色ある学科での人気が際立っています。
第二に、商業科では1.07倍~2.01倍と比較的安定した倍率を維持する一方、工業科では0.62倍~5.10倍と学科間で大きな差が生じています。特に電子・情報系の一部学科で志願者が減少傾向にあり、専門分野による志願動向の二極化が進んでいます。
第三に、農業科では畜産・食品分野を中心に堅調な志願状況が見られ、瑞穂農芸の畜産科学科が3.90倍と高倍率を記録しました。
これらの結果は、専門高校に対する生徒の進路選択の変化を反映していると考えられます。今後は、各校の特色をより一層明確にしながら、社会のニーズに応じた専門教育の展開が求められるでしょう。
<参照元>
ページ内のデータは東京都教育委員会発表資料・各高校のホームページやパンフレットを参照しています。しかしながら、参照したタイミングによっては速報データであったり、年度をまたぎ修正・変更となっている場合もありますので、正確なデータは東京都教育委員会、各都立高校の最新データをご確認ください。

部活に定期テストに忙しい中学生でも、スタサプならスキマ時間や寝る前にサクッと復習できるよ!月額2,178円でプロ講師の授業が見放題!
部活や学校で忙しくても、スキマ時間に学べるのがスタサプの強み。
映像授業だから、自宅でいつでも自分のペースで復習や予習ができる!
今ならコスパ抜群のスタサプで5教科対応の本格学習を始めよう。
\ スキマ時間で、今すぐスタート! /
スタサプ
