東京都立豊多摩高校は、1940年に創立された伝統ある都立高校です。「自主自律」「文武両道」を校訓に掲げ、制服のない自由な校風と高い進学実績を両立させている進学指導推進校です。宮崎駿や谷川俊太郎など多くの著名人を輩出し、文化的な活動も盛んな学校として知られています。現在は東京都教育委員会から進学指導推進校に指定され、生徒一人一人の能力を最大限に伸ばす教育を実践しながら、伝統的な自由な校風も大切に守り続けています。
都立豊多摩高校の歴史と伝統
1940年に東京府立第十三中学校として創立され、当初は東京府立第一中学校(現在の日比谷高校)の校舎を間借りしていました。1941年に東京府立豊多摩中学校へと改称され、1942年に現在の校地に移転しました。1950年には現在の東京都立豊多摩高等学校となり、同時に男女共学を開始。この年には校歌も制定され、作詞を金田一京助、作曲を山田耕筰が手がけました。
校名の由来は、初代校長の西村房太郎が旧豊多摩郡の地名にちなんで命名したものです。当時、東京府の学務課は「西田町中学校」という名称を提案していましたが、通学区域全体をカバーする地域名として「豊多摩」が選ばれました。
80年以上の歴史の中で、スタジオジブリの宮崎駿や詩人の谷川俊太郎をはじめ、芸術、文化、学術など様々な分野で活躍する人材を輩出してきました。経済界では三菱UFJ信託銀行会長を務めた上原治也氏、学術界では東京大学名誉教授の木村尚三郎氏など、各界で活躍する卒業生を多数輩出しています。
特に文化活動が盛んで、卒業式では卒業生である谷川俊太郎の詩「あなたに」を朗読する伝統が続いています。1969年には学生運動が活発化し、学校封鎖なども経験しましたが、そうした歴史も含めて、自由な校風と学問を重んじる精神は今日まで脈々と受け継がれています。
都立豊多摩高校の立地と最寄り駅、周辺環境
杉並区成田西二丁目に位置し、最寄り駅は京王井の頭線の浜田山駅です。学校周辺の交通アクセスは充実しており、関東バスの「中野駅-五日市街道営業所」「中野駅-吉祥寺駅」「高円寺駅-五日市街道営業所」の3路線が運行されています。下り方面には「豊多摩高校前」のバス停も設置されており、生徒の通学の便が図られています。
住所 | 東京都杉並区成田西2-6-18 |
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最寄り駅 | ①京王井の頭線「浜田山駅」 徒歩10分 |
校地面積は39,000平方メートルと広大で、東京ドームの約83%に相当する敷地を有しています。特徴的なのは銀杏並木で、総合的な探究の時間では「イチョウを宝にプロジェクト」として、銀杏拾いや落ち葉の堆肥化研究を通じた環境問題の学習にも活用されています。キャンパス内には第一グラウンド、第二グラウンド、テニスコート、プールなどのスポーツ施設も充実しており、緑豊かな環境は、都会にありながら自然を感じられる学習環境を提供しています。
都立豊多摩高校の校風と教育方針
「自主自律」と「文武両道」を校風として掲げ、生徒の主体性を重視した教育を行っています。最大の特徴は制服がなく、校則も必要最小限にとどめられていることです。生徒は「学友」、学級委員は「級長」と呼ばれ、学校行事や部活動は「学友会」を中心に生徒主導で運営されています。この自主性を重んじる伝統は、創立以来の重要な教育理念として継承されています。
教育課程では、1・2年次に基礎科目を重視し、特に国語・英語・数学の3教科をバランスよく学習できるよう工夫されています。数学では習熟度別・少人数授業を実施し、個々の生徒のレベルに合わせた指導を行っています。3年次には、進路に応じた多様な選択科目が用意され、必修選択科目が12単位、自由選択科目が6単位設定されており、文系・理系それぞれの進路に対応したカリキュラムが組まれています。
また、ほぼ隔週で土曜授業を実施し、7時限目授業を設けることで週33単位の学習時間を確保しています。2007年からは進学指導推進校に指定され、組織的な進学指導体制も整備されています。「Touch The Sky!!」というスローガンのもと、生徒一人一人の希望進路実現に向けた支援を行っています。
都立豊多摩高校の大学合格実績と進路指導
2007年から東京都教育委員会の進学指導推進校に指定され、生徒の進路実現に向けた組織的な指導体制を構築しています。特に、文系・理系それぞれの進路に対応した科目選択モデルを提示し、3年次では多様な選択科目を用意することで、個々の志望に応じたきめ細かな進路指導を実現しています。
進学指導面では、週33単位という充実した授業時間を確保し、土曜授業も実施しています。また、1・2年次での数学における習熟度別・少人数授業の実施など、きめ細かな学習指導を行うことで、着実に進学実績を伸ばしています。国公立大学をはじめ、早稲田大学や慶應義塾大学などの難関私立大学への進学実績も多数あります。
都立豊多摩高校の現役生の大学合格実績推移(2020~2024)

豊多摩高校の大学合格実績は、進学指導推進校としての取り組みの成果が表れています。2021年から2024年の卒業生数は毎年300人~310人、延べ合格者数は毎年約1,000人前後を維持しています。
国公立大学では、最難関の東京一工医、旧帝大(医学部除く)へは毎年数名の現役合格者を輩出し、TOCKY(医学部を除く)への合格者は年々増加傾向にあります(2024年には6名が合格)。また関東主要国公立大学への合格者数は着実に伸びており、2024年には21名まで増加しました。
私立大学では、GMARCHへの合格者が最も多く、例年250-290名程度が合格しています(2024年は289名)。次いで、その他私立(海外含む)が230-340名程度、日東駒専が170-190名程度で推移しています。早慶への合格者も毎年30名前後を維持し、2024年は30名が合格を果たしています。上智・理科大への合格者も増加傾向にあり、2024年には39名まで伸びています。成成明学國武の合格者数は90名前後で安定しており、四工大+東農大も50-70名程度を維持しています。
全体として、国公立大学から私立大学まで幅広い進学実績があり、特に私立大学のGMARCHレベルでの強さが際立っています。また、医学部を含む難関国公立大学への合格者も着実に増加しており、進学指導推進校としての成果が表れています。
都立豊多摩高校の2024年度 難関大学現役合格者数
- 東京一工医(2人):東京大学(0人)、京都大学(0人)、一橋大学(0人)、東京工業大学(1人)、国公立大学医学部(1人)
- 旧帝国大学(0人):北海道大学(0人)、東北大学(0人)、名古屋大学(0人)、大阪大学(0人)、九州大学(0人)
- TOCKY(6):筑波大学(2人)、お茶の水女子大学(0人)、千葉大学(0人)、神戸大学(0人)、横浜国立大学(4人)
- 早慶上理医(69人):早稲田大学(20人)、慶應義塾大学(10人)、上智大学(19人)、東京理科大学(20人)、私立大学医学部(0人)
- GMARCH(286人):学習院大学(15人)、明治大学(83人)、青山学院大学(31人)、立教大学(43人)、中央大学(47人)、法政大学(70人)
都立豊多摩高校の延べ大学合格人数(現役)に占める各大学合格実績(2024)

2024年3月の豊多摩高校現役卒業生の大学合格実績を大学群別に分析すると、最も大きな割合を占めているのはGMARCHで31%となっています。続いて、その他の大学が25%、日東駒専が17%と続きます。成成明学國武(成成武)は10%、四工大+東農大は6%の割合となっています。
難関大学では、上智理科大が4%、早慶が3%を占め、国公立大学では関東圏国立(医学部除く)が2%、TOCKY(医学部除く)と地方国立(医学部除く)がそれぞれ1%となっています。東京工業大学や旧帝大(医学部除く)への合格者も若干名出ています。
特筆すべき点として、GMARCH以上のレベルの大学(グラフの赤線より上)への合格割合が約42%に達しており、現役生の4割以上が難関私立大学以上のレベルに合格していることがわかります。この数字は、進学指導推進校としての豊多摩高校の教育成果を端的に示すものといえます。

都立豊多摩高校のイベント・学校行事
年間を通じて多彩な学校行事が実施され、その多くが学友会を中心とした生徒主導で運営されています。主な行事には以下のようなものがあります。
4月の遠足を皮切りに、5月には学友会総会と球技大会が開催されます。6月には伝統行事である合唱コンクールが行われ、7月には縦割りホームルームで学年を越えた交流が図られます。9月には記念祭(文化祭)と体育祭が開催され、11月には修学旅行があります。2月には地理野外調査や芸術鑑賞教室、そして特徴的な行事としてロードレース大会(男子10km、女子7km)が実施されます。
特に合唱コンクールは1952年から続く伝統行事で、クラスごとに一丸となって取り組む重要な行事として位置づけられています。また、これらの行事の多くは学友会の各委員会が中心となって企画・運営され、生徒の自主性と協調性を育む機会となっています。
月 | イベント |
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4月 | 始業式・入学式/新入生歓迎会/遠足 |
5月 | 学友会総会/校内大会 |
6月 | 合唱コンクール/宿泊防災訓練 |
7月 | 縦割りホームルーム/合宿(部活) |
8月 | 合宿(部活) |
9月 | 記念祭(文化祭)/体育祭 |
10月 | ー |
11月 | 修学旅行/地理野外調査 |
12月 | 芸術鑑賞教室 |
1月 | ー |
2月 | ロードレース/学友会総会/修学旅行 |
3月 | 校内大会/卒業式 |
都立豊多摩高校の部活動や課外活動
豊多摩高校には運動部16部と文化部19部があり、多様な興味関心に応える幅広い活動が展開されています。全体的な特徴として、「先輩後輩の垣根を越えた良好な人間関係」「初心者歓迎の姿勢」「部員主体の自主的な活動」が挙げられます。それぞれの部活動が明確な目標を持ち、充実した活動に取り組んでいます。
運動部一覧(16部)
豊多摩高校の運動部は競技力向上と人間的成長の両立を目指しています。令和7年度入試においては、サッカー(男2)、バスケットボール(男2)、バレーボール(女2)にて文化・スポーツ等特別推薦入試が実施されています。
- 硬式野球部: 「愛し愛される野球部」をモットーに神宮球場出場を目指す
- 剣道部: 剣道歴の長い2人の顧問による充実した稽古。少人数だが初心者歓迎
- 水泳部: 「自己ベスト更新」を目標に、個々のレベルに応じたメニューで練習
- 陸上競技部: 先輩・後輩の仲が良く、切磋琢磨しながら活動
- サッカー部: 東京都ベスト8を目標に、学年を超えて互いに高め合う※スポーツ推薦あり(男2)
- 硬式テニス部: 基礎から実践まで幅広く練習。学年関係なく仲が良い
- ハンドボール部(男女): 女子は「仲良く・楽しく」、男子は都大会ベスト16を目指す
- 卓球部: 生徒ホールで週4日活動。初心者も大歓迎
- バドミントン部: 限られた時間と場所で効率的な練習を実施
- 女子バレーボール部: 初心者、経験者関係なく仲良く元気に活動※スポーツ推薦あり(女2)
- ソフトテニス部: 自分たちで練習メニューを考え、楽しく活動
- バスケットボール部(男女): 男子は「東京都ベスト32」「応援されるチーム」を目標※スポーツ推薦あり(男2)
- ラグビー部: 都立高校では少ないラグビー部だが、高みを目指して活動
- 体操ダンス部: K-POPのコピーダンスから創作ダンスまで幅広いジャンルを踊る
活動の特徴
- 活動頻度: 多くの部が週5日(平日4日+土or日1日)の活動
- 施設活用: 第一・第二アリーナ、第一・第二グラウンド、テニスコートなどの施設
- 目標設定: 「東京都ベスト32」「都大会ベスト16」など具体的な目標を設定
- 部活体験: 中学生向けの部活動体験や体験入部を積極的に実施(特に男子バスケ部は夏季合宿も実施)
文化部一覧(19部)
豊多摩高校の文化部は専門的な活動と共に、創造性や個性を育む場となっています。
- 漫画研究部: 原稿を描きながら好きな漫画について話し合う活動
- 生物部: 生き物の飼育や野菜の栽培、校外での生き物採集・観察
- 天文部: 月1回の夜間観測。都立高校では珍しい大型望遠鏡を使用
- 吹奏楽部: 「自分らしい音楽を届ける」を目標に練習
- 軽音楽部: バンドを組んでライブに出演するなど自由な活動
- 放送部: 校内伝達放送や行事・式典での放送、各種大会への出場
- 演劇部: 学年関係なく活動。舞台に立ちたい人も裏方志望も歓迎
- 美術部: 平日自由参加で、それぞれ描きたい絵を描く
- 合唱部: 合唱コンクールや地区大会、中央大会に向けた練習
- 映画研究部: 映画視聴、映画撮影、コラム掲載
- クイズ研究部: 早押しボタンを使ったクイズや謎解き、問題作成・分析
- 茶道部: 作法を学び、お茶やお菓子を楽しむ和やかな活動
- 写真部: 週1〜2回の活動。初心者も経験者も歓迎
- 文芸部: 年4回の部誌「テランコグニダ」発行や歌会・句会の開催
- ファッションクリエイト部: 年3回のファッションショーに向けた衣装製作
- パソコン部: 各自の興味に合わせた活動。記念祭では自作ゲーム展示
- ESS(英会話)部: JET教師と共にゲームなどを通した英会話活動
- 歴史研究同好会: 歴史研究と記念祭での展示、歴史検定受験
- 競技かるた部: 2023年5月に同好会から部活動へ昇格。多くは高校からの初心者
活動の特徴
- 活動頻度: 週1〜3日程度が多く、文化部ならではの柔軟な活動スタイル
- 活動場所: 各教科の特別教室(音楽室、美術室、被服室など)や講義室
- 発表の機会: 記念祭(文化祭)での展示・発表、部誌発行、ファッションショー、大会参加など
- 特色ある活動: 天文部の夜間観測、文芸部の部誌発行、ファッションクリエイト部のショーなど
豊多摩高校の部活動の魅力
豊多摩高校の部活動の大きな魅力は、幅広い選択肢と部員主体の自由な活動スタイルにあります。特に以下の点が特徴的です。
初心者歓迎の姿勢
ほとんどの部活動が「初心者大歓迎」と明記しており、高校から新しい活動に挑戦したい生徒にとって入りやすい環境が整っています。特に競技かるた部では「多くの部員は初心者で高校から競技かるたを始めました」と明記するなど、新しいことへの挑戦を促しています。
良好な人間関係
「先輩後輩関係なく仲が良い」「学年を超えて仲良く」「和やかな雰囲気」といった表現が多く、部活動を通じた縦のつながりが育まれています。これは高校生活を豊かにする重要な要素となっています。
多彩な活動と目標設定
運動部では具体的な大会での成績目標、文化部では作品制作や発表の機会など、それぞれが明確な目標を持って活動しています。「自己ベスト更新」(水泳部)や「自分らしい音楽を届ける」(吹奏楽部)など、独自の目標設定も魅力的です。
ユニークな活動機会
天文部の大型望遠鏡を使った夜間観測、ファッションクリエイト部の年3回のファッションショー、文芸部の部誌発行など、都立高校ならではのユニークな活動が多彩に展開されています。
豊多摩高校の部活動は、競技や活動の種類だけでなく、その活動内容や雰囲気にも個性があり、生徒の多様な興味関心や成長を支える場となっています。
都立豊多摩高校の施設と環境
39,000平方メートルという広大な敷地には、充実した教育施設が整備されています。特徴的な施設として、シンボル的存在である銀杏並木、視聴覚ホール、図書室、進路指導室があります。体育施設は第一グラウンド、第二グラウンド、体育館、テニスコート、プールを備え、運動部の活動も盛んに行われています。
また、屋上には都内の高校では珍しい大型望遠鏡を備え、天文部の活動に活用されています。校内の緑化も進んでおり、中庭や銀杏並木は生徒の憩いの場となるとともに、環境教育の教材としても活用されています。
都立豊多摩高校の入試倍率と偏差値
入学難易度(偏差値)
豊多摩高校の偏差値は、複数の主要な予備校・教育機関のデータによると、59〜64の範囲に位置しています。
- みんなの高校情報:64(東京76位、都立20位)
- 市進教育グループ(80%合格基準):60(都立24位)
- V模擬(60%合格基準):59(東京98位、都立18位)
入試の特徴として注目すべき点は、進学指導推進校に指定されていることです。この指定は、進学実績の向上に大きく貢献しており、実際に国公立大学や難関私立大学への合格実績も着実に伸びています。
同校の進路指導の特徴は、単なる大学合格のみを目指すのではなく、「社会の中でどのように生き、どのように貢献できるのか」という、より長期的な視点での人材育成を重視している点です。一年次から自己の能力・適性や個性に応じた進路選択を考える機会を多く設定し、講演会や大学との連携など、多角的なアプローチで生徒の進路実現をサポートしています。
このような充実した進路指導体制と、自主自律の校風が評価され、都内でも人気の高い高校の一つとなっています。特に、制服がなく校則も必要最小限という自由な校風でありながら、高い進学実績を実現している点が、受験生から高く評価されている要因といえます。
入試方式
都立高校ですから、推薦入試と一般入試の2つの入試方式があります。2025年度は昨年度は推薦入試が1月26日(土)と1月27日(日)、一般入試が2月21日(金)になります。
<参考情報>詳細はこちらの東京都教育委員会のサイトをご確認ください
都立高校の一般入試では、学力検査点と調査書点の合計(1000点)に英語スピーキングテスト[ESAT-J]の結果(20点)を加えた総合得点(1020点満点)順に選抜されます。面接や実技を実施する学校では、それらの得点も加えた総合成績順に選抜されます。
入試倍率推移
校長会調査時倍率 | 応募倍率(推薦) | 応募倍率(一般) | 最終応募倍率(一般) | 受検倍率(一般) | 合格倍率(一般) | |
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2025年 | 1.79倍 | 3.27倍 | 2.27倍 | 2.13倍 | 1.90倍 | 1.87倍 |
2024年 | 1.68倍 | 2.89倍 | 1.89倍 | 1.87倍 | 1.62倍 | 1.60倍 |
2023年 | 1.60倍 | 2.79倍 | 1.95倍 | 1.95倍 | 1.74倍 | 1.72倍 |
入試倍率の特徴と傾向
豊多摩高校の入試倍率は、2023年から2025年にかけて全体的に上昇傾向にあり、特に2025年入試で大きく上昇しています。
校長会調査時倍率は3年間で着実に上昇しており、1.60倍→1.68倍→1.79倍と推移しています。これは豊多摩高校への初期段階での関心が年々高まっていることを示しています。
推薦入試倍率も上昇傾向にあり、2023年の2.79倍から2025年には3.27倍へと約17%上昇しています。特に2024年から2025年にかけての上昇(2.89倍→3.27倍)が顕著で、推薦入試の競争が激化していることがわかります。
一般応募倍率は2023年から2024年にかけて若干低下(1.95倍→1.89倍)したものの、2025年には2.27倍へと大きく上昇し、3年間で最も高い倍率となっています。2024年から2025年にかけての上昇率は約20%に達します。
受検倍率も同様のパターンを示しており、2024年の1.62倍から2025年には1.90倍へと約17%上昇しています。合格倍率も1.60倍から1.87倍へと増加しており、入試競争が全体的に激化していることがわかります。
特に注目すべきは2025年の全体的な倍率上昇で、これは豊多摩高校の人気が大きく高まっていることを示しています。教育内容や進学実績に対する評価の向上、あるいは立地条件などの魅力が受験生に認知されるようになった可能性があります。
2025年入試での豊多摩高校の合格倍率(1.87倍)は、都内の多くの高校と比較しても高い水準であり、人気校としての地位を確立しつつあると言えるでしょう。
伝統と自由が織りなす進学校 ~制服なき校風と確かな進学実績、80年の歴史が育む豊かな学びの環境
東京都立豊多摩高校は、1940年創立の伝統校でありながら、独自の革新的な教育スタイルで注目を集めています。杉並区成田西に位置し、象徴的な銀杏並木が続く39,000平方メートルの広大なキャンパスを有しています。
最大の特徴は、「自主自律」「文武両道」を掲げる特色ある校風です。制服がなく、校則も必要最小限という自由な環境の中で、生徒たちは「学友」と呼ばれ、主体的に学校生活を創り上げています。この自主性を重んじる伝統は、スタジオジブリの宮崎駿や詩人の谷川俊太郎など、多彩な人材を輩出してきました。
2007年からの進学指導推進校指定後、進学実績は飛躍的に向上し、2024年3月卒業生ではGMARCH以上の大学への合格者が全体の42%を占めています。入試難易度は偏差値59〜64の範囲で都立高校上位20位前後に位置し、2024年度の応募倍率は1.87倍と高い人気を維持しています。
1952年から続く合唱コンクールをはじめ、個性的な学校行事も特徴で、部活動も全国大会出場の実績を持つ運動部や、都内有数の大型望遠鏡を擁する天文部など、文武両道を実践しています。
同校は単なる進学実績の向上だけでなく、「社会への貢献」を重視した教育を行っています。自由な校風と確かな学力の育成を両立させるその教育姿勢は、現代の教育に求められる理想の一つを示しており、公立高校の新しいモデルとして注目され続けています。