東京の高校受験業界をリードする二大進学塾、早稲田アカデミーとZ会進学教室。両塾は難関高校への高い合格実績を誇りますが、教育理念や指導方法、強みとする分野には明確な違いがあります。この記事では、両塾の特徴、教育方針、合格実績、料金体系を徹底比較し、お子様に最適な塾選びのポイントを解説します。
【早稲田アカデミー vs Z会進学教室】基本情報比較
項目 | 早稲田アカデミー | Z会進学教室 |
---|---|---|
教育理念 | 「本気でやる子を育てる。」 | 「自ら考え、解決し、表現できる力」を養う |
校舎数 | 東京都内64校舎 | 13校舎(少数精鋭) |
指導の特徴 | ・学力と人間力の両立 ・私語のない緊張感ある授業 ・学力別少人数制クラス ・競争環境による意欲喚起 | ・書くことを重視 ・量より質を重視 ・自主性・自学力の養成 ・プロ講師による指導 |
講師陣 | 経験豊富な講師陣 | 厳正な採用試験を通過したプロ講師 (大学生アルバイト不採用) |
クラス規模 | 学力別少人数制 | 平均10〜15名程度の少人数制 |
強みとする校種 | ・早慶附属・ICU附属 ・GMARCH附属 ・都立トップ校 | ・都立トップ校(特に日比谷・西・国立) ・最難関国立・私立高校 |
入塾金 | 22,000円(税込) | 17,000円(税込) |
年会費 | 2,900円/月(税込) | なし |
月額受講料 (中3・5科目の場合) | 特訓:53,300円 レギュラー:40,000円 ExiV SK:59,100円 | 38,700円〜75,600円 (コース・月度により異なる) |
【早稲田アカデミー vs Z会進学教室】教育理念と指導方針の比較
早稲田アカデミーの教育理念
「本気でやる子を育てる。」という理念のもと、高い学力だけでなく問題解決力や精神力も育むことを重視しています。単なる受験対策を超えて、子どもたちが「本気」になる経験を通じ、自らの力で未来を切り拓ける人材育成を目指しています。
指導の3つの柱:
- 「授業」×「教材」×「意欲」の相乗効果
- 学力と人間力の両立
- 講師の力による生徒の「本気」を引き出す指導
Z会進学教室の教育理念
「自ら考え、解決し、表現できる力」を養うことを理念に掲げ、高校入学後も、将来社会で活躍するために必要な真の学力を育む塾です。単なる知識詰め込み型ではなく、思考力と表現力の養成に重点を置いています。
5つの指導方針:
- 書くことを重視
- 量より質を重視
- 基本を重視
- 自主性・自学力の養成
- 先を見据えた育成
理念の違いとアプローチの差
両塾の最大の違いは、指導アプローチにあります。早稲田アカデミーは「競争と切磋琢磨する環境」による意欲喚起を重視するのに対し、Z会は「自ら考え、表現する力」の養成と自学自習の習慣づけを重視しています。早稲田アカデミーが「やる気を引き出す指導」なら、Z会は「考える力を育てる指導」といえるでしょう。
【早稲田アカデミー vs Z会進学教室】校舎展開と指導スタイルの違い
校舎展開の規模
- 早稲田アカデミー: 東京都内を中心に64校舎を展開
- Z会進学教室: 13校舎という少数精鋭体制
講師陣と指導スタイル
早稲田アカデミー:
- 経験豊富な講師陣による指導
- 学力別少人数制クラス編成
- クラス内での適度な競争によるモチベーション向上
- テスト結果による定期的なクラス替え
Z会進学教室:
- 厳正な採用試験を通過したプロ講師による指導(大学生アルバイト不採用)
- 平均10~15名の少人数クラス
- 書くことを通じた思考力の養成
- 質問随時受付の学習サポート体制
教材とカリキュラム
早稲田アカデミー:
- 入試の仕組みから出題傾向、学校情報まで熟知した講師による指導
- 過去の入試問題を徹底分析したオリジナルテキスト
- 必勝志望校別コースによる高度な入試対策
Z会進学教室:
- Z会オリジナルテキスト(長年の通信教育のノウハウを活かした質の高い教材)
- オリジナルシート(担当講師による丁寧な添削で理解度を確認)
- 復習シート(単元の定着を図るための自宅学習用教材)
【早稲田アカデミー vs Z会進学教室】合格実績の比較分析(2025年度)
都立最難関校(御三家)
高校名 | 早稲田アカデミー | Z会進学教室 |
---|---|---|
日比谷 | 91名 | 47名 |
西 | 63名 | 50名 |
国立 | 69名 | 27名 |
合計 | 223名 | 124名 |
国立・私立最難関校
高校名 | 早稲田アカデミー | Z会進学教室 |
---|---|---|
開成 | 104名 | 8名 |
国立附属(筑駒・筑附・お茶附・学大附) | 262名 | 82名 |
合計 | 366名 | 90名 |
早慶ICU附属
高校区分 | 早稲田アカデミー | Z会進学教室 |
---|---|---|
早稲田系列 | 917名 | 26名 |
慶應系列 | 751名 | 13名 |
ICU | 87名 | 15名 |
合計 | 1,755名 | 54名 |
MARCH附属
高校区分 | 早稲田アカデミー | Z会進学教室 |
---|---|---|
明治系列 | 469名 | 13名 |
青山学院 | 154名 | 8名 |
立教系列 | 528名 | 7名 |
中央系列 | 460名 | 46名 |
法政系列 | 206名 | 4名 |
合計 | 1,817名 | 78名 |
1校舎あたりの合格効率
校種 | 早稲田アカデミー (64校舎) | Z会進学教室 (13校舎) |
---|---|---|
最難関(国立附属+開成) | 5.7人/校舎 | 6.9人/校舎 |
早慶ICU附属 | 27.4人/校舎 | 4.2人/校舎 |
MARCH附属 | 28.7人/校舎 | 6.0人/校舎 |
都立進学指導重点校 | 5.0人/校舎 | 17.8人/校舎 |
都立御三家 | 3.5人/校舎 | 9.5人/校舎 |
合格実績の全体傾向
早稲田アカデミー:
- 中高一貫校(早慶ICU系、MARCH系)で圧倒的な合格者数
- 都立トップ校でも高い合格実績(日比谷高校91名)
- 国立・私立最難関校でも高い合格者数(開成104名、国立附属262名)
- 校舎あたりの合格効率は早慶ICU・MARCH系で特に高い
Z会進学教室:
- 都立トップ校(特に日比谷・西・国立)で高い合格実績
- 校舎あたりの合格効率は都立高校で圧倒的に高い(17.8人/校舎)
- 最難関校でも一定の合格実績を維持
- 中高一貫校は相対的に弱い傾向
2023-2025年の推移分析
早稲田アカデミー:
- 都立御三家:2023年220名→2025年223名(1.4%増加)
- 早慶ICU附属:2023年1,634名→2025年1,755名(7.4%増加)
- MARCH附属:2023年1,607名→2025年1,817名(13.1%増加)
Z会進学教室:
- 都立進学指導重点校:2023年302名→2025年232名(23.2%減少)
- 日比谷高校:2023年47名→2025年47名(変化なし)
- 早慶ICU附属:2023年87名→2025年54名(37.9%減少)
- MARCH附属:2023年125名→2025年78名(37.6%減少)
戦略の違いと得意分野
早稲田アカデミーは多くの校舎を展開しながらも高い合格実績を維持し、特に早慶・MARCH系の中高一貫校で圧倒的な強さを発揮しています。一方、Z会進学教室は少数精鋭の校舎で、特に都立最難関校対策に特化した指導を行っており、校舎あたりの効率が非常に高いことが特徴です。日比谷高校では早稲田アカデミーが絶対数で勝るものの、Z会の合格者数も安定して高い水準を維持しています。
【早稲田アカデミー vs Z会進学教室】コース設計と料金体系
早稲田アカデミーのコース体系
中学1年生: 週3日間授業(5科目)
- 通常コース(月額30,600円税込)
中学2年生: 特訓/レギュラー分化
- 特訓クラス:開成高、国立附属高、早慶附属高などの最難関高校志望(月額44,400円税込)
- レギュラークラス:難関私立高や都立・県立最難関高志望(月額36,900円税込)
中学3年生: 特訓/レギュラー分化
- 特訓クラス:最難関高校志望(月額53,300円税込)
- レギュラークラス:都立・県立トップ校や難関私立校志望(月額40,000円税込)
ExiVコース: 難関中高受験専門(月額40,800円~59,100円税込)
- SKクラス:開成・国立附属・早慶附属高など最難関校志望
- Sクラス:都立/県立トップ校・MARCH附属高など難関高校志望
必勝志望校別コース: 中3向け特別コース
- 筑駒・開成・国立・早慶・都立など各校別対策
Z会進学教室のコース体系
中学1年生:
- 1V/中1難関高校受験コース:国立大附属・難関私立・公立トップ高校志望者向け
中学2年生:
- 2V/中2難関高校受験コース:国立大附属・難関私立・公立トップ高校志望者向け
- 2K/中2公立上位高校受験コース:公立上位高校志望者向け
中学3年生:
- 3V/中3最難関国私立高校受験コース:国立大附属・難関私立高校志望者向け(月額38,700円~75,600円)
- 3K/中3公立・私立上位高校受験コース:公立トップ・私立上位高校志望者向け(月額30,300円~61,200円)
特設クラス(中3):
- 3TU/国立・開成特設:国立大附属・開成などの最難関高校志望者向け
- 3TS/速習特設:国立大附属・難関私立高校志望者向け
- 3KT/公立特設:都立・県立最難関高校志望者向け
料金比較
早稲田アカデミー:
- 入塾金:22,000円(税込)
- 年会費:2,900円/月(税込)
- 中3・5科目:40,000円~59,100円/月(コースにより異なる)
Z会進学教室:
- 入会金:17,000円(税込)
- 年会費:なし
- 中3・5科目:38,700円~75,600円/月(コース・月度により異なる)
コースと料金の特徴比較
早稲田アカデミーは学年・レベル別に細かくコースが分かれており、特に「必勝志望校別コース」では第一志望校に特化した指導が受けられます。一方、Z会は比較的シンプルなコース設計ながら、中1から難関校対策を視野に入れた指導を行っています。
料金面では、早稲田アカデミーは年会費が必要な一方、Z会は月額料金の幅が広く、コースや時期によって変動します。総合的なコストはほぼ同等と言えますが、季節講習なども含めた年間総額で比較検討することをおすすめします。
【早稲田アカデミー vs Z会進学教室】口コミから見る両塾の評判
早稲田アカデミーの口コミ評判
ポジティブな評価:
- 熱意あふれる講師陣による指導
- 質の高い教材と充実した入試対策
- 適度な緊張感と競争環境
- 志望校合格への手厚いサポート
- 家庭との連携を重視した指導体制
ネガティブな評価:
- 授業料や講習料など費用負担が大きい
- 宿題や教材の量が多く負担になることも
- 競争環境に適応できない生徒には厳しい
- 授業のスピードが速く、ついていくのが大変なことも
Z会進学教室の口コミ評判
ポジティブな評価:
- プロ講師による質の高い授業
- 思考力・論理的思考力が身につく
- 少人数制で質問しやすい環境
- 丁寧な添削指導と個別フォロー
- 志望校に的確なアドバイスと情報提供
ネガティブな評価:
- 宿題の難易度が高く、負担が大きい
- 授業進行が速く、基礎学力が不足していると厳しい
- 自主性が求められ、積極的に質問できない生徒は不利
- 定期テスト対策が不十分
- 料金が高く、季節講習を含めると年間コストが大きい
口コミから見える両塾の違い
両塾とも質の高い指導と高い合格実績で評価されていますが、指導スタイルの違いが口コミにも表れています。早稲田アカデミーは競争環境による意欲喚起と志望校別対策に強みがある一方、Z会は思考力育成と自主性重視の指導スタイルが特徴です。どちらの塾も「手取り足取り」型の指導ではなく、ある程度の自主性が求められる環境である点は共通しています。
【早稲田アカデミー vs Z会進学教室】向いている生徒タイプと不向きな生徒タイプ
早稲田アカデミーに向いている生徒
- 競争心があり切磋琢磨できる生徒
・周囲のライバルと競い合うことでモチベーションが上がる
・適度なプレッシャーの中で力を発揮できる - 高い学習意欲を持っている生徒
・「本気」で取り組む姿勢がある
・積極的に授業に参加し、自ら学ぼうとする - 中高一貫校(早慶・MARCH系)を目指す生徒
・私立の附属・系属高校を第一志望としている
・大学までの一貫教育を視野に入れている - 集団の中で刺激を受けながら学びたい生徒
・同じ目標を持つ仲間と一緒に頑張りたい
・集団指導の環境で力を発揮できる - 厳しい環境でも挫けない精神力のある生徒
・プレッシャーにも負けない強さを持っている
・努力を継続できる忍耐力がある
早稲田アカデミーに向いていない生徒
- 自分のペースで学びたい生徒
・競争環境が苦手で、プレッシャーを感じやすい
・マイペースな学習スタイルを好む - 基礎学力に不安がある生徒
・学校の授業についていくのが精一杯
・予習・復習の習慣が身についていない - 学習量や宿題の負担に耐えられない生徒
・部活や他の習い事との両立が難しい
・宿題をこなす時間的余裕がない - 金銭的な負担を軽減したい生徒
・年間の塾費用を抑えたい
・季節講習などの追加費用を避けたい家庭 - 定期テスト対策を重視したい生徒
・内申点向上が最優先課題
・学校の授業と連動した指導を求める
Z会進学教室に向いている生徒
- 自主的に学習できる生徒
・自分で計画を立てて勉強できる
・分からないところは自分から質問に行ける - 基礎学力が既に高い生徒
・学校の内容を理解した上で、発展的な内容に挑戦したい
・特に英語・数学の基礎が身についている - 都立最難関校を目指す生徒
・日比谷・西・国立などの都立トップ校を第一志望としている
・記述式問題対策に力を入れたい - 思考力を伸ばしたい生徒
・暗記ではなく、考える力を身につけたい
・問題の本質を理解したい - 少人数でじっくり学びたい生徒
・大人数の環境より少人数での指導を好む
・講師と近い距離感で学びたい
Z会進学教室に向いていない生徒
- 手厚いサポートを必要とする生徒
・自主性に任せる部分が多いため、細かいフォローが必要
・やるべきことを常に指示してほしい - 定期テスト対策を重視する生徒
・内申点重視の受験方針を取る場合は不向き
・学校の定期テストで高得点を取りたい - モチベーション維持が難しい生徒
・自分で勉強する意欲を維持できない
・継続的に努力することが苦手 - 部活動や他の習い事との両立が難しい生徒
・授業進度が速く宿題も多いため時間確保が難しい
・予習・復習に十分な時間を割けない - 中高一貫校(早慶・MARCH系)を第一志望とする生徒
・Z会は都立高校対策に強みがあり、私立中高一貫校対策は相対的に弱い
・早慶・MARCH附属を第一志望とする場合は注意が必要
【早稲田アカデミー vs Z会進学教室】あなたのお子様に合うのはどちら?
早稲田アカデミーを選ぶべき場合
- 競争環境で伸びるタイプのお子様: 適度な緊張感と競争が刺激となり、ライバルと切磋琢磨することでモチベーションが上がるお子様には最適です。
- 早慶・MARCH系の私立中高一貫校志望: 圧倒的な合格実績を持つ早慶MARCH系の附属・系属高校を目指す場合は、早稲田アカデミーの強みが活きます。
- 多様なコース展開を求める: 学力レベルや志望校に応じた細かいコース設定があり、「必勝志望校別コース」など専門的な対策が可能です。
- 学力と人間力の両方を育てたい: 単なる受験テクニックだけでなく、「本気」になる経験を通じて人間的な成長も期待できます。
Z会進学教室を選ぶべき場合
- 自主的に学習に取り組めるお子様: 自ら考え、解決し、表現する力を重視する指導スタイルは、自主性のあるお子様に効果的です。
- 都立トップ校志望: 特に日比谷・西・国立などの都立最難関校を目指す場合、Z会の指導力は圧倒的な強みを発揮します。
- 少人数でプロ講師から学びたい: 大学生アルバイトではなく、厳選されたプロ講師による少人数制授業を重視する場合におすすめです。
- 思考力・表現力を重視: 単なる暗記ではなく、「考える力」「書く力」を養いたい場合、Z会の「質重視」の指導が効果的です。
最終的な選択ポイント
最終的には、お子様の性格や学習スタイル、志望校の種別、現在の学力などを総合的に考慮して選ぶことが重要です。また、実際に体験授業を受けてみて、お子様自身が「ここで学びたい」と思える環境かどうかを確認することをおすすめします。
どちらの塾も高い指導力と実績を持っていますが、そのアプローチは大きく異なります。早稲田アカデミーの「熱意と競争による成長」と、Z会の「思考力と自主性による成長」、どちらがお子様に合っているかをじっくり見極めてください。
両塾とも単なる「受験対策」を超えた教育を提供している点は共通していますが、そのアプローチの違いが明確です。お子様にとって最適な環境を選ぶことで、受験を通じた真の成長につながるでしょう。ぜひ、この比較記事を参考に、お子様と一緒に塾選びを進めてみてください。
【免責事項】 本記事は2025年3月の情報に基づいて作成しています。実際の料金やコース内容、合格実績は変更されている可能性がありますので、最新情報は各塾の公式サイトや説明会でご確認ください。