都立両国高等学校・附属中学校は、東京都墨田区江東橋に位置する公立の中高一貫校です。明治34年(1901年)に東京府立第三中学校として開校して以来、120年を超える歴史を持つ伝統校で、通称「三高」(さんこう)と呼ばれています。
平成18年(2006年)に附属中学校が開校し、中高一貫教育校として新たなスタートを切りました。さらに令和4年(2022年)からは高校からの生徒募集を停止し、完全型中高一貫校となりました。そのため、高校からの入学はできず、入学するには小学6年生の時に適性検査を受験する必要があります。
校訓「自律自修」のもと、自らを厳しく律し、自ら進んで学ぶ態度を育てる教育を実践しています。「勉強の両国」と称されるほど受験指導に熱心で、「予備校不要」を掲げ、質の高い授業と充実した補習・講習により、毎年卒業生の約3人に1人が現役で国公立大学に進学しています。これは全都立高校の中でもトップクラスの実績です。
卒業生には芥川龍之介をはじめ、各界の第一線で活躍する多くの人材を輩出しており、伝統と実績に裏打ちされた確かな教育を提供しています。
都立両国高等学校・附属中学校の入試倍率と偏差値
入学難易度(偏差値)
都立中高一貫校の入試は、私立中学の学力試験とは異なり、「適性検査」という形式で実施されます。また適性検査だけではなく調査書の内容とともに複合的に合否判定がなされます。そのため、偏差値は参考値として捉える必要があります。各模試における両国高等学校・附属中学校の偏差値の目安は以下の通りです。
- 首都圏模試センター:68
- 日能研(R4:80%水準):60
- 四谷大塚(Aライン80):60
これらの数値から、両国高等学校・附属中学校は都立中高一貫校の中で中堅~上位レベルに位置していることがわかります。適性検査は教科書の範囲内から出題され、思考力・判断力・表現力を測る問題が中心となるため、私立中学受験とは異なる対策が求められます。
入試倍率
両国高等学校・附属中学校の募集定員は120名です。2025年度入試から、従来の男女別定員が廃止され、男女合同定員となりました。この変更により、性別に関わらず公平な選抜が行われるようになっています。
過去10年間の応募倍率と受検倍率の推移は以下の通りです。
全体の倍率推移(2016年~2025年)
年度 | 応募倍率 | 受検倍率 | 受検辞退率 | 入学辞退率 |
---|---|---|---|---|
2016年度 | 8.36倍 | 8.09倍 | 3.2% | 10.0% |
2017年度 | 6.83倍 | 6.52倍 | 4.6% | 9.2% |
2018年度 | 6.43倍 | 6.13倍 | 4.7% | 5.8% |
2019年度 | 6.77倍 | 6.53倍 | 3.6% | 4.2% |
2020年度 | 7.09倍 | 6.76倍 | 4.7% | 4.2% |
2021年度 | 7.04倍 | 6.70倍 | 4.9% | 3.3% |
2022年度 | 4.88倍 | 4.57倍 | 6.4% | 6.3% |
2023年度 | 4.84倍 | 4.65倍 | 4.0% | 10.6% |
2024年度 | 4.38倍 | 4.14倍 | 5.4% | 5.6% |
2025年度 | 3.80倍 | 3.64倍 | 4.1% | 4.4% |

【参考】男子の倍率推移(2020年~2024年)
年度 | 応募倍率(男子) | 受検倍率(男子) | 受検辞退率(男子) | 入学辞退率(男子) |
---|---|---|---|---|
2020年度 | 6.63倍 | 6.30倍 | 5.0% | 5.0% |
2021年度 | 6.78倍 | 6.47倍 | 4.7% | 3.3% |
2022年度 | 4.99倍 | 4.63倍 | 7.3% | 6.3% |
2023年度 | 4.91倍 | 4.66倍 | 5.1% | 16.3% |
2024年度 | 4.61倍 | 4.39倍 | 4.9% | 5.0% |

【参考】女子の倍率推移(2020年~2024年)
年度 | 応募倍率(女子) | 受検倍率(女子) | 受検辞退率(女子) | 入学辞退率(女子) |
---|---|---|---|---|
2020年度 | 7.55倍 | 7.22倍 | 4.4% | 3.3% |
2021年度 | 7.30倍 | 6.93倍 | 5.0% | 3.3% |
2022年度 | 4.78倍 | 4.51倍 | 5.5% | 6.3% |
2023年度 | 4.78倍 | 4.64倍 | 2.9% | 5.0% |
2024年度 | 4.14倍 | 3.89倍 | 6.0% | 6.3% |

2016年から2021年までは6~8倍台の高い倍率でしたが、2022年度に高校入試が停止され完全中高一貫校化(募集人数も120人から160人に増員)したことを機に倍率が大きく下がり、4倍台となりました。2025年度はさらに低下し、3.80倍(受検倍率3.64倍)となっています。
男女別で見ると、2020年~2024年の期間では、女子の方が男子よりも倍率がやや高い傾向にありました。2025年度からの男女合同定員化により、このような男女間の倍率差は解消されることになるでしょう。
都立中高一貫校10校全体の平均と比較すると、両国は都立平均よりもやや高い倍率を維持しており、人気校であることがわかります。受検辞退率と入学辞退率は都立平均とほぼ同水準で、健全な範囲内にあります。
近年の倍率低下は受験生にとってチャンスが広がっていると言えますが、それでも3.64倍という受検倍率は決して低くはなく、しっかりとした受験対策が必要です。
都立両国高等学校・附属中学校の歴史と伝統
都立両国高等学校・附属中学校の歴史は、明治34年(1901年)4月1日に東京府立第一中学校の分校を「東京府第三中学校」と改めたことに始まります。120年以上の長い歴史を持つ伝統校です。
初代校長として新潟県立佐渡中学校長から赴任した八田三喜は、スパルタ教育を行いつつも学友会活動を重視し、自律精神の養成に努めました。厳格な規律を重んじる校風は2代校長の広瀬雄以降にも受け継がれ、今日まで続く校訓「自律自修」の基礎を築きました。
主な沿革
- 明治34年(1901年) 東京府第三中学校として開校
- 明治35年(1902年) 本所区柳原1丁目(現在地)に移転、開校式挙行
- 明治37年(1904年) 校歌を制定
- 大正12年(1923年) 関東大震災で校舎全焼
- 昭和15年(1940年) 記念歌「あゝ黎明の歌」を制定(作詞:北原白秋、作曲:山田耕筰)
- 昭和20年(1945年) 東京大空襲により校舎全焼
- 昭和24年(1949年) 男女共学開始
- 昭和25年(1950年) 東京都立両国高等学校と改称
- 昭和32年(1957年) 学校群制度時代、墨田川高校・小松川高校と61群を組む
- 平成18年(2006年) 附属中学校開校、中高一貫教育校に移行
- 令和3年(2021年) 創立120周年記念式典開催、女子制服スラックス導入
- 令和4年(2022年) 高校入試停止、完全型中高一貫校化
黄金期の実績: 1950年代~1960年代は第六学区トップ校として、東京大学合格者を40~60名前後輩出していました。当時は千葉県からの越境通学者も多く、広範囲から生徒が集まる名門校でした。
著名な卒業生: 最も有名な卒業生は芥川龍之介でしょう。本校正門脇には芥川龍之介の文学碑が建てられており、「大川の水」の末文が刻まれています。芥川がこの地を深く愛したことが感じられ、創作の背景を理解する上で重要な作品です。
その他、各界の第一線で活躍する多くの人材を輩出しており、卒業生のネットワークも活発です。淡交フィルハーモニー管弦楽団は高校OB・OGで構成されるオーケストラで、2006年の中高一貫記念コンサートではサントリーホールで演奏を披露しました。
府立三中時代から両国高校を経て、現在の中高一貫校に至るまで、「自律自修」の精神は一貫して継承されており、伝統と革新が融合した教育が実践されています。
都立両国高等学校・附属中学校の立地と最寄り駅、周辺環境
所在地とアクセス
所在地 | 東京都墨田区江東橋1丁目7番14号 |
最寄り駅 | JR総武本線「錦糸町駅」 徒歩約5分 東京メトロ半蔵門線「錦糸町駅」 徒歩約5分 都営新宿線・東京メトロ半蔵門線「住吉駅」 徒歩約10分 都営新宿線「菊川駅」 徒歩約10分 |
JR総武線と東京メトロ半蔵門線が乗り入れる錦糸町駅から徒歩5分という非常に便利な立地です。都営新宿線の住吉駅や菊川駅からも徒歩圏内にあり、都内各地からのアクセスが良好です。複数の路線が利用できるため、通学の選択肢が広いのも魅力です。
校名に「両国」とありますが、実際の所在地は両国ではなく錦糸町駅南口の江東橋エリアです。これは、校名の由来が武蔵国と下総国の境をなす隅田川に架けられた「両国橋」にあることによります。
周辺環境
両国高等学校・附属中学校が位置する墨田区江東橋は、錦糸町駅に近い商業地域と住宅地が混在するエリアです。
周辺の主な施設
- 東京スカイツリー:約2km、徒歩圏内に見える
- 江戸東京博物館:約1.5km
- 国技館(両国国技館):約1.5km
- 墨田区総合体育館:約1km
- 錦糸公園:約600m
学校周辺は下町情緒が残る地域で、地域との結びつきも強く、「志学」(キャリア教育)では地元の商店街や企業での職場体験なども実施されています。
錦糸町は商業施設が充実しており、放課後の書店や文房具店の利用にも便利です。また、東京スカイツリーや浅草などの観光地も近く、国際交流活動で海外からの訪問者を案内する際にも好立地です。
交通の便が良く、高校生(4年生以上)は自転車通学も認められています(附属中学校では認められていません)。
都立両国高等学校・附属中学校の校風と教育方針
教育目標
「自律自修」の精神で、社会に貢献する高い志を育成
都立両国高等学校・附属中学校の教育目標は、「自律自修の精神に基づき、真理と正義を愛し、広く深い教養を身に付け、心身ともに健康で明朗な生徒を育成する」ことです。
育てたい生徒像
- 自ら考え、学ぶ生徒:「自ら考え、学ぶ」態度を身に付け、未来を切り拓く意欲と行動力のある生徒
- 高い志と使命感をもった生徒:豊かな教養を身に付け、社会に貢献する高い志と使命感をもち、責任を果たす生徒
- 健康で、明朗な生徒:健やかな心と体をもち、互いに尊重し他を思いやる心と秩序を重んじる生徒
特色ある教育活動
3つの教育の柱で未来のリーダーを育成
両国の教育は、伝統的な「自律自修」の精神を基盤としながら、現代社会で求められる力を育成する特色ある活動を展開しています。
1. 理科・数学教育の充実
数学教育では、正しく解答を導く技能を習得することに加えて、答えに至る過程を論理的に表現することを重視した指導を行っています。理科教育では、実験・観察を多く取り入れ、知識のみに偏ることなく、科学的な考察力・表現力を高める授業を実施しています。
- 中学校から専門教員が指導:1年生から物理・化学・生物・地学の専門教員が授業を担当
- 発展的な内容を扱う:高校理科との接続を円滑にする
- グループ活動重視:話し合いや発表活動を通じたコミュニケーション能力の向上
2. 「志学」(キャリア教育)
本校では、中学校で実施しているキャリア教育活動を総称して「志(こころざし)学」と呼んでいます。この名称は本校の校歌の一節から着想を得ており、「学問への情熱と社会貢献のための志」の精神を将来のキャリア選択における軸に据えてほしいという想いが込められています。
- 職場体験:地元の商店街や企業、公的機関での体験
- 多様な職業人との交流:広い知見を得るための講演会
- 卒業研究(中学)・探究活動(高校):6年間を見通したキャリア教育
3. 言語能力の育成
すべての教科でグループ活動やスピーチ、プレゼンテーションなどの対話的な学びを通した言語能力の育成を行っています。
- ディベート・パネルディスカッション:相手の立場や考えを尊重し、効果的に話し合う力を育成
- 創作活動・論文執筆:小説や短歌、俳句などの表現活動
- 「書かせる教育」:中学1年時から作文や論文の執筆を重視し、卒業時まで一貫した国語教育を実践
4. 英語によるコミュニケーション
日本人と外国人講師(ALT・JET)による協働授業が行われ、JETは常駐しているため、いつでも生の英語に触れる機会があります。
- ALL ENGLISHでの授業:入学当初は驚くが、次第に英語を英語のまま理解できるようになる
- 6年間で全員が英語ディベートに挑戦:都立中高一貫校大会や全国大会へ出場
- 外国人講師によるライブ添削:放課後の添削指導で実践的なライティング力を育成
- 高い英検取得率:令和5年度は中学卒業時までに在籍生徒の50%が英検2級を取得、中3在籍生徒の91%が準2級を取得
5. 世界を見据えた国際理解教育
国際人として自他の伝統・文化を尊重し、様々な分野で活躍できる人材の育成を目指しています。
- 海外学校間交流:カンボジアのバイヨン中高等学校と姉妹校締結、定期的に交流
- スタディツアーin ユタ(中3):アメリカ合衆国ユタ州で9泊10日、ホームステイや現地中学生との交流
- 姉妹校訪問(高校):12月末にカンボジアでの文化交流を含むスタディツアー「私の未来を探す旅」
- 特色ある英語教育:英語落語、英語ディベート、「東京の魅力」「日本の伝統と文化」のプレゼンテーション
独自の校風
「勉強の両国」と「予備校不要」の実現
両国は古くから「勉強の両国」と称されるほど、総じて受験指導には熱心です。中高一貫校化に伴って「予備校不要」の更なる強化を打ち立てています。
基礎基本の徹底
- 朝学習:始業前の小テストや読書(中1~高3まで毎日)
- 補習・講習:長期休業中を含め、多くの補習や講習を開催
- 追試験:定期考査後の理解度確認
- 成績上位者の張り出し:学習意欲の向上
- 土曜授業:2005年より復活(4時間授業で年16~17日間)
主体的・対話的で深い学び
従来の講義型の授業に加え、生徒自らが能動的に学習するアクティブ・ラーニング型の授業が盛んに行われています。ペアワークやグループワーク、スピーチやプレゼンテーションといった様々な学習活動を組み合わせて、あらゆる場面に対応できる実践的な学力を身につけます。
自律自修の精神
厳格な規律の中でも自主性を重んじる校風で、授業はチャイムとともに開始され、「授業を大切にする」を基本方針としています。生徒自身で目標を設定し、その実現に向けて基礎的な学力と学びの姿勢を身につけ、自分の可能性を信じて新たな活躍の場へと進んでいきます。
都立両国高等学校・附属中学校の進路・進学実績
進路・合格者の推移
2025年3月卒業生(延べ合格者数434名)は、2022年度に高校入試が停止されてから初めての卒業生で、附属中学校からの内部進学生のみとなりました。そのため、例年の卒業生数(約560名)と比べて大幅に少なくなっています。
国公立大学への合格者は39名(全体の9.0%)、私立大学への延べ合格者数は395名(91.0%)となっています。卒業生数が減少したことにより、国公立大学合格者数も減少していますが、例年は卒業生の約3人に1人が国公立大学に現役進学しており、全都立高校の中でもトップクラスの実績を誇ります。
主な大学・短大・専門学校合格実績
2025年3月卒業生の主な合格実績は以下の通りです。
最難関国立大学
- 東京大学:7名
- 京都大学:1名
- 一橋大学:1名
- 東京科学大学:3名
- 国公立医学部医学科:1名
難関国立大学(旧帝大)
- 北海道大学:1名
- 東北大学:1名
- 名古屋大学:2名
- 大阪大学:1名
準難関国立大学(TOCKY)
- 筑波大学:2名
- 千葉大学:7名
私立最難関大学
- 早稲田大学:45名
- 慶應義塾大学(医学部除く):16名
- 上智大学:25名
- 東京理科大学:30名
私立難関大学(GMARCH)
- 明治大学:56名
- 立教大学:15名
- 中央大学:22名
- 法政大学:37名
- 青山学院大学:11名
- 学習院大学:3名
合計144名がGMARCHに合格しており、私立難関大学への進学実績も充実しています。

進路指導の特徴
両国の進路指導の最大の特徴は、「予備校に頼らない」手厚い指導体制です。
主な取り組み
- 基礎基本の徹底:毎日の朝学習、小テスト、追試験で土台を構築
- 充実した補習・講習:長期休業中を含め、多くの講習を開催
- 質の高い授業:大学入試問題の分析に裏打ちされたハイレベルな授業
- 少人数指導:1学年160名という少人数ならではの手厚い指導
- 「チーム両国」:保護者と学校が連携して生徒をサポート
- 東京大学への高い合格率:挑戦者の4~5割が合格
「志学」を通じたキャリア教育
中学校の「職場体験」や「卒業研究」、高校で行う「探究活動」などを「志(こころざし)学」として位置づけ、6年間を見通したキャリア教育に取り組んでいます。将来、職業を通して社会に貢献する高い志と使命感を身につけることを目指しています。
都立両国高等学校・附属中学校のイベント・学校行事
主な年間行事
月 | 主な行事 |
---|---|
4月 | 入学式、新入生歓迎会、校外学習(中)、遠足(高) |
5月 | 中間考査 |
6月 | 体育祭、GTEC(高)、進学懇談会(高3) |
7月 | 期末考査、林間学校(中1)、English Summer School(中2)、海外語学研修旅行(中3) |
8月 | 夏期講習(高)、部活動合宿(高) |
9月 | 両国祭(文化祭)、宿題テスト(高) |
10月 | 中間考査、防災研修(中) |
11月 | 大学体験講義(高) |
12月 | 期末考査、冬期講習(高)、スキー教室(高) |
1月 | 百人一首大会(中) |
2月 | 合唱コンクール |
3月 | 学年末考査、球技大会(中)、芸術鑑賞教室(高1)、修学旅行(高2) |
特色ある行事
両国祭(文化祭)
9月に行われる文化祭で、中学、高校一体で行われます。高校生はそれぞれのクラスで劇やミュージカルを上演することが多く、外部投票が行われ、大衆賞・展示部門賞で投票数が多かった優秀な団体は表彰されます。
中学生の英語によるミュージカルは都大会にも出場するほどのレベルで、第62回東京都英語学芸大会では広島をテーマにした「Under the Same Sky」で初優勝を遂げ、翌年の第63回大会も東京大空襲をテーマとする「sing like the wind」で連覇を果たしました。
体育祭
赤軍(せきぐん)・青軍(せいぐん)・黄軍(こうぐん)の3つの軍に分かれて競います。応援団は「援団」と呼ばれ、後半の一番目のプログラムに入っている援団のダンスは見物です。投票により順位が決まり、その様子はテレビ番組で取り上げられたこともあります。
代々の応援歌は、赤=慶應大学、青=早稲田大学、黄=東京大学と、それぞれの大学応援歌の替え歌となっています。これは両国の高い進学実績を象徴する伝統でもあります。
合唱コンクール
各クラスが課題曲と自由曲を歌い完成度を競います。江東区にあるティアラこうとうで行われ、本格的なホールでの発表は生徒たちにとって貴重な経験となります。
百人一首大会(中学)
1月に中学生を対象に開催されます。日本の伝統文化に触れる機会として、毎年白熱した戦いが繰り広げられます。
海外語学研修・スタディツアー
- English Summer School(中2):国内での英語集中研修
- スタディツアーin ユタ(中3):アメリカ合衆国ユタ州で9泊10日、ホームステイや現地中学生との交流
- 姉妹校訪問(高校):12月末にカンボジアでの文化交流を含むスタディツアー
これらの海外研修を通じて、実践的な英語力と国際感覚を養います。
都立両国高等学校・附属中学校の部活動や課外活動
運動部
両国には以下の運動部があります。
陸上競技部(高)、水泳部(中・高)、野球部(中・高)、サッカー部(中・高)、テニス部(中・高)、女子バレー部(中・高)、バスケットボール部(中・高)、バドミントン部(中・高)、卓球部(中・高)、弓道部(高)
主な特徴
- 軟式野球部(中学):創部4年目。入学前の経験に関わらず、選手全員が同じ土俵で活動
- 硬式野球部(高校):甲子園出場を目指し、日々鍛錬を継続
- 陸上競技部:校庭で短・中長距離ともに練習、高体連主催の大会に参加
- 弓道部:68代目の歴史ある部活、弓道の技術と礼節を学ぶ
文化部
両国には以下の文化部があります。
生物部(高)、理科部(中)、美術部(中・高)、管弦楽部(中・高)、軽音楽部(高)、茶華道部(中・高)、コンピューター研究部(中・高)、演劇部(中・高)、放送部(高)、料理部(高)、家庭科(中)、社会科研究部(高)、地学部(高)、ESS部(高)、ジャズ研究部(高)、化学部(高)、物理部(高)、文学部(高)
主な実績と特徴
管弦楽部
江東6区の中高一貫校で唯一のオーケストラで、多くの音楽家を輩出した伝統ある部活です。管打楽器に加え、ヴァイオリン・ヴィオラ・チェロ・コントラバスの弦楽器を加えた大編成で、中高合同で音楽を作り上げていきます。1月には東京文化会館で演奏する機会もあります。
ESS部
- ESS Entertainment:英語でミュージカルをする部活。東京都英語学芸大会で優勝・連覇の実績
- ESS Academic:英語ディベートを練習。即興型のディベートを中心に、年に何回か大会に出場
ジャズ研究部
ジャズ研のある都立高校はたったの3校という希少な部活。夏休み中のすみだ音楽祭、9月の両国祭、年3回のミニコンサートなどで発表します。
化学部・物理部
実験や研究を中心に活動し、ポスター発表会等で成果を発表。新入生歓迎会での実験紹介や両国祭の展示発表も行います。
特色ある活動
両国の部活動の特徴は、多くの部活が中高一体で活動していることです。中学生は高校生の先輩から直接指導を受けることができ、高いレベルの技術や経験を学べる貴重な機会となっています。
生徒会活動
- 中学生徒会:意見箱に寄せられた生徒の意見について議論し、学校生活に反映。広報紙『Stand』を発行
- 高校生徒会:文化祭のラムネ売り、学校説明会の校内案内、学校交流会の参加、生徒会冊子『365日』の作成
生徒会活動も活発で、学校生活をよりよくしていくために日々努めています。
出版活動
出版活動も盛んで、高校・中学生徒会が1年間の集大成として発行する『365日』や、教員による研究結果を発表する『三高教室』という学術雑誌があります。
都立両国高等学校・附属中学校の施設と環境
主な施設
充実した教育環境で学びをサポート:両国高等学校・附属中学校には、6年間の学校生活を支える充実した施設が整っています。
教育施設
- 教室:エアコン・空気清浄機・加湿機完備の快適な環境
- 自習室:集中して学習できるスペース
- 実験室:物理・化学・生物・地学の各専門実験室
- PC教室:情報教育用の設備
- 図書館:充実した蔵書と学習スペース
- 進路指導室:進路相談や資料閲覧のための専用スペース
特別教室
- 音楽室
- 美術室
- 調理室
運動施設
- 体育館:冷暖房完備(令和元年7月より)
- プール
- グラウンド:令和29年10月に改修工事完了
- テニスコート:2面、令和29年10月に改修工事完了
- 武道場:平成30年11月に非構造部材改修工事完了
特色ある施設・環境
- 芥川龍之介之碑 :正門入って左手にある文学碑には、芥川龍之介の「大川の水」の末文が刻まれています。石碑の前には紅白梅図屏風を模倣した2本の梅の木があり、春には美しい花を咲かせます。
- 「もし自分に「東京」のにほひを問う人があるならば、自分は大川の水のにほひと答えるのになんの躊躇もしないであらう。」
- 国産マッチ発祥の碑: 清水誠が設立した日本最初のマッチ製造企業である新燧社の敷地がほぼ当校に当たることから、1986年に校庭に建立された記念碑です。四角い黒い石材に「国産マッチ発祥の地」と刻まれています。
- 桂友会モニュメント :「桂友」は、かつての定時制校名であるとともに、同窓会の名前でもあります。定時制課程は2009年に閉課程となりましたが、その歴史を伝えるモニュメントが設置されています。
- 給食施設 附属中学校では、学校内の調理施設で調理して給食を提供しています。中3は食堂で、中1と中2は教室で食べています。
- 快適な学習環境 :すべての教室にエアコン・空気清浄機・加湿機が完備されており、一年を通じて快適な環境で学習できます。体育館も令和元年に冷暖房設備が完備され、行事や部活動でも快適に活動できるようになりました。
- ICT環境 :PC教室が整備されており、情報の授業や課題研究で活用されています。コンピューター研究部では、ゲーム制作、動画制作、HP制作、3Dグラフィックスなど、生徒たちが興味のある活動に取り組んでいます。
「自律自修」の伝統で第一志望を実現する両国
都立両国高等学校・附属中学校は、明治34年創立、120年を超える伝統を持つ公立中高一貫校です。校訓「自律自修」のもと、「勉強の両国」として知られ、「予備校不要」を掲げた手厚い指導で確かな進学実績を築いています。
2022年度からは高校入試を停止し、完全型中高一貫校となりました。附属中学校からの内部進学生のみとなったことで、より一貫性のある6年間の教育が可能となっています。錦糸町駅徒歩5分という好立地で、複数路線が利用でき通学に便利です。
伝統的な「勉強の両国」として、毎日の朝学習、小テスト、追試験で基礎基本を徹底し、充実した補習・講習により予備校に頼らない学力を育成しています。例年、卒業生の約3人に1人が現役で国公立大学に進学し、東京大学への挑戦者の4~5割が合格するという高い合格率を誇ります。2025年度は完全中高一貫化後初の卒業生で、東京大学7名をはじめ、早慶62名、GMARCH144名が合格しました。
教育の特色として、理科・数学教育の充実、「志学」と呼ばれるキャリア教育、言語能力の育成、英語によるコミュニケーション、世界を見据えた国際理解教育を展開しています。中学卒業時までに在籍生徒の50%が英検2級を取得し、中3の91%が準2級を取得するなど、高い英語力を育成しています。また、9月の両国祭では中学生の英語ミュージカルが都大会で優勝・連覇を果たすなど、実践的な英語教育の成果を示しています。
部活動は中高一体で行われ、中学生が高校生の先輩から直接指導を受けられる環境が整っています。管弦楽部は江東6区の中高一貫校で唯一のオーケストラで、東京文化会館での演奏会も開催されます。著名な卒業生である芥川龍之介の文学碑が校内にあり、伝統を感じながら学校生活を送ることができます。
中学受験を控えたお子様と保護者の皆様にとって、両国高等学校・附属中学校は、120年の伝統と「自律自修」の精神のもと、予備校に頼らない手厚い指導で第一志望大学への進路を実現できる、魅力的な選択肢といえるでしょう。
<参照元>
ページ内の大学合格実績やデータは各高校のホームページやパンフレットを参照しています。しかしながら、参照したタイミングによっては速報データであったり、年度をまたぎ変更となっている場合もありますので、正確なデータは各都立高校の最新データをご確認ください。
・両国高等学校・附属中学校公式サイト https://www.metro.ed.jp/ryogoku-h/
