都立昭和高校の歴史と伝統
東京都立昭和高等学校は1949年(昭和24年)に定時制課程・普通科の北多摩郡昭和町立昭和高等学校として創立されました。1951年に全日制課程・普通科を設置し、1953年に東京都へ移管されたことに伴い、現在の校名である東京都立昭和高等学校に改称されました。創立から76年の歴史を持ち、卒業生は2万人を超え、国内外の様々な分野で活躍しています。
学校の伝統行事としては「白馬移動教室」が特に有名です。1年生の5月に長野県白馬村で実施されるこの行事は、クラスごとに宿を借り切って共同生活を送りながら八方尾根の登山などを体験し、クラスメイトとの絆を深める貴重な機会となっています。
都立昭和高校の立地と最寄り駅、周辺環境
都立昭和高校は東京都昭島市東町二丁目に位置しています。最寄り駅はJR青梅線の西立川駅(徒歩5分)と東中神駅(徒歩8分)で、通学の利便性に優れています。
住所 | 東京都昭島市東町2-3-21 |
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最寄り駅 | ①JR青梅線「東中神駅」徒歩8分②JR青梅線「西立川駅」徒歩10分 |
校舎周辺の環境は非常に恵まれており、南には昭島市立昭和公園、北にJR青梅線、東西には昭島市立昭和中学校と昭島市立東小学校が隣接しています。特に隣接する昭和公園内にはネッツ多摩昭島スタジアムや昭島市総合スポーツセンター、陸上競技場、テニスコートなどのスポーツ施設があり、部活動でも活用されています。
通学圏は広く、青梅線沿線の立川市、八王子市、青梅市からの生徒が各約100名、日野市、昭島市、小平市が各約60名、さらに中央線沿線や西武線沿線、南武線及び多摩都市モノレール沿線からの生徒も増加しています。
都立昭和高校の校風と教育方針
都立昭和高校の教育目標は「自他の人権を重んじ、自律の精神に充ち、『求める心』『正しい心』『明るい心』をもった人間の育成」です。長年にわたり培われてきた「自治・自律の精神」を大切にしながら、社会の変化や今日的課題にも対応した教育活動を展開しています。
校風の特徴として「伸びやか」であることが挙げられます。服装は自由(私服登校可)ですが、自分の行動に責任を持ち、周りに迷惑をかけないという「自治・自律の精神」がしっかり根付いています。
また、学校のスローガンとして「二兎を追い二兎を得る」が掲げられており、勉強と部活動の両立が推奨されています。学習面では、東京都教育委員会から2023年度に「進学指導推進校」の指定を受け、国公立大学や難関私立大学への進学実績向上を目指した教育活動を展開しています。
さらに「英語教育研究推進校」として英語教育にも力を入れており、外国人講師(JET)による授業を受ける機会が設けられています。国際理解を深めるための「海外学校間交流推進校」としても指定されており、海外での研修プログラムも実施されています。
都立昭和高校の大学合格実績と進路指導
都立昭和高校は進学指導推進校として、国公立大学や難関私立大学への進学実績向上に取り組んでいます。進路指導の特徴として、「何を学ぶための進学か」を重視し、近隣の国公私立大学だけでなく全国の国公立大学を視野に入れた指導を行っています。
1年次から週課題が出され、学年別の模擬試験も定期的に実施されています。また、自習室や白馬ラウンジ、ホームルーム教室を18時まで自習スペースとして開放するなど、学習環境も充実しています。
進路行事としては、大学との「出会い」を大切にし、大学説明会や体験授業などを通じて、生徒が進路について考える機会を多く設けています。
都立昭和高校の現役生の大学合格実績推移(2020~2024)
2020年から2024年の5年間における都立昭和高校の大学合格実績は、全体として顕著な向上を示しています。特に2022年以降、国公立大学や難関私立大学への合格者数が大幅に増加しています。

国公立大学合格者数の推移
- 2020年:25名(卒業生の7.9%)
- 2021年:46名(卒業生の14.7%)
- 2022年:38名(卒業生の12.3%)
- 2023年:43名(卒業生の13.7%)
- 2024年:52名(卒業生の16.5%)
最難関大学(東京一科+医学部)合格者数の推移
- 2020年:0名
- 2021年:1名
- 2022年:0名
- 2023年:3名
- 2024年:2名
最難関私立大学(早慶上理+医学部)合格者数の推移
- 2020年:11名
- 2021年:12名
- 2022年:20名
- 2023年:23名
- 2024年:38名
GMARCH合格者数の推移
- 2020年:109名
- 2021年:171名
- 2022年:220名
- 2023年:219名
- 2024年:215名
この5年間の特徴として、①国公立大学合格者の増加(7.9%→16.5%)、②最難関私立大学合格者の大幅増加(11名→38名)、③GMARCH合格者数の安定した維持(2022年以降200名超)が挙げられます。特に2023年以降は最難関大学への合格実績も向上しており、進学指導推進校としての取り組みの成果が表れていると言えるでしょう。

都立昭和高校のイベント・学校行事
都立昭和高校では、生徒の人間性や社会性を育むための様々な行事が行われています。特に伝統的な行事として以下が挙げられます。
- 白馬移動教室(1年・5月):長野県白馬村での2泊3日の共同生活を通して、クラスメイトとの絆を深める行事。
- 昭高祭(全学年・9月):文化祭と体育祭からなる一大イベント。文化祭では展示発表や演劇、体育祭では各種競技や応援団の活動が行われます。
- 修学旅行(2年・11月):平和教育と防災教育をテーマに3泊4日で実施。2023年度は沖縄が旅行先でした。
- 合唱祭(1・2年・2月):外部のホールを借りて行われる、一年を締めくくる行事。各クラスが一年間の思い出と共にアカペラでハーモニーを披露します。
その他、球技大会、芸術鑑賞教室、校外学習など、生徒主体で充実した行事が年間を通して行われています。これらの行事は生徒の自主性や協調性を育む重要な機会となっています。
都立昭和高校の部活動や課外活動
【運動部】
都立昭和高校には20の運動部があり、多くの部活動が活発に活動しています。特に陸上競技部は1999年度から2009年度の11年間連続で関東大会に出場し、全国大会にも3年連続で出場するなどの実績を持っています。また、2018年度より硬式野球部とソフトテニス部が「スポーツ特別強化校」に指定され、実績を上げています。
- バスケットボール部(男女)
- バレーボール部(男女)
- バドミントン部
- 硬式テニス部(男女)
- ソフトテニス部(男女)
- 卓球部
- 陸上競技部
- サッカー部
- 野球部(硬式)
- 剣道部
- 弓道部
- ダンス部
- ストリートダンス部
- 水泳部
- 山岳部
- 少林寺拳法部
部活動加入率は兼部を含めると100%以上になり、活動は強制ではないものの多くの生徒が積極的に参加しています。活動日は部によって異なりますが、平日に1日以上オフ日があり、土日はどちらか一日は活動しない日を設けるなど、バランスを考慮した活動となっています。
【文化部】
文化部も11の部があり、自主的に活動を行っています。特に放送部や合唱部、文芸部などは各種コンクールで入賞するなど実績を上げています。
- 放送部
- 吹奏楽部
- 合唱部
- 演劇部
- 華道部
- 茶道部
- 美術部
- 漫画部
- 文芸部
- 写真部
- 軽音楽部
都立昭和高校の施設と環境
2014年に完成した新校舎は、冷暖房完備で木材を基調とした温かみのある設計になっています。特徴的な施設として、「ラーニングセンター」があり、図書室、視聴覚ホール、自習室、CALL教室が設置されています。
校舎内には「白馬ラウンジ」と呼ばれる多目的スペースがあり、職員室、進路情報コーナー、図書室、自習室、体育施設が有機的につながるよう配置されています。生徒はこのスペースを自習や教員への質問、進路相談や部活動のミーティングなどに活用しています。
施設の特徴として、生徒と職員が有機的につながる空間が実現されており、学習環境が充実しています。また、自習室やラウンジでは18時まで自習ができるなど、生徒の学習をサポートする環境が整っています。
都立昭和高校の入試倍率と偏差値
入学難易度(偏差値)
都立昭和高校の偏差値について進学実績や合格倍率から見ると、都立高校の中では中堅上位校に位置づけられています。2023年度からは進学指導推進校に指定されており、学力水準も向上していると考えられます。
- みんなの高校情報:66(東京54位、都立16位)
- 市進教育グループ(80%合格基準):62(都立18位)
- V模擬(60%合格基準):58(東京112位、都立23位)
入試方式
都立高校ですので、推薦入試と一般入試の2つの入試方式があります。2025年度は推薦入試が1月26日(日)と1月27日(月)、一般入試が2月21日(金)に行われました。
<参考情報>詳細はこちらの東京都教育委員会のサイトをご確認ください
都立高校の一般入試では、学力検査点と調査書点の合計(1000点)に英語スピーキングテスト[ESAT-J]の結果(20点)を加えた総合得点(1020点満点)順に選抜されます。面接や実技を実施する学校では、それらの得点も加えた総合成績順に選抜されます。
入試倍率推移
校長会調査時倍率 | 応募倍率(推薦) | 応募倍率(一般) | 最終応募倍率(一般) | 受検倍率(一般) | 合格倍率(一般) | |
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2025年 | 1.75倍 | 3.22倍 | 1.58倍 | 1.56倍 | 1.51倍 | 1.48倍 |
2024年 | 1.69倍 | 3.34倍 | 1.54倍 | 1.50倍 | 1.42倍 | 1.41倍 |
2023年 | 1.92倍 | 3.40倍 | 1.92倍 | 1.92倍 | 1.80倍 | 1.79倍 |
都立昭和高校の過去3年間の入試倍率データを見ると、安定した人気を維持していることがわかります。
このデータから見ると、2023年はやや高い倍率を示していましたが、2024年の男女合同定員化、私立高校の授業料の実質無償化などの影響を受け、2024年、2025年とやや倍率は下がり安定した数値を維持しています。特に注目すべきは推薦入試の高い倍率で、3倍を超える競争率となっており、推薦入試での入学の難しさがうかがえます。
一般入試については、1.5倍前後の倍率で推移しており、都立高校としては中堅~上位レベルの人気を維持していると言えます。受検倍率と合格倍率の差が小さいことから、辞退者を見込んだ多めの合格発表は行っていない様子がうかがえます。
2025年入試では、2024年よりも若干倍率が上昇していることから、同校の進学実績の向上や教育内容の充実が志願者増加につながっている可能性があります。また、進学指導推進校への指定(2023年度から)も志願動向に好影響を与えていると考えられます。
都立高校としては安定した入試倍率を維持しており、多摩地区における中堅上位校としての位置づけを確立していると評価できます。
進学実績向上と自主自律の校風が特徴
都立昭和高校は、創立76年の歴史を持つ東京都立の進学校です。「自治・自律の精神」という校風のもと、「二兎を追い二兎を得る」をスローガンに、勉強と部活動の両立を目指した教育が行われています。2023年度から進学指導推進校に指定され、国公立大学や難関私立大学への進学実績向上に力を入れています。
大学合格実績は過去5年間で着実に向上しており、特に2024年度は国公立大学合格率16.5%、最難関私立大学38名、GMARCH215名、日東駒専198名など、公立高校としては優れた実績を示しています。また特徴的なのは、現役合格率が非常に高く(90%以上)、3年間での大学進学を重視した指導が行われていることです。
入試倍率は推薦で3倍超、一般で1.5倍前後と安定した人気を維持しており、多摩地区における中堅上位校としての地位を確立しています。充実した学校行事や活発な部活動、新しい校舎と学習環境など、学校生活の様々な面でバランスの取れた教育環境が整っています。自由度の高い校風と進学実績の両立を図り、多摩地区の進学校として確固たる位置を築いている学校と言えるでしょう。