東京都教育委員会より「令和7年度東京都立高等学校入学者選抜受検状況」が発表されました。
令和7年度東京都立高等学校入学者選抜受検状況
https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/information/press/2025/02/2025022108
2025年度都立高校一般入試(学力検査)の受検状況
令和7年度の東京都立高等学校入学者選抜における受検状況を分析すると、全日制課程全体では募集人員29,976人に対し、最終応募人員は38,591人、受検人員は35,877人となり、受検倍率は1.20倍となりました。前年度の受検倍率1.29倍と比較すると、今年度は競争率が若干緩和されています。
- 普通科においては、募集人員23,937人のうち受検人員は29,856人で、受検倍率は1.25倍でした。
- 専門学科全体では応募人員4,413人に対し受検人員4,094人で、受検倍率は0.93倍と募集人員を下回る結果となりました。しかし専門学科の中でも理数科は2.69倍、芸術科は1.66倍、体育科は1.58倍、国際科は1.50倍と高い競争率を示しています。
- 工業科や家庭科、福祉科などは1.0倍を下回る倍率となっており、専門分野によって人気に差が見られます。
- 総合学科は定員1,626人に対し受検人員1,927人で、受検倍率は1.19倍でした。
- 定時制課程の単位制普通科は0.87倍、チャレンジスクールなどの定時制課程単位制総合学科は1.32倍の倍率となっています。
全体として、不受検人員(応募したが受検しなかった人数)は2,714人おり、特に普通科では2,256人と多くなっています。前年度と比較すると、全体的に競争率は緩和される傾向が見られました。
2025年度都立高校一般入試(学力検査)の受検状況一覧(普通科+α)
23区都心部の高校の一般入試の受検倍率一覧

大きな変化のあった高校
新宿高校
最終応募倍率は1.94倍と依然として人気が高いことがうかがえます。受検倍率も1.72倍と高いものの、前年比で-0.43ポイントと大幅に減少しています。受検人数も488人で前年から122人減少しています。
向丘高校
前年比で-0.46ポイントと最も大きく減少(1.90倍→1.44倍)しています。受検人数も317人で前年から101人減と大幅減となっています。
戸山高校
最終応募倍率も2.14倍と非常に高く、人気が上昇しています。受検倍率も1.74倍と区部内でも高くなっています(前年比で+0.15ポイント増加)
竹早高校
募集人数が前年比+32人と大幅増加(177人→209人)した影響もあり、受検倍率は1.43倍と比較的低めとなっています。
広尾高校
募集人数が前年比+28人増加(157人→185人)。受検人数は273人で前年から11人減少しています。
日比谷高校
受検倍率と最終応募比の差が-0.43ポイントと大きく、途中で辞退者が多く出ています。校長会調査の倍率は1.42倍、そこから最終応募倍率は2.01倍と高くなるものの、国立・難関私立などの進学校合格者が辞退し、例年受検倍率は下がる傾向にあります。
全体傾向
23区都心部の都立高校では、全体的に前年と比較して受検倍率が下がる傾向が見られます。文京高校が1.23倍と最も低い受検倍率を示す一方、戸山高校(1.74倍)、新宿高校(1.72倍)、青山高校(1.72倍)、三田高校(1.60倍)といった学校は依然として高い倍率を維持しています。また、校長会調査時点から最終応募時点にかけて倍率が上昇する傾向があり、特に戸山高校は校長会調査時1.78倍から最終応募時2.09倍へと大きく上昇しています。豊島高校も校長会調査で2.19倍と高い倍率を記録しており、特定の学校への志願者集中が見られます。
23区東部の高校の一般入試の受検倍率一覧

大きな変化のあった高校
青井高校
受検倍率が0.52倍と極めて低く、前年比で-0.64ポイントと大幅減少となっています。受検人数も74人で前年から85人減と著しい減少し、募集人数(142人)を大きく下回る状況です。
城東高校
募集人数を-32人と削減(284人→252人)した影響か、前年比で-0.39ポイントと大きく減少(1.81倍→1.42倍)しています。受検人数も358人で前年から157人減と大幅減。
竹台高校
募集人数が前年比-28人と大幅減少(183人→155人)した影響か、受検人数も222人で前年から54人減となりました。
足立高校
募集人数が前年比-32人と削減(252人→220人)されましたが、受検人数は329人で前年と同数。受検倍率は1.50倍と前年比+0.19ポイント上昇しました。
葛飾野高校
受検人数が289人で前年から49人減少しました。受検倍率は1.14倍と前年比-0.20ポイント減少しています。
全体傾向
23区東部の都立高校では、多くの学校で前年と比較して受検倍率や受検人数が減少しています。特に青井高校(0.52倍)や葛西南高校(0.53倍)、淵江高校(0.80倍)、篠崎高校(0.80倍)など、募集人数を下回る倍率の学校が目立ちます。一方で、上野高校(1.79倍)や深川高校(1.69倍)、江北高校(1.59倍)などは比較的高い倍率を維持しています。
また、深川外国語コースは1.46倍と専門コースとして一定の人気を保っています。募集人数の調整も複数校で見られ、地域全体としての適正な定員配分が試みられていることがうかがえます。
23区西部の高校の一般入試の受検倍率一覧

大きな変化のあった高校
豊多摩高校
受検倍率が1.90倍と非常に高く、前年比で+0.28ポイントと大幅上昇しています。受検人数も478人で前年から71人増と大きく増加しています。校長会調査倍率も1.79倍、願書受付時には2.27倍と人気が高い高校です。
駒場高校
受検倍率が1.79倍と高く、前年比で+0.09ポイント上昇しました。募集人数が前年比-32人と削減(252人→220人)しまいたが、最終応募倍率は1.92倍と高い水準となっています。
芦花高校
受検倍率が1.83倍と区部内で高い水準となっています。前年比で-0.07ポイントとわずかな減少していますが、最終応募倍率時点でも2.02倍と非常に高い人気となっています。
大森高校
受検倍率が0.42倍と極めて低く、募集人数を大きく下回っています。募集人数は前年比-35人と大幅削減(165人→130人)しましたが、受検人数は55人で前年から8人減少しています。
大山高校
募集人数が前年比-32人と大幅削減(169人→137人)。受検倍率は0.66倍と低い水準となっています。
八潮高校
受検倍率が0.68倍と低く、前年比で-0.37ポイントと大幅減少となっています。受検人数も114人で前年から41人減と大幅減。募集人数は+20人増加(148人→168人)にもかかわらず充足していません。
杉並高校
受検倍率が1.10倍と前年比で-0.40ポイントと大幅減少となりました。受検人数も279人で前年から100人減と著しい減少となっています。
全体傾向
23区西部の都立高校では、学校間の受検倍率の格差が非常に大きいことが特徴です。豊多摩高校(1.90倍)、芦花高校(1.83倍)、駒場高校(1.79倍)、石神井高校(1.68倍)、国際一般(1.50倍)など高い倍率を維持している学校がある一方、大森高校(0.42倍)、大山高校(0.66倍)、八潮高校(0.68倍)、光丘高校(0.68倍)、田柄高校(0.74倍)など、募集人数を大きく下回る学校も多く見られます。
多くの学校で前年と比較して受検人数が減少している中、豊多摩高校や小山台高校などは増加傾向にあり、人気校への志願者集中が進んでいる様子がうかがえます。また、複数の学校で募集人数の調整が行われており、特に大森高校や大山高校などでは大幅な募集削減が実施されています。校長会調査時の倍率から最終応募時にかけての変動も学校によって異なり、特に芦花高校(1.72倍→2.07倍)や豊多摩高校(1.79倍→2.27倍)などは最終応募時に大きく倍率が上昇しています。
多摩地区北部の高校の一般入試の受検倍率一覧

大きな変化のあった高校
立川高校
創造理数科は受検倍率が4.20倍と極めて高く、前年比で+1.76ポイントと大幅に上昇しました。受検人数も147人で前年から64人増と大きく増加しています。また普通科と創造理数科の併願ができるため、仮に創造理数科の受検者数のうち不合格となった受検者が普通科を併願しているとすると、最終応募時で2.23倍、受検時でも1.91倍と普通科屈指の高倍率となります。
府中高校
募集人数が前年比+32人と定員増加(220人→252人)した影響か、受検倍率は1.27倍と前年比-0.51ポイントの大幅減少となりました。受検人数も320人で前年から71人減少しています。
府中西高校
受検倍率が1.00倍と前年比-0.20ポイント減少しています。受検人数も238人で前年から44人減少。最終応募倍率1.07倍とほぼ募集人数と同程度の応募となっていました。
拝島高校
受検倍率が0.96倍と募集人数を下回っています(前年比-0.19ポイント減少)。受検人数も212人で前年から42人減少しています。
神代高校
受検倍率が1.84倍と普通科では地区内で最も高い水準となりました(前年比+0.19ポイント上昇)。受検人数も464人で前年から48人増加しています。
多摩科学技術高校
受検倍率が1.04倍と前年比-0.42ポイントの大幅減少となりました。受検人数も153人で前年から62人減少し、願書受付時には1.46倍だった倍率が大きく減少しています。
東村山西高校
受検倍率が0.85倍と募集人数を下回りました(前年比-0.20ポイント減少)。受検人数も161人で前年から38人減少しています。
全体傾向
多摩地区北部の都立高校では、立川_創造理数科(4.20倍)や神代高校(1.84倍)、狛江高校(1.67倍)、昭和高校(1.51倍)、調布北高校(1.60倍)、国分寺高校(1.54倍)など一部の人気校を除き、多くの学校で前年と比較して受検倍率が下がる傾向が見られます。また、府中西高校(1.00倍)、多摩科学技術高校(1.04倍)、東大和高校(0.94倍)、拝島高校(0.93倍)、東村山西高校(0.85倍)などでは倍率が1倍前後まで下がっており、募集人数の充足が懸念される状況です。
小平高校外国語コースは1.13倍(前年比-0.57ポイント)と専門コースでありながら大幅に(最終応募時には1.14倍)下がっています。地域全体としては校長会調査時から願書受付時にかけて倍率が上昇する学校と下降する学校が混在しており、志願動向の変化が著しいことがうかがえます。
多摩地区南部・西部、島しょ部の高校の一般入試の受検倍率一覧

大きな変化のあった高校
日野高校
受検倍率が1.38倍と比較的高く、最終応募倍率も1.42倍となっていました。受検人数は348人で前年から69人減少(前年比で-0.27ポイントの減少)ですが、地区内では高い水準を維持しています。
多摩高校
受検倍率が0.49倍と極めて低く、前年比で-0.17ポイント減少しました。受検人数も78人で前年から26人減少と募集人数(159人)を大きく下回る状況となっています。
山崎高校
受検倍率が0.65倍と低く、前年比で-0.44ポイントと大幅減少となっています。受検人数も90人で前年から69人減と著しい減少。最終応募倍率も0.67倍と募集人数を充足できていませんでした。
松が谷高校
募集人数が前年比-32人と大幅減少(220人→188人)した影響か、受検人数も251人で前年から35人減少となりました。受検倍率は1.34倍と比較的安定しています。
翔陽高校
受検倍率が0.72倍と低く、前年比で-0.32ポイントと大幅減少となりました。受検人数も138人で前年から57人減と大幅減となっています。募集人数は+5人増(188人→193人)にもかかわらず充足しませんでした。
野津田高校
受検倍率が0.46倍と極めて低く、前年比で-0.12ポイント減少となっています。受検人数も46人で前年から11人減少し、地区内で最も低い倍率の一つとなりました。
永山高校
受検倍率が0.93倍と前年比で-0.32ポイントと大幅減少となりました。受検人数も225人で前年から70人減と大幅減。
八丈高校
受検倍率が0.36倍と極めて低くなっています。島しょ部の特殊性を反映する結果となりました。
全体傾向
多摩地区南部・西部の都立高校では、全体的に受検倍率が低く、多くの学校で募集人数を充足できていない状況が見られます。日野高校(1.38倍)や松が谷高校(1.34倍)、南平高校(1.37倍)、成瀬高校(1.33倍)など一部の学校では比較的高い倍率を維持していますが、多摩高校(0.49倍)、五日市高校(0.45倍)、野津田高校(0.46倍)、八丈高校(0.36倍)など、0.5倍を下回る学校も多数存在します。
片倉造形芸術コースや松が谷国際教養コースなどの専門コースも倍率が低下しており、前者は0.95倍、後者は0.95倍と1倍を切っています。地域全体として前年と比較して応募者数や受検者数が減少している傾向が顕著で、特に山崎高校、永山高校、翔陽高校などでは大幅な減少が見られます。
一方で、八王子東高校は1.41倍と前年比+0.14ポイント上昇し、最終応募倍率も1.52倍と高い人気を維持しています。地区内での学校間格差が拡大している様子がうかがえ、一部の人気校と多くの定員割れ校という二極化の傾向が進行しています。
進学指導重点校・特別推進校・推進校の受検状況(募集人員・受検人員・受検倍率)



特に高い倍率の学校
立川_創造理数科
受検倍率4.20倍と突出して高く、前年比+1.76ポイントと大幅上昇しています。願書受付時には4.57倍と極めて高い人気を誇っています。
戸山高校
受検倍率1.74倍と高水準となり、前年比+0.15ポイント上昇しました。最終応募倍率2.09倍と非常に高い人気です。
駒場高校
受検倍率1.79倍と高い水準です。募集人数削減(252人→220人)に伴い倍率上昇しています。
中程度の倍率の学校
日比谷高校
受検倍率1.57倍となりました。前年比+0.17ポイント上昇しています。最終応募倍率2.00倍と高い志願者集中でしたが、例年通り受験倍率は減少しています。
青山高校
受検倍率1.72倍と高倍率ですが、前年比-0.14ポイント減少しています。最終応募倍率1.96倍と依然高い人気を誇っています。
国立高校
受検倍率1.42倍、前年比-0.01ポイントとほぼ横ばいとなっており、安定した人気を維持しています。
前年からの変動が大きい学校
新宿高校
受検倍率1.72倍だが前年比-0.43ポイントと大幅減少 受検人数も488人で前年から122人減 依然として高い倍率を維持
八王子東高校
受検倍率1.41倍と前年比+0.14ポイント上昇 最終応募倍率1.52倍と安定した人気
国分寺高校
受検倍率1.54倍と前年比+0.22ポイント上昇 最終応募倍率1.67倍と人気上昇
全体的傾向
進学指導指定校全体では、立川_創造理数科を除き、概ね1.4〜1.8倍の受検倍率を維持しており、一般校と比較して高い人気を保っています。多くの学校で前年と比較して受検人数は減少していますが、倍率は比較的安定しています。特に戸山、駒場、日比谷、青山などの伝統校は引き続き高い人気を維持し、願書受付時には2.0倍前後の高い倍率を記録しています。
少子化進む中での都立高校入試、人気校と定員割れ校の二極化が加速
2025年度の東京都立高校入試では、全日制課程の募集人員29,976人に対し、最終応募人員38,591人、受検人員35,877人となり、前年度と比較して応募者数・受検者数ともに減少しました。
特に目立つのは学校間・学科間の格差の拡大です。立川創造理数科(4.20倍)をはじめ、豊多摩高校(1.90倍)、駒場高校(1.79倍)、上野高校(1.79倍)、芦花高校(1.83倍)など一部の高校で高い倍率を記録した一方、大森高校(0.42倍)、五日市高校(0.45倍)、多摩高校(0.49倍)、青井高校(0.52倍)など、0.5倍を下回る高校も多数見られました。
学科別では、普通科全体の受検倍率は1.25倍でしたが、専門学科は0.93倍と全体では募集人員を下回りました。専門学科の中でも理数科(2.69倍)、芸術科(1.66倍)、体育科(1.58倍)、国際科(1.50倍)は高い人気を維持した一方、工業科(0.74倍)や福祉科(0.58倍)など志願者が少ない学科も多く、専門分野による格差が大きくなっています。
地域別では、23区部の伝統校や多摩地区の一部の進学校に志願者が集中する傾向が強まり、特に戸山高校(1.74倍)、日比谷高校(1.57倍)、新宿高校(1.72倍)などの進学指導指定校は高い倍率を維持しました。一方、多摩地区南部・西部では多くの高校で募集人員を下回る状況となり、地域間格差も拡大しています。
出願動向では、校長会調査時から願書受付時にかけて倍率が上昇する学校と下降する学校が混在し、特に人気校では出願期間後半に志願者が集中する傾向が見られました。また、最終応募時から受検時にかけて多くの辞退者が出るケースも多く、全体で2,714人が受検しませんでした。
少子化が進む中での今回の入試結果は、限られた生徒を各高校が獲得するための特色づくりや入試制度の見直しなど、今後の都立高校教育の方向性に大きな影響を与えるものと考えられます。
<参照元>
ページ内のデータは東京都教育委員会発表資料・各高校のホームページやパンフレットを参照しています。しかしながら、参照したタイミングによっては速報データであったり、年度をまたぎ修正・変更となっている場合もありますので、正確なデータは東京都教育委員会、各都立高校の最新データをご確認ください。