「理系が好き」「ものづくりに興味がある」「将来は技術者や研究者になりたい」——そんな中学生の皆さんにとって、都立多摩科学技術高校は注目すべき進学先の一つです。
2010年に開校した比較的新しい学校でありながら、スーパーサイエンスハイスクール(SSH)指定校として理工系人材育成に特化した教育を展開し、現役生の4人に1人が国公立大学に進学という確かな実績を築いています。
「理系の専門高校は勉強についていけるかな?」「将来の選択肢が限られてしまうのでは?」といった不安を抱く方もいらっしゃるかもしれません。しかし、理工系の専門教育で培った論理的思考力や問題解決能力は、東京大学や一橋大学などの最難関大学はもちろん、GMARCH等の文系学部でも高く評価されており、幅広い進路選択が可能です。
本記事では、都立多摩科学技術高校の偏差値・倍率から進学実績、校風、部活動まで、受験を検討している中学生とその保護者の方が知りたい情報を包括的に解説します。
都立多摩科学技術高校の入試倍率と偏差値
入学難易度(偏差値)
都立多摩科学技術高校の偏差値は、主要な高校情報サイトによると以下の通りです。
- みんなの高校情報:61(東京都内121位、都立27位)
- 市進教育グループ:60(都立24位)
- V模擬:57(東京都内133位、都立26位)
理工系特化校としては中堅上位レベルの難易度となっており、理系志望の生徒にとって挑戦しやすい水準と言えるでしょう。都立高校全体の中でも上位に位置しており、一定の学力が求められます。
入試倍率
過去3年間の入試倍率の推移は以下の通りです。
年度 | 校長会調査時倍率 | 応募倍率(推薦) | 応募倍率(一般) | 最終応募倍率(一般) | 受検倍率(一般) | 合格倍率(一般) |
---|---|---|---|---|---|---|
2025年 | 1.07倍 | 1.33倍 | 1.46倍 | 1.45倍 | 1.04倍 | 1.00倍 |
2024年 | 1.31倍 | 1.68倍 | 1.72倍 | 1.71倍 | 1.46倍 | 1.41倍 |
2023年 | 1.84倍 | 1.97倍 | 1.84倍 | 1.84倍 | 1.52倍 | 1.46倍 |
近年は倍率が低下傾向にあり、2025年度は受検倍率が1.04倍と比較的受験しやすい状況となっています。理工系に興味のある生徒にとって、挑戦しやすい環境が整っていると言えるでしょう。
都立多摩科学技術高校の歴史と伝統
都立多摩科学技術高校は、2010年(平成22年)に開校した比較的新しい学校です。東京都教育委員会の「都立高校改革推進計画」に基づき、多摩地域の中核となる理系進学校を目指して設立されました。
主な沿革
- 2008年4月:開設準備室を都立小金井工業高等学校内に設置
- 2010年4月:第1回入学式を挙行し開校
- 2011年9月:新校舎へ移転
- 2012年4月:文部科学省スーパーサイエンスハイスクール(SSH)第Ⅰ期に指定
- 2017年4月:SSH第Ⅱ期に指定
- 2018年4月:進学指導推進校に指定
- 2022年4月:SSH第Ⅲ期に指定、現在に至る
初代校長には日産自動車から役山孝志氏を招聘するなど、産業界との連携を重視した学校運営が特徴的です。開校から15年という短い歴史ながら、継続的なSSH指定により理工系教育の先進校としての地位を確立しています。
都立多摩科学技術高校の立地と最寄り駅、周辺環境
所在地とアクセス
- 所在地:東京都小金井市本町6丁目8番9号
- 最寄り駅:JR中央線 武蔵小金井駅 徒歩10分
都心部からのアクセスも良好で、新宿駅から武蔵小金井駅まで約30分と通学しやすい立地にあります。
周辺環境
小金井市は緑豊かな武蔵野エリアに位置し、学習環境として非常に恵まれています。周辺には以下のような施設があります。
- 江戸東京たてもの園:歴史的建造物の野外博物館
- 小金井公園:都内有数の大規模公園
- 東京農工大学小金井キャンパス:連携協定を結ぶ大学が近隣に立地
- 武蔵野の雑木林:自然豊かな環境
理工系の学習に集中できる静かな環境でありながら、都心部へのアクセスも良好という理想的な立地条件を備えています。
都立多摩科学技術高校の校風と教育方針
教育目標
同校は以下の5つの教育目標を掲げています。
- 科学技術への好奇心と探究心を育て、創造力を伸ばす
- 進路実現に必要な学力を確実に育てる
- 柔軟な発想力と論理的な課題解決力を育てる
- 社会人としての責任感と豊かな人間性を育てる
- 自らの可能性に気づかせ、未来をひらく志を育てる
特色ある教育活動
◆ 4つの先端技術領域
1年次に以下の4領域すべてを学習し、2年次から専攻を選択することになっています。
- BT(バイオテクノロジー):生物学、遺伝子工学
- ET(エコテクノロジー):環境化学、分析技術
- IT(インフォメーションテクノロジー):AI、IoT、プログラミング
- NT(ナノテクノロジー):材料工学、微細加工技術
◆ 課題研究・卒業研究
2年次の課題研究、3年次の卒業研究では、生徒が自らテーマを設定し、本格的な研究活動を行います。
◆ 高大連携
東京農工大学との連携協定により、大学レベルの研究設備を使用した学習が可能です。
独自の校風
- 理系への情熱を共有する仲間たち:全員が理系志望という環境
- 研究マインドの醸成:探究心と創造力を重視
- 産業界との連携:科学技術アドバイザー制度
- 国際性の重視:サイエンスダイアログ、海外研修
都立多摩科学技術高校の進路・進学実績
進路・合格者の推移
過去5年間で着実に進学実績を向上させており、特に2025年度は過去最高水準の成果を達成しています。
- 国公立大学合格者数:2021年度45名 → 2025年度58名
- 現役国公立大学合格率:2021年度21.4% → 2025年度27.6%
- 私立大学延べ合格者数:2021年度359名 → 2025年度481名
2025年度(令和7年3月卒)の主な大学合格実績
◆ 国公立大学合格実績(58名)
- 最難関大学:一橋大学1名
- 旧帝大:東北大学1名、名古屋大学2名
- TOCKY:筑波大学2名、横浜国立大学1名
- 関東主要国公立:東京都立大学13名、東京農工大学10名、電気通信大学7名、埼玉大学2名、宇都宮大学1名、群馬大学1名、東京学芸大学1名、東京海洋大学1名、横浜市立大学1名 など
- その他地方国公立:14名
◆ 私立大学合格実績(延べ481名)
- 早慶上理医:早稲田大学6名、上智大学2名、東京理科大学12名(合計20名)
- GMARCH:法政大学27名、明治大学15名、青山学院大学7名、中央大学6名、立教大学3名、学習院大学2名(合計60名)
- 四工大+東農大:工学院大学29名、東京電機大学28名、芝浦工業大学24名、東京農業大学22名(合計103名)
- 日東駒専:67名
- その他私立:160名
特筆すべき成果
- 現役生の27.6%が国公立大学に合格
- 四工大+東農大で103名(現役生の約半数)が合格
- 理工系教育で培った論理的思考力が文系分野でも高評価
進路指導の特徴
- 個別進路指導:生徒一人ひとりの適性に応じたきめ細かな指導
- 研究活動の活用:課題研究・卒業研究の成果を進路選択に活用
- 大学研究室訪問:実際の研究現場を体験
- 充実した講習体制:年18回の土曜授業、長期休業中の集中講習

都立多摩科学技術高校のイベント・学校行事
主な年間行事
- 4月:入学式、遠足
- 6月:体育祭
- 7月:アドバイザー授業・講演、サイエンスダイアログ
- 8月:夏期講習、研究室訪問、SSH生徒研究発表会、海外研修
- 9月:多摩未来祭(文化祭)、科学の祭典
- 10月:卒業研究発表会(BT/IT)
- 11月:修学旅行、卒業研究発表会(ET/NT)
- 12月:アドバイザー授業・講演、サイエンスダイアログ、冬期講習
- 3月:課題研究発表会、卒業式、芸術鑑賞教室
特色ある行事
- 科学の祭典 :1年生が参加する科学体験イベントで、理科への興味・関心を深めます。
- サイエンスダイアログ: 外国人研究者による英語での講演会で、国際的な視野を養います。
- 研究発表会 :2年次の課題研究、3年次の卒業研究の成果を発表する本格的な学術発表会です。
- 海外研修 :SSH事業の一環として、海外の研究機関や大学を訪問し、国際的な研究交流を行います。
都立多摩科学技術高校の部活動や課外活動
運動部
- 球技系:バスケットボール部、バレーボール部、サッカー部、硬式テニス部、卓球部、バドミントン部
- 個人競技:陸上競技部、水泳部、剣道部
文化部
◆ 科学研究部: 最も特色ある部活動で、以下の4班に分かれて活動
- 生物班:野外調査、生物の観察・研究・飼育
- 化学物理班:化学・物理に関する研究活動
- 生活科学班:衣・食・住をテーマにした課題解決研究
- 数学班:数学オリンピックや大学入試問題への挑戦
◆ 技術系部活
- ロボット研究部:LEGO MINDSTORMS等を使用したロボット製作
- 無線工作部:無線技術、電気自動車製作、地震予知研究
- パソコン部:プログラミング、AI研究、映像制作
◆ その他文化部
- 美術・イラスト部、写真部、天文部
- 吹奏楽部、軽音楽部
- ボランティア部、将棋部
特色ある活動
多くの部活動で兼部が可能で、勉強と部活動の両立がしやすい環境です。特に科学研究部では、全国レベルの研究発表会で数々の受賞実績があります。
都立多摩科学技術高校の施設と環境
主な施設
- サイエンスホール:大規模な講演会や発表会が可能
- 各専門実習室:BT、ET、IT、NT各領域の専門実習室
- 一般教室:少人数制(1クラス35名)に対応
- 図書館、体育館、グラウンド
特色ある施設・環境
◆ 最先端研究設備
- コンピュータ:iMac24台を含む約220台
- 分析機器:電子顕微鏡、DNAシーケンサ、高速液体クロマトグラフ装置
- 製造装置:3Dプリンタ、カーボンナノチューブ製造装置
- 測定機器:X線回折装置、蛍光X線分析装置
◆ 充実した実験環境
- クリーンベンチ、ドラフトチャンバー
- オートクレーブ、ロータリーエバポレーター
- 各種分光光度計、ガスクロマトグラフ
これらの設備は大学レベルのものも多く、高校生でありながら本格的な研究活動が可能です。
理系の夢を叶える最高の環境!多摩科技で科学者への第一歩を
都立多摩科学技術高校は、理工系に特化した教育と確かな進学実績を誇る注目すべき学校です。
入試難易度は偏差値61と中堅上位レベルで、2025年度の倍率1.07倍と比較的受験しやすい状況です。進学実績では現役生の27.6%が国公立大学に合格し、理工系私立大学への進学実績も圧倒的です。しかし、一般的な大学受験を想定したカリキュラムとなっているわけではないため注意は必要です。
教育面では、4つの先端技術領域での専門学習、本格的な課題研究・卒業研究、充実した研究設備など、他校では体験できない理工系教育を提供しています。SSH指定校として国際的な視野も養い、文理融合の人材育成にも成功しています。
「理系が好き」「将来は科学技術分野で活躍したい」と考える中学生にとって、都立多摩科学技術高校は理想的な学習環境を提供する学校と言えるでしょう。専門性を深めながら幅広い進路選択が可能な同校で、科学技術への夢を実現してみませんか。
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<参照元>
ページ内の大学合格実績は各高校のホームページやパンフレットを参照しています。しかしながら、参照したタイミングによっては速報データであったり、年度をまたぎ変更となっている場合もありますので、正確なデータは各都立高校の最新データをご確認ください。
・多摩科学技術高校公式サイト https://www.metro.ed.jp/tamakagakugijutsu-h/