東京都立竹早高等学校は、1900年に設立された東京府立第二高等女学校を前身とする、123年の歴史を誇る伝統校です。「自主自律」の精神のもと、「眞実一路」「清新溌剌」「協同親和」を校訓として掲げ、次代を担うリーダーの育成に取り組んでいます。現在は東京都教育委員会より「進学指導推進校」「理数研究校」「英語教育研究推進校」「海外学校間交流推進校」の指定を受け、充実した教育活動を展開しています。生徒の主体的な学びを重視し、「まっすぐ、高く、しなやかに、伸ばす」という教育理念のもと、確かな学力と豊かな人間性を育む教育を実践しています。国際化や情報化が進む社会において、持続可能な未来を創造できる人材の育成を目指し、日々の教育活動に取り組んでいます。
都立竹早高校の歴史と伝統
竹早高校は1900年、東京府第二高等女学校として創設されました。創立当初から1945年まで、校長・教職員は東京府女子師範学校(現・東京学芸大学)と兼務で、学校行事も合同で実施されるなど、教育者養成の伝統とも深く結びついていました。戦前は「浅草の第一(白鷗)、小石川の第二(竹早)、麻布の第三(駒場)」と並び称される高等女子教育の名門として、その名を馳せていました。
1921年にアントワープ五輪後に着任した金栗四三教諭を中心とした体育教育の充実で、第1回東京女学生庭球大会の開催や、1923年の第6回極東選手権競技大会での「竹早チーム」の活躍など、スポーツの面でも輝かしい歴史を刻んでいます。1929年には活動しやすいセーラー服の制服や校章が制定され、1934年には3階建て鉄筋コンクリートの新校舎が竣工するなど、時代の先端を行く学校としての歩みを続けてきました。
1949年に男女共学となり、1950年に現在の校名である「東京都立竹早高等学校」と改称。1980年からは帰国子女の受け入れを開始し、国際色豊かな学校としての新たな特色を打ち出しています。2001年の創立100周年を経て、現在は進学指導推進校として、また理数研究校、英語教育研究推進校、海外学校間交流推進校として、新たな時代に即した教育活動を展開しています。
都立竹早高校の立地と最寄り駅、周辺環境
竹早高校は東京都文京区小石川に位置し、東京メトロ丸ノ内線茗荷谷駅から徒歩10分、後楽園駅から徒歩12分、都営地下鉄三田線・大江戸線春日駅から徒歩13分という優れたアクセスを誇ります。都営バス「春日二丁目」停留所もすぐ近くにあり、都内各所からの通学に便利な立地となっています。
住所 | 東京都文京区小石川4-2-1 |
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最寄り駅 | ①東京メトロ丸ノ内線「茗荷谷駅」 徒歩10分 ②東京メトロ丸ノ内線/東京メトロ南北線「後楽園駅」 徒歩12分 ③都営三田線/都営大江戸線「春日駅」 徒歩13分 |
学校は東京学芸大学附属竹早小学校・中学校と隣接しており、文教地区としての落ち着いた環境の中に位置しています。周辺には歴史ある寺社や文化施設も多く、教育環境として恵まれた立地といえます。在校生の出身中学校は23区全域と6市に及び、特に板橋区・練馬区・足立区・北区・江戸川区からの入学者が多く、幅広い地域から生徒が集まっています。自転車通学も届出制で認められており、各学年20人程度が利用しています。
都立竹早高校の校風と教育方針
「自主自律」を校風とする竹早高校では、他からの指図や干渉によらず、自分の意思に基づいて行動する「自主」の精神と、自ら立てた規範に従って行動する「自律」の精神を重視しています。校訓である「眞実一路」「清新溌剌」「協同親和」は、それぞれ真理を求めて意欲的に学ぶ姿勢、感性豊かな心と健やかな体を育む態度、多様な存在を認め合い協力する精神を表しています。
2022年度からは総合的な探究の時間に「Tタイム」を導入し、”All Different All Wonderful”(みんな違ってみんないい)をスローガンに掲げ、生徒一人ひとりの個性を伸ばす教育を展開しています。この探究学習では、自分の興味・関心から問いを見つけ、研究・発信する活動を3年間かけて行い、東京大学等の研究室訪問や大学院生によるティーチングアシスタントの支援も受けながら、深い学びを実現しています。
また、「3つのC」として、Chance(機会)、Challenge(挑戦)、Change(変化・成長)を重視し、様々な場面で生徒が成長できる機会を提供しています。デジタル化にも積極的に取り組み、2022年度入学生からは1人1台端末を導入し、より効果的な学習環境の整備を進めています。
都立竹早高校の大学合格実績と進路指導
特徴的なのは、3年間を見通した計画的な進路指導で、1年次から進路ガイダンスや学力測定、その振り返りを通じて、生徒の進路意識を早期に育んでいます。模擬試験は各学年で定期的に実施され、1・2年生は年4回、3年生は年5回受験し、その結果に基づいた丁寧な面談指導を行っています。
学習支援体制も充実しており、長期休業中には大学入試に対応した講習が数多く開講されています。特に3年生を対象とした夏期講習は、3日間を1サイクルとするパッケージ方式を採用し、受験に向けた実践的な講座を提供しています。また、平日19時まで利用可能な自習室の開放や、卒業生による学習支援「竹早塾」の実施など、手厚いサポート体制を構築しています。
「第一志望主義」を掲げ、一般入試での合格を目指した指導を基本としながらも、個々の生徒の適性に応じて推薦入試等の多様な入試形態にも対応できる指導を行っています。さらに、キャリア教育の一環として、各界で活躍する卒業生による講演会や進路体験報告会なども定期的に開催し、将来を見据えた進路選択をサポートしています。
都立竹早高校の現役生の大学合格実績推移(2020~2024)

竹早高校の過去5年間(2020年度から2024年度)の大学合格実績を分析すると、各年度の延べ合格人数は年々増加傾向にあり、2024年度には914人に達しています。
国公立大学では、東京一工医への合格者が毎年コンスタントに出ており、2024年度は過去5年間で最多の11人を記録しています。旧帝大への合格者も2024年卒の現役生では9人が合格を果たしています。TOCKY(東京外国語大学、お茶の水女子大学、千葉大学、神戸大学、横浜国立大学)への合格者も毎年10人前後を維持し、難関国立大学への進学実績を着実に積み重ねています。
私立大学では、特にGMARCH(学習院、明治、青山学院、立教、中央、法政)への合格者が多く、2024年度は286人(全体の31.3%)が合格を果たしています。また、早稲田・慶應義塾への合格者は40人前後、上智・東京理科への合格者も50人前後安定的に輩出しています。
成成明学國武(成蹊、成城、明治学院、國學院、武蔵)への合格者も毎年60~80人程度、日東駒専(日本、東洋、駒澤、専修大学)への合格者も100~180人程度と、幅広い層の大学への進学実績を有しています。
このように、竹早高校は国公立大学から私立大学まで、生徒の進路希望に応じた着実な合格実績を上げており、特に2024年度は多くの指標で過去5年間の最高値を記録するなど、進学実績は着実に向上しています。
都立竹早高校高校の2024年度 難関大学現役合格者数
- 東京一工医(11人):東京大学(1人)、京都大学(1人)、一橋大学(3人)、東京工業大学(6人)、国公立大学医学部(0人)
- 旧帝国大学(9人):北海道大学(7人)、東北大学(2人)、名古屋大学(0人)、大阪大学(0人)、九州大学(0人)
- TOCKY(9人):筑波大学(2人)、お茶の水女子大学(0人)、千葉大学(6人)、神戸大学(0人)、横浜国立大学(1人)
- 早慶上理医(82人):早稲田大学(33人)、慶應義塾大学(8人)、上智大学(15人)、東京理科大学(26人)、私立大学医学部(0人)
- GMARCH(286人):学習院大学(20人)、明治大学(84人)、青山学院大学(35人)、立教大学(46人)、中央大学(29人)、法政大学(72人)
都立竹早高校の延べ大学合格人数(現役)に占める各大学合格実績(2024)

2024年3月期の都立竹早高校現役生の大学延べ合格数に占める大学別合格人数比を見ると、難関私大のGMARCHへの合格者が全体の31%を占め、最も大きな割合となっています。GMARCHより上位の大学(東京一工医、医学部医学科、TOCKY、国公立、早慶、上智理科など)への合格者と合わせると約48%に達し、在校生の約半数が難関大学に合格を果たしています。
次いで日東駒専が15%、成成明学國武が9%、四工大+東農大が6%と続き、幅広い層の大学への進学実績があることがわかります。国公立大学では、東京一工医が1%、旧帝大(医学部除く)が1%、TOCKY(医学部除く)が1%、関東主要国公立(医学部除く)が3%、地方国公立(医学部除く)が2%となっています。
この円グラフから、竹早高校が進学指導推進校として、特に難関私立大学への進学に強みを持っていることが読み取れます。また、生徒の学力層も幅広く、個々の進路希望や学力に応じた進路実現が可能な学校であることが示されています。
特に、GMARCHとそれ以上の難関大学への合格者が全体の約半数を占めているという実績は、同校の進学指導の充実度を表す重要な指標といえます。

都立竹早高校のイベント・学校行事
竹早高校の学校行事は、生徒の主体性を重視した運営が特徴です。特に「体育祭」「竹早祭(文化祭)」「合唱コンクール」の三大行事は、生徒たちの創造性と協働性を育む重要な機会となっています。
5月に駒沢オリンピック公園球技場で開催される体育祭では、全学年を縦割りにした6つの団による競技が行われ、特に各団による応援パフォーマンスは体育祭の花形として、生徒たちの創意工夫が光ります。
9月の竹早祭は、前夜祭として「竹の子祭」、本祭として「竹早祭」、後夜祭として「竹夕祭」という3部構成で実施されます。「竹の子祭」では3年生によるアリーナ劇が上演され、「竹夕祭」では有志によるダンスやライブなどが披露されます。竹早祭実行委員会の執行部を中心に、生徒たちが約半年かけて準備を進め、その過程で企画力や実行力を養っています。
12月の合唱コンクールは全1・2年生が参加し、クラスの団結力を高める機会となっています。その他、2年生の11月には長崎への修学旅行も実施され、平和学習と歴史・文化の体験学習を行っています。
月 | イベント |
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4月 | 始業式/入学式/生徒総会・生徒会役員選挙 |
5月 | 体育祭 |
6月 | ビブリオバトル |
7月 | ー |
8月 | ー |
9月 | 竹の子祭・竹早祭 |
10月 | ー |
11月 | 開校記念日/修学旅行(2年) |
12月 | 合唱コンクール(1・2年) |
1月 | ー |
2月 | ー |
3月 | 卒業式 |
都立竹早高校の部活動や課外活動
運動部13団体、文化部17団体、同好会1団体の計31の部活動があり、兼部(複数の部活動への所属)を含めると加入率は100%を超えています。運動部では、バドミントン、バスケットボール、バレーボール、サッカー、軟式野球、テニス、陸上競技、水泳、卓球、ダンスパフォーマンス、剣道などが活動しています。過去には陸上競技部や水泳部がインターハイに出場するなどの実績も残しています。
文化部も盛んで、吹奏楽、軽音楽、コーラス、茶道、放送、演劇、天文、美術、模型、箏曲、写真、化学研究、文芸、漫画研究、クッキング、折り紙研究、囲碁・将棋部などが活発に活動しています。
活動時間は「自主自律」の精神に基づき、平日は午後5時までを基本とし、延長届が認められた場合は6時までの活動が可能です。週の活動日数は部によって異なり、運動部は週4~5日、文化部は週1~5日と様々です。土日には練習試合や公式戦が行われることもあります。
都立竹早高校の施設と環境
校内の施設は、充実した学習環境を提供するために整備されています。特筆すべきは自習環境で、専用の自習室は平日19時まで利用可能です。また、図書館の閲覧席や廊下の空きスペースを活用した自習コーナーも設置され、生徒たちの自主的な学習をサポートしています。
グラウンドは人工芝を採用しており、雨天後でもすぐに使用できる水はけの良さ、清潔さ、安全性を確保しています。体育施設が限られているため、部活動では必要に応じて外部施設も活用しています。
デジタル環境の整備も進んでおり、2022年度入学生からは1人1台端末を導入。授業連絡や家庭との連絡にウェブツールを活用し、リアルタイムでのオンライン授業にも対応できる体制を整えています。また、校内には「自販機型コンビニ」も設置され、生徒の利便性に配慮しています。
都立竹早高校の入試倍率と偏差値
入学難易度(偏差値)
進学指導推進校として、大学進学に対応できる確かな学力を持つ生徒を求めています。入学後は基礎から応用まで、レベルの高い授業が展開されるため、予習・復習をしっかりと行い、日々の課題にも真摯に取り組む姿勢が求められます。
特色ある入学者選抜として、1980年から実施している海外帰国生徒の受け入れがあります。帰国生徒による「Tトーク」(海外での生活体験を交えたプレゼンテーション)は、在校生の国際理解を深める貴重な機会となっています。
生徒の出身中学校は23区全域と6市に及び、特に板橋区・練馬区・足立区・北区・江戸川区からの入学者が多くなっています。通学の便宜を図るため、茗荷谷駅・後楽園駅のどちらからでも通学定期券を購入できる配慮もなされています。
- みんなの高校情報:67(東京45位、都立14位)
- 市進教育グループ(80%合格基準):64(都立11位)
- V模擬(60%合格基準):62(東京48位、都立10位)
入試方式
都立高校ですから、推薦入試と一般入試の2つの入試方式があります。2025年度は昨年度は推薦入試が1月26日(土)と1月27日(日)、一般入試が2月21日(金)になります。
<参考情報>詳細はこちらの東京都教育委員会のサイトをご確認ください
都立高校の一般入試では、学力検査点と調査書点の合計(1000点)に英語スピーキングテスト[ESAT-J]の結果(20点)を加えた総合得点(1020点満点)順に選抜されます。面接や実技を実施する学校では、それらの得点も加えた総合成績順に選抜されます。
入試倍率の推移(男女合同)
校長会調査時倍率 | 応募倍率(推薦) | 応募倍率(一般) | 最終応募倍率(一般) | 受検倍率(一般) | 合格倍率(一般) | |
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2025年 | 1.31倍 | 2.45倍 | 1.53倍 | 1.53倍 | 1.43倍 | 1.42倍 |
2024年 | 1.81倍 | 3.62倍 | 1.79倍 | 1.77倍 | 1.67倍 | 1.65倍 |
2023年 | 1.90倍 | 3.48倍 | 1.99倍 | 1.99倍 | 1.79倍 | 1.77倍 |
入試倍率の特徴と傾向
竹早高校の入試倍率は、2023年から2025年にかけて全体的に下降傾向を示しています。
特に2025年は前年から大きく低下しており、校長会調査時倍率が1.81倍から1.31倍へ、推薦倍率が3.62倍から2.45倍へ、合格倍率が1.65倍から1.42倍へと減少しています。2025年度は受検人数は2024年度とほぼ変わらないものの、募集定員が32人(1クラス分)増加したことが倍率低下の主な要因となっています。
3年間の推移を見ると、どの入試区分でも徐々に競争率が緩和されており、特に2025年は大幅な倍率低下が見られます。定員増加という要因を考慮すると、竹早高校自体の人気が大きく低下したというよりは、学校側の収容力が高まったことが数値に反映されていると解釈できます。
推薦入試は3年間を通して最も競争率が高い入試区分となっていますが、2025年は前年比で約32%の倍率低下となっています。
2025年度の単年度のみの定員増加なのか来年度以降も増枠したままなのか不明のため倍率がどう変化していくかは想像しづらいですが、受検人数が維持されている点を考慮すると、学校への関心自体は安定していると考えられます。
探究する心と国際感覚を育み、変化する社会で活躍する人材を輩出する竹早高校
東京都立竹早高校は、123年の歴史と伝統を持つ進学校として、「自主自律」の精神と充実した教育プログラムで、次代を担う人材の育成に取り組んでいます。「眞実一路」「清新溌剌」「協同親和」の校訓のもと、生徒の主体性を重視した特色ある教育活動を展開し、確かな学力と豊かな人間性を育んでいます。
進学指導推進校としての充実した学習支援体制、生徒主体の学校行事や部活動、そして「Tタイム」に代表される探究的な学びの実践を通じて、変化の激しい社会で活躍できる人材を育成しています。また、早くから海外帰国生徒の受け入れを行うなど、国際理解教育にも力を入れ、グローバルな視野を持つ生徒の育成も進めています。
創立以来受け継がれてきた「まっすぐ、高く、しなやかに、伸ばす」という教育理念は、今なお竹早高校の教育活動の根幹をなしており、持続可能な社会の担い手として、未来を切り拓く人材の育成を目指し、さらなる発展を続けています。