令和7年度(2025年度)東京都立高校入学者選抜における専門高校・学科の最終応募状況が発表されました。商業・工業系で定員割れが深刻化する一方、理数科や動物科など特色ある学科は高倍率を維持。専門教育の二極化が鮮明になっています。
令和7年度東京都立高等学校入学者選抜応募状況(最終応募状況)
https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/information/press/2025/02/2025021301
商業、ビジネスコミュニケーションに関する学科の一般入試最終応募概況 | 高校別募集人数・最終応募人数・倍率

商業高校全体の傾向
- 多くの学校で定員割れが発生
- 前年度と比較して全体的に倍率が低下
比較的人気のある学校
- 葛飾商業:1.11倍(前年0.97倍)から上昇
- 第五商業:1.30倍(前年1.25倍)と安定した人気
- 千早:1.30倍(前年1.18倍)を維持
深刻な定員割れの学校
- 第三商業:0.88倍
- 第一商業:0.87倍
- 第四商業:0.70倍
- 大田桜台:0.77倍
願書受付時から最終応募までの変動
- 葛飾商業:1.21倍→1.11倍と若干低下
- 千早:1.31倍→1.30倍とほぼ維持
全体的な傾向として、一部の伝統校を除いて志願者数が減少しており、商業・ビジネス系の専門学科離れが進んでいることがうかがえます。特に、第四商業の0.70倍など、深刻な定員割れの学校が目立ちます。
工業に関する学科の一般入試最終応募概況 | 高校別募集人数・最終応募人数・倍率

全体的な状況
- ほとんどの学科で定員割れが発生
- 特に電気系、機械系の学科で志願者減少が顕著
比較的人気のある学科
- 工芸のデザイン科:2.12倍と工業系で最高倍率
- 府中工科の情報技術科:2.00倍と高い人気
- 工芸のマシンクラフト、アートクラフト、グラフィックアーツ:ともに1.52倍
深刻な定員割れの学科
- 荒川工科の電子科:0.09倍と極めて深刻
- 杉並工科のIT・機械:0.26倍
- 蔵前工科の設備工業:0.23倍
- 墨田工業の機械科:0.32倍
募集人員の調整
- いくつかの学科で微調整(増減)を実施
- 定員を減らしても充足できない学科が多数
全体的な傾向として、デザインや情報技術といった新しい分野の人気に対し、従来型の工業(機械、電気、電子など)の志願者が大幅に減少しています。工業系全体で定員割れが深刻化しており、専門教育の在り方の検討が必要な状況となっています。
農業に関する学科の一般入試最終応募概況 | 高校別募集人数・最終応募人数・倍率

全体的な傾向
- 多くの学科で1.0倍以上を維持しており、工業系と比べて比較的安定
- 学科による人気の差が顕著
人気の高い学科
- 園芸の動物科:2.52倍と農業系で最高倍率
- 瑞穂農芸の畜産科学:1.80倍
- 園芸の食品科学:1.71倍、都市園芸:1.57倍
やや苦戦している学科
- 園芸の緑地環境:0.96倍
特徴的な動き
- 園芸高校の動物科は願書受付時(2.52倍)の高倍率を維持
- 瑞穂農芸の畜産科学科は校長会調査時(1.74倍)から上昇
全体として、動物関連や都市型農業など、現代のニーズに合った学科で人気が高く、従来型の農業分野はやや苦戦する傾向が見られます。ただし、工業系と比較すると深刻な定員割れは少なく、比較的安定した志願状況となっています。
その他専門学科の一般入試最終応募概況 | 高校別募集人数・最終応募人数・倍率

突出した人気の学科
- 立川の創造理数科:4.51倍と都立高校全体でも最高レベルの倍率
- 駒場の保健体育科:2.29倍と高い人気を維持
- 多摩科学技術:1.45倍で安定した志願状況
深刻な定員割れの学科
- 八丈の農林・家政科:0.03倍と極めて深刻
- 野津田の福祉科:0.24倍
- 八王子桑子のビジネス情報分野:0.57倍
特徴的な動き
- 立川の創造理数科:前年2.71倍から大きく上昇し4.51倍に
- 赤羽北の介護福祉科:1.04倍と定員を確保(前年は0.24倍)
- 大島海洋国際:1.10倍とやや持ち直し
全体的な傾向として、理数系や体育系の人気に対し、福祉系や家政系は苦戦が続いています。特に島しょ部や多摩地区の一部学科で深刻な定員割れが発生しており、専門教育の在り方や募集定員の見直しが課題となっています。
総合学科の一般入試最終応募概況 | 高校別募集人数・最終応募人数・倍率

倍率上位校
- 杉並総合:1.69倍(前年1.66倍)
- 晴海総合:1.67倍(前年2.15倍)
- 東久留米総合:1.42倍(前年1.06倍)
定員割れの学校
- 町田総合:0.99倍
- 世田谷総合:0.98倍
特徴的な動き
- 晴海総合が2.15倍から1.67倍に大きく低下
- 東久留米総合が願書受付時の1.59倍から1.42倍に低下
- 全体的に前年度より倍率が低下傾向
全体として、総合学科は1.0倍前後から1.7倍程度の比較的安定した応募状況を示しています。従来型の専門学科と比べて大きな定員割れは少なく、幅広い選択科目で学べる総合学科の特徴が一定の支持を得ていると考えられます。ただし、前年度と比較すると全般的に応募倍率は低下傾向にあります
都立専門高校で志願者二極化| 理数・動物系に人気集中、商工業系は定員割れ続出
専門高校・学科の応募状況は、分野によって大きな差が生じています。立川高校創造理数科は4.51倍、園芸高校動物科は2.52倍と高倍率を記録。デザインや情報技術など、現代的なニーズに対応した学科も人気を集めています。
一方、商業系では第四商業の0.70倍、工業系では荒川工科電子科の0.09倍など、従来型の専門学科で深刻な定員割れが発生。農業系は動物や都市園芸関連で比較的安定していますが、伝統的な農業分野は苦戦しています。
総合学科は1.0倍から1.7倍程度と安定した応募状況を示していますが、全体的に前年度より応募倍率は低下傾向です。専門教育の在り方や定員の適正化など、教育委員会の対応が求められる状況となっています。
<参照元>
ページ内のデータは東京都教育委員会発表資料・各高校のホームページやパンフレットを参照しています。しかしながら、参照したタイミングによっては速報データであったり、年度をまたぎ修正・変更となっている場合もありますので、正確なデータは東京都教育委員会、各都立高校の最新データをご確認ください。