東京都教育委員会より令和7年度東京都立高等学校入学者選抜応募状況(最終応募状況)が発表されました。全日制課程の平均応募倍率は1.29倍と、前年の1.38倍から低下しています。都心部の進学指導重点校は2倍前後の人気を維持する一方、多摩地区や23区東部では定員割れの学校が目立つなど、二極化が進んでいます。
令和7年度東京都立高等学校入学者選抜応募状況(最終応募状況)
https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/information/press/2025/02/2025021301
2025年度都立高校一般入試(学力検査)の最終応募状況の概況
学科別の最終応募状況
学科別では理数科が3.19倍と最も高く、国際科1.76倍、芸術科1.79倍と続き、特色ある学科に人気が集中。一方で、併合科0.10倍、工業科単位制0.71倍、福祉科0.64倍と、実務系の専門学科で定員割れが目立ちました。
志望校変更では、全日制で1,747人が取下げ、1,726人が再提出。そのうち約8割を普通科志願者が占めています。一方、理数科や国際科など高倍率の学科では志望変更が少なく、当初からの志望者が多い傾向が見られました。
定時制課程では、チャレンジスクールが1.38倍と一定の人気を保つ一方、定時制課程単位制は0.93倍と定員割れとなりました。
全体として、特色ある学科への志願集中と実務系学科の不人気という二極化が進む中、多くの受験生が合格可能性を考慮した志望校選びを行っています。
2025年度都立高校一般入試(学力検査)の最終応募状況一覧(普通科+α)
23区都心部の高校の一般入試の最終応募倍率一覧

23区都心部の都立高校の応募状況について、特徴的な変動を分析します。
特徴的な動きのあった高校
日比谷高校
- 最終応募人員は507人で、前年比+48人と増加
- 最終応募倍率は2.00倍と、前年の1.81倍から上昇
- 校長会調査時(1.42倍)から願書受付時(2.01倍)で大きく上昇し、最終的に2.00倍とほぼ維持
新宿高校
- 最終応募人員は551人で、前年比-135人と大幅減少
- 最終応募倍率は1.94倍と、前年の2.42倍から大きく低下
- 校長会調査時(1.58倍)から願書受付時(1.92倍)で上昇し、最終的に1.94倍とやや上昇
竹早高校
- 募集人員が前年比+32人と増加(177人→209人)
- 最終応募人員は320人で、前年比+7人
- 最終応募倍率は1.53倍と、前年の1.77倍から低下
- 校長会調査時(1.31倍)から願書受付時(1.53倍)で上昇し、最終的に1.53倍と維持
広尾高校
- 募集人員が前年比+28人と増加(157人→185人)
- 最終応募人員は331人で、前年比-8人
- 最終応募倍率は1.79倍と、前年の2.16倍から低下
- 校長会調査時(1.30倍)から願書受付時(1.79倍)で大きく上昇し、最終的に1.79倍と維持
特徴的な傾向
- 都心部の主要校で前年度より応募倍率が全般的に低下
- 日比谷高校のみが前年比で倍率上昇
- 校長会調査時から願書受付時にかけて多くの学校で倍率が上昇し、その後の最終応募では大きな変動が少ない
23区東部の高校の一般入試の最終応募倍率一覧

23区東部の都立高校の応募状況について、特徴的な変動を分析します。
特徴的な動きのあった高校
上野高校
- 最終応募人員481人で高い人気を維持
- 最終応募倍率1.91倍と、校長会調査時(1.81倍)から上昇
- 願書受付時(2.02倍)からはやや低下
城東高校
- 募集人員を32人減らして252人に調整
- 最終応募人員374人で前年比-168人と大幅減少
- 最終応募倍率1.48倍と、前年の1.91倍から大きく低下
- 校長会調査時(1.62倍)から願書受付時(1.50倍)、最終(1.48倍)と徐々に低下
青井高校
- 最終応募人員77人で前年比-92人と大幅減少
- 最終応募倍率0.54倍と定員割れ
- 前年の1.23倍から大きく低下
葛西南高校
- 最終応募人員112人で前年比-83人と大幅減少
- 最終応募倍率0.59倍と定員割れ
- 前年の1.03倍から大きく低下
- 校長会調査時(0.58倍)から願書受付時(0.57倍)とほぼ横ばい
足立高校
- 募集人員を32人減らして220人に調整
- 最終応募倍率1.54倍と、前年の1.34倍から上昇
- 応募倍率が上昇した数少ない学校の一つ
特徴的な傾向:
- 23区東部全体で応募倍率の低下傾向が顕著
- 複数の高校で定員割れが発生(忍岡、青井、足立新田、渕江、葛西南、篠崎など)
- 上野高校は比較的高い倍率を維持
- 募集人員の調整(減員)を行った学校が複数あり
- 校長会調査時から最終応募までの変動が大きい学校が多い
23区西部の高校の一般入試の最終応募倍率一覧

23区西部の都立高校の応募状況について、特徴的な変動を分析します。
特徴的な動きのあった高校
駒場高校
- 募集人員を32人減らして220人に調整
- 最終応募倍率1.92倍と高い人気を維持
- 校長会調査時(1.95倍)から願書受付(2.08倍)、最終(1.92倍)まで高倍率を維持
目黒高校
- 最終応募人員265人で前年比-106人と大幅減少
- 最終応募倍率1.40倍と、前年の1.96倍から大きく低下
- 校長会調査時(1.07倍)から願書受付時(1.35倍)で上昇
大森高校
- 募集人員を35人減らして130人に調整
- 最終応募倍率0.45倍と深刻な定員割れ
- 最終応募人員58人と前年比-11人のさらなる減少
普通科で成績上位校の推移
- 小山台:最終倍率1.46倍(前年1.35倍)と上昇
- 豊多摩:最終倍率2.13倍(前年1.87倍)と上昇
- 西:最終倍率1.62倍(前年1.70倍)とやや低下
定員割れの発生
- 大森(0.45倍)
- 深沢(0.87倍)
- 光丘(0.75倍)
- 大山(0.72倍) など、複数校で定員割れが発生
特徴的な傾向
- 23区西部でも全体的に応募倍率の低下傾向
- 学校間の二極化が進行(芦花、豊多摩などの人気校と定員割れ校の差が拡大)
- 複数校で募集人員の調整(減員)を実施
- 校長会調査時から最終応募までの変動が比較的大きい
前年と比べて応募倍率が大きく上昇した学校は少なく、多くの学校で倍率が低下または横ばいとなっています。
多摩地区北部の高校の一般入試の最終応募倍率一覧

多摩地区北部の都立高校の応募状況について、特徴的な変動を分析します。
特徴的な動きのあった高校
立川_創造理数科
- 最終応募倍率4.51倍と都内でも特に高倍率
- 前年の2.71倍から大幅上昇(+1.80)
- 願書受付時(4.57倍)とほぼ同水準を維持
- 普通科との併願可能なため、25年度の普通科も想定2.23倍という高倍率の可能性あり
府中高校
- 募集人員を32人増やして252人に増員
- 最終応募倍率1.38倍と前年の1.90倍から低下
- 校長会調査時(1.16倍)から願書受付時(1.32倍)で上昇
調布北高校
- 最終応募人員325人で前年比+27人増
- 最終応募倍率1.73倍と、地区内で比較的高い倍率を維持
- 校長会調査時(1.34倍)から大きく上昇
小平高校
- 募集人員を32人減らして157人に調整
- 応募倍率は1.41倍と前年(1.40倍)とほぼ同水準
定員割れの状況
- 東村山西:0.88倍、拝島:0.99倍
- 東大和:1.00倍 と、一部の学校で定員割れまたは定員ぎりぎりの状況
特徴的な傾向
- 立川_創造理数科の突出した人気
- 地域の中核校(調布北、国分寺など)は比較的安定した倍率を維持
- 全体的に前年より応募倍率は低下傾向
- 校長会調査時から願書受付時、最終応募までの変動が比較的大きい学校が多い
- 募集人員の増減調整を行った学校が複数あり
多摩地区北部全体としては、立川_創造理数科の高倍率が特徴的で、その他の学校は概ね前年より低下傾向にあります。
多摩地区南部・西部、島しょ部の高校の一般入試の最終応募倍率一覧

多摩地区南部・西部、島しょ部の都立高校の応募状況について、特徴的な変動を分析します。
深刻な定員割れの状況
多摩南部・西部で目立つ定員割れ校
- 五日市高校:0.46倍(前年0.35倍)
- 八丈高校:0.36倍(前年0.37倍)
- 多摩高校:0.50倍(前年0.69倍)
- 野津田高校:0.49倍(前年0.61倍)
- 山崎高校:0.67倍(前年1.12倍)
- 羽村高校:0.73倍(前年0.68倍)
募集人員の調整
松が谷高校
- 募集人員を32人減らして188人に調整
- 最終応募倍率1.39倍(前年1.36倍)
羽村高校
- 募集人員を29人減らして172人に調整
- 倍率は0.73倍と依然として定員割れ
好調な学校
八王子東高校
- 最終応募倍率1.52倍(前年1.36倍)と上昇
- 願書受付時(1.49倍)から最終でさらに上昇
成瀬高校
- 最終応募倍率1.41倍(前年1.13倍)と上昇
- 願書受付時(1.48倍)からはやや低下
特徴的な傾向
- 多摩南部・西部地域で定員割れ校が多数発生
- 学校間の二極化が顕著(八王子東などの人気校と定員割れ校の差)
- 複数校で募集人員の減員調整を実施
- 島しょ部(八丈)の定員割れが継続
- 全体的に前年度より応募倍率が低下
- 地域的な課題として、多摩南部・西部地域の志願者減少が顕著
この地域では、一部の進学校を除いて全般的に応募者数が減少しており、特に郊外部での定員割れが深刻な状況となっています。
進学指導重点校・特別推進校・推進校の最終応募状況(募集人員・応募人員・応募倍率)



続いて、エリアとは別の確度として、東京都の進学指導校の応募状況を分析します。
進学指導重点校(7校)
日比谷:2.00倍(前年1.81倍)
- 都心の伝統校として高い人気を維持
- 校長会調査時(1.42倍)から大きく上昇
戸山:2.09倍(前年1.98倍)
- 最終応募倍率が上昇し、重点校で最も高い倍率
- 願書受付時(2.14倍)からやや低下
その他の高校
- 西:1.62倍(前年1.70倍)
- 青山:1.96倍(前年2.07倍)
- 八王子東:1.52倍(前年1.36倍)
- 立川:1.51倍(前年1.45倍) ※創造理数科(4.51倍)との併願を考慮すると2倍を超えている可能性
- 国立:1.53倍(前年1.56倍)
特徴的な傾向
- 全体的に1.5倍以上の安定した人気
- 戸山、日比谷が2.0倍前後で突出
- 多摩地区の重点校は1.5倍台で安定
注目すべき変化
最高倍率
- 立川_創造理数科が4.51倍と突出
- 前年2.71倍から大幅上昇
- 理数科への関心の高さを示す
校長会調査から最終応募までの変動
- 多くの学校で校長会調査時より大幅に上昇
- 特に日比谷(1.42倍→2.00倍)の上昇が顕著
前年比での変化
- 豊多摩:2.13倍(前年1.87倍)と上昇
- 新宿:1.94倍(前年2.42倍)と低下
- 国際_一般:1.85倍(前年2.42倍)と低下
その他全体傾向
- 進学指導校全体では1.5倍以上の安定した人気
- 都心部の伝統校(日比谷、戸山)が高倍率を維持
- 理数科系の人気が顕著(立川創造理数科)
- 前年と比べると、やや倍率が低下傾向の学校が多い
- 地域による格差(都心部vs郊外)が見られる
都立高入試、23区と多摩で格差 | 進学指導指定校は高倍率をキープも、郊外で定員割れ続出
今年度の都立高校入試では、地域による志願傾向の差が顕著となりました。日比谷、戸山といった都心部の進学指導重点校は2倍前後の人気を維持しています。また立川の創造理数科は4.51倍と突出した人気を見せました。一方、多摩地区南部・西部や23区東部では定員割れが続出。五日市(0.46倍)、八丈(0.36倍)、青井(0.54倍)など、深刻な定員割れとなった学校もあります。
校長会調査時の12月から、2月7日の願書受付、2月13日の最終応募まで、多くの受検生が志望校を変更しました。特に進学実績上位校では校長会調査時から大幅な倍率上昇が見られました。
全体として、進学指導重点校を中心とした人気校への志望集中と、郊外における志願者減少という二極化が進行しています。複数の高校で募集人員の調整を行うなど、教育委員会も対応に追われています。少子化の影響もあり、来年度以降も同様の傾向が続くことが予想されます。
<参照元>
ページ内のデータは東京都教育委員会発表資料・各高校のホームページやパンフレットを参照しています。しかしながら、参照したタイミングによっては速報データであったり、年度をまたぎ修正・変更となっている場合もありますので、正確なデータは東京都教育委員会、各都立高校の最新データをご確認ください。