都立高校を目指す受験生とその保護者の皆さんにとって、入試制度を正確に理解することは合格への第一歩です。本記事では、2025年度(令和7年度)の都立高校一般入試を例に、日程や内申点の計算方法、受験料など、重要なポイントを詳しく解説します。推薦入試との違いや出願方法まで網羅的に紹介しますので、受験対策にぜひお役立てください。
都立高校の一般入試とは?
都立高校の入試には、「推薦に基づく入試(推薦入試)」と「学力検査に基づく入試(一般入試)」の2種類があります。一般入試は、主に学力検査と調査書の評定(内申点)を重視して合否が決まる入試制度です。
一般入試は、「第一次募集」と「第二次募集」、そして「分割募集」という方式があります。多くの高校では第一次募集を実施し、定員に満たない場合に第二次募集を行います。一方、分割募集では、あらかじめ募集人員を分け、「分割前期募集」と「分割後期募集」の2回に分けて募集を行います。
- 第一次募集: 多くの高校で実施される基本の募集
- 第二次募集: 第一次募集で欠員が出た場合に実施される補充募集
- 分割募集: あらかじめ募集人員を分割し、「分割前期募集」と「分割後期募集」の2回に分けて行う募集
一般入試の大きな特徴は、学力検査の比重が高いことです。推薦入試が面接や小論文、実技検査などを重視するのに対し、一般入試では5教科(国語・数学・英語・社会・理科)の学力検査の結果が合否に大きく影響します。このため、部活動や特別活動での実績が少なくても、学力で挽回できるチャンスがあります。
また、志願変更制度があり、出願後に1回だけ志望校を変更できるという柔軟性も一般入試の特徴です。これにより、志望校の出願状況や自分の学力との兼ね合いを見て、最終的な志望校を決定することができます。推薦入試で不合格になった場合でも、一般入試に挑戦できるという安心感もあります。
2025年度(令和7年度)都立高校一般入試の日程
2025年度の都立高校一般入試の日程は下記のようになっています。出願から合格発表までの重要な日程や流れを押さえておきましょう。
出願期間
各入試区分の出願日程は以下の通りです。期間内に出願手続きを完了させることが重要です。
入試区分 | 出願受付期間 | 備考 |
---|---|---|
第一次募集・分割前期募集 | 2025年1月30日(木)~2月5日(水) | インターネット出願 |
志願変更 | 2月12日(水):入学願書取り下げ 2月13日(木):入学願書再提出 | ・変更は1回のみ可能 ・取下げは志望した高校に行き申請する必要があります。 ・再提出はインターネット出願と同様専用サイトで行います。 |
分割後期募集・全日制第二次募集 | 2025年3月6日(木) | 窓口持参のみ受付 |
定時制第二次募集 | 2025年3月24日(月) | 窓口持参のみ受付 |
※ 出願期間は短いため、必要書類の準備は早めに行いましょう。また 第二次募集は第一次募集で欠員のある学校が行う補充募集です。
学力検査日
各入試区分の学力検査日は以下の通りです。
入試区分 | 出願受付期間 | 備考 |
---|---|---|
第一次募集・分割前期募集 | 2025年2月21日(金) | ・5教科実施(国語・数学・英語・社会・理科) ・芸術や体育学科は3教科(国語・数学・英語) |
分割後期募集・全日制第二次募集 | 2025年3月11日(火) | 基本的に3教科実施(国語・数学・英語) |
定時制第二次募集 | 2025年3月27日(木) |
合格発表日
合格発表日は以下の通りです。受験した高校で掲示されるほか、専用サイトで確認することができます。
入試区分 | 合格発表日 |
---|---|
第一次募集・分割前期募集 | 2025年3月3日(月) |
分割後期募集・全日制第二次募集 | 2025年3月14日(金) |
定時制第二次募集 | 2025年3月28日(金) |
各日程を見逃さないようにカレンダーに記入し、十分な準備期間を確保しましょう。
都立高校の一般入試の仕組み
都立高校の一般入試では、学力検査の得点、調査書の評定(内申点)、そしてスピーキングテスト結果などを総合的に評価して合否が決まります。それぞれの要素について詳しく見ていきましょう。
入試科目と配点
都立高校の一般入試では、課程や募集区分によって実施される教科数や内容が異なります。以下にその概要をまとめます。
◆ 全日制課程
募集区分 | 実施教科 | 追加検査 | 各教科配点 |
---|---|---|---|
第一次募集・分割前期募集 | 5教科:国語・数学・英語・社会・理科 | 学校により ・面接 ・小論文/作文 ・実技検査 | 各100点満点 (一部の学校で傾斜配点あり) |
分割後期募集・第二次募集 | 3教科:国語・数学・英語 | 同上 | 同上 |
※ 芸術・体育に関する学科は、実技検査を重視するため学力検査は国語・数学・英語の3教科のみとなります。
◆ 定時制課程
募集区分 | 実施教科 | 追加検査 | 備考 |
---|---|---|---|
第一次募集・分割前期募集 | 5教科中3教科以上(実施教科は学校が決定) | ・面接(必須) ・小論文/作文 ・実技検査 | 面接はすべての入試で必須 |
分割後期募集・第二次募集 | 3教科(国語・数学・英語) | 同上 | 同上 |
※ 学力検査の各教科は100点満点で、合計得点が重要になります。
学力検査の内容と特徴
都立高校の学力検査問題は、中学校の教育課程に基づく学習の成果としての学力を検査することを基本としています。出題の範囲は中学校学習指導要領に示されている内容によるものとなります。
出題の内容は、各教科とも中学校学習指導要領に示されている教科の目標及び内容に照らして基本的な事項を選ぶとともに、一部の領域に偏ることのないようになっています。
出題に当たっては、基礎的・基本的な知識及び技能の定着や、思考力、判断力、表現力などをみるとともに、体験的な学習や問題解決的な学習などの成果も見ることができるように構成されています。
各教科の試験時間は50分で、問題の難易度は高校によって異なることがあります。特に、自校作成問題を実施する高校では、その学校独自の出題傾向があるため、過去問題の研究が重要です。
自校作成問題を実施する高校
一部の都立高校では、学力検査問題を各校独自に作成する「自校作成問題」を実施しています。これらの高校は難関校が多く、問題の難易度や特徴も異なります。2025年度(令和7年度)の自校作成問題実施校は以下の通りです。
◆ 国語・数学・英語の3教科で自校作成問題を実施する高校(10校)
学校名 | 地域 | 指定 | 主な特徴 |
---|---|---|---|
日比谷高校 | 千代田区 | 進学指導重点校 SSH GE-NET20 | 東京都で最も古い歴史を持つ進学校。近年は全国の公立高校最多の東大合格者数を誇る |
戸山高校 | 新宿区 | 進学指導重点校 SSH GE-NET20 | チーム・メディカルという、医学部進学を目指す生徒たちのための特別プログラムがある |
青山高校 | 渋谷区 | 進学指導重点校 英語教育推進校 | アクセス(外苑前)、大学合格実績などから都立高校屈指の入試倍率を誇る人気校。 |
西高校 | 杉並区 | 進学指導重点校 理数研究校 GE-NET20 | 都立高校御三家のひとつ。国公立最難関大学への合格者多数(京都大学への進学者が多い傾向) |
八王子東高校 | 八王子市 | 進学指導重点校 理数研究校 GE-NET20 | 「受験は団体戦」を合言葉に生徒の目標達成をサポートする多摩地区を代表する進学校。制服あり。 |
立川高校 | 立川市 | 進学指導重点校 SSH 英語教育推進校 | 2018年度からはSSH(スーパーサイエンスハイスクール)に指定され、2022年度には都立高校で初めて「創造理数科」を設置。 |
国立高校 | 国立市 | 進学指導重点校 東京サイエンスハイスクール(TSH) 英語教育推進校 | 都立高校御三家のひとつ。来場者1万人を超える日本一の文化祭と呼ばれる国高祭も有名。 |
新宿高校 | 新宿区 | 進学指導特別推進校 理数研究校 英語教育推進校 | 進学重視型単位制、私立難関に強い大学合格実績、新宿駅徒歩圏内という好立地を誇る人気高校。 |
国分寺高校 | 国分寺市 | 進学指導特別推進校 SSH 英語教育推進校 | 「文武両道」を地で行く人気校。国公立大学の合格が多く、2024年度からはSSHにも指定。 |
墨田川高校 | 墨田区 | 進学指導推進校 | 進学重視型単位制という特長を生かし、受験科目に応じた多彩な選択科目を設置。きめ細かい習熟度別授業や少人数授業を充実 |
◆ 英語のみ自校作成問題を実施する高校(1校)
国際高校 | 目黒区 | 進学指導特別推進校 GE-NET20 | 海外からの帰国生徒や在京の外国人生徒が全校生徒の約3割。2015年には公立高校で初めて国際バカロレア・ディプロマプログラムの認定校となる |
- 国際高校(目黒区):リスニング問題を含む英語独自問題
これらの高校を志望する場合は、以下の対策が重要です。
- 各校の過去問題を入手して傾向を把握する
- 学校ごとの出題特徴を研究する
- 自校作成問題対策を行っている参考書や問題集に取り組む
- 志望校に特化した受験対策を行う
自校作成問題は一般的な都立高校の入試問題とは難易度や傾向が異なるため、専門的な対策が必要です。
内申点の計算方法
一般入試における調査書の評定(内申点)は、中学3年生の成績のみが対象となります。内申点の計算方法は学科によって異なります。
◆ 通常の学科(内申点65点満点)
教科区分 | 計算方法 | 満点 |
---|---|---|
主要5教科 | 国語・数学・英語・社会・理科の5段階評定をそのまま加算 | 25点 |
実技4教科 | 音楽・美術・保健体育・技術家庭の5段階評定を2倍して加算 | 40点 |
合計 | 65点満点 |
◆ 芸術・体育に関する学科(内申点75点満点)
教科区分 | 計算方法 | 満点 |
---|---|---|
主要3教科 | 国語・数学・英語の5段階評定をそのまま加算 | 15点 |
その他6教科 | 社会・理科・音楽・美術・保健体育・技術家庭の5段階評定を2倍して加算 | 60点 |
合計 | 75点満点 |
◆ 計算例(普通科)
- 主要5教科が各4(計20点)、実技4教科が各5(計20点×2=40点)の場合 内申点 = 20 + 40 = 60点(65点満点中)
◆ 重要ポイント(普通科)
- 実技4教科は2倍されるため、これらの科目の評定も非常に重要
- 美術や音楽などの実技科目も疎かにしないことが高得点につながる
- 内申点は合否判定において非常に重要な要素となる
日頃から各教科の成績向上に努め、特に内申点に関わる評定を上げるよう意識することが大切です。
受験倍率と競争率の動向
都立高校の受験倍率は年度や学校によって大きく異なります。一般的に、進学実績が高い伝統校や特色ある学校、立地条件の良い学校では倍率が高くなる傾向があります。
近年の傾向として、少子化の影響で全体的な倍率は低下傾向にありますが、人気校の倍率は依然として高いままです。例えば、日比谷高校や青山高校、国立高校など、難関大学への進学実績が高い高校では、毎年高い倍率が続いています。
倍率が高い学校を志望する場合は、学力検査で高得点を取ることはもちろん、内申点も可能な限り高くなるよう中学校での学習に力を入れる必要があります。また、志願変更制度を利用して、合格可能性のある学校に出願先を変更するという選択肢も考慮しておくとよいでしょう。
<2025年度入試における倍率情報はこちらのカテゴリで詳しく書いています>
出願方法と必要書類
2025年度の都立高校入試では、インターネットを活用した出願(インターネット出願)が実施されています。従来の紙ベースの出願と比べて手続きが簡素化されますが、いくつか注意すべき点があります。
出願の流れ
インターネット出願の手続きの流れは以下の通りです:
- インターネット出願サイトにアクセス:出願サイトにアクセスし、ユーザーIDを取得します。
- 顔写真の登録:顔写真データ(JPEG形式またはPNG形式)を用意し、出願サイトで顔写真を登録します。
- 志願者情報の入力:志願者氏名、生年月日、中学校名、保護者名、現住所等を入力します。
- 出願情報の承認:中学校で出願情報の確認を行い、必要に応じて修正します。内容に問題がなければ中学校が承認します。(都外の中学校等に在学している場合や、中学校等に在学していない場合は、この承認手続きはありません)
- 入学考査料の支払い:クレジットカードによる支払い、納付書による支払いのどちらかを選択して支払います。
- 提出書類の郵送:出願に必要な書類を都立高校へ郵送します。
- 受検票のダウンロード・印刷:都立高校で出願書類等の確認を行い、書類不備等がなければ受検票をダウンロードできるようになります。受検票はご家庭のプリンターやコンビニエンスストア等で印刷をしてください。
インターネット出願には、インターネットに接続できる環境(パソコン・スマートフォン・タブレット端末)が必要となります。事情があり、インターネット出願を行えない方については、別途対応が案内されます。
調査書の重要性と記入内容
調査書(内申書)は、中学校の担任教員が作成する公式文書で、中学3年間の学習成績や出欠状況、特別活動の記録などが記載されています。一般入試では、この調査書の評定が内申点として合否判定に大きく影響します。
調査書には、各教科の評定だけでなく、観点別学習状況の評価も記載されます。一般入試では、各教科の5段階評定を点数化して内申点を算出しますが、推薦入試では、9教科の評定または観点別学習状況の評価(9教科の全27観点の3段階評価)のどちらかを点数化して使用します。
調査書は中学校から直接高校に提出されるため、受験生自身が記入内容を変更することはできません。そのため、日頃から授業態度や提出物、定期テストなどに真剣に取り組み、良い評価を得ることが重要です。
出願時の注意点
出願時には以下の点に注意しましょう。
- 出願期間を厳守すること:出願期間は短いため、早めに準備を進めましょう。
- 入学考査料の支払いを忘れないこと:支払いが確認できないと出願が完了しません。
- 必要書類の漏れがないか確認すること:提出書類に不備があると受検票が発行されない場合があります。
- 志願変更は1回のみ可能:志願変更を行う場合は、定められた期間内に手続きを完了させる必要があります。また、取り下げた都立高校への再提出はできませんので注意してください。
- 検査日当日は印刷した受検票を必ず持参すること:受検票がないと受験できません。
特にインターネット出願を初めて利用する方は、手続きに慣れていないため、余裕を持ったスケジュールで進めることをおすすめします。不明点があれば、在学中の中学校や東京都教育委員会に問い合わせましょう。
受験料と支払い方法
都立高校を受験するためには、入学考査料(受験料)の支払いが必要です。金額や支払い方法、免除制度について説明します。
受験料の金額
都立高校を受験するためには入学考査料(受験料)が必要です。さらに、入学時には入学料、入学後は授業料も必要となります。令和6年4月1日現在の情報に基づく金額は以下の通りです。
◆ 入学考査料・入学料・授業料一覧表
課程 | 入学考査料 | 入学料 | 授業料(年額) |
---|---|---|---|
全日制課程 | 2,200円 | 5,650円 | 118,800円 |
定時制課程 | 950円 | 2,100円 | 32,400円 |
定時制課程(単位制) | 950円 | 2,100円 | 1単位当たり1,740円×履修単位数 |
通信制課程 | 950円 | 500円 | 1単位当たり336円×履修単位数 |
※ 授業料は年2回の納入が基本ですが、分割払いも可能です。
※ この金額は令和7年度(2025年度)入試でも同様である可能性が高いですが、最新情報は「令和7年度東京都立高等学校入学者選抜実施要綱・同細目」で確認してください。
◆ 高等学校等就学支援金制度について
- 区市町村民税の課税標準額×6%-調整控除の額が304,200円未満(年収目安約910万円未満)の世帯の生徒が対象
- 申請を行い受給認定されると、授業料が実質無料になる
- 返済の必要なし
- 令和6年度からは所得制限により就学支援金の適用外となった生徒についても、授業料免除の申請により授業料を全額免除可能
支払い方法
インターネット出願システムでは、入学考査料の支払い方法として以下の2つの選択肢があります。
- クレジットカードによる支払い:オンライン上で24時間いつでも支払いが可能です。支払い後すぐに次の手続きに進めるため、便利です。
- 納付書による支払い:コンビニエンスストアなどで納付書を使って支払います。現金で支払いたい方向けです。
中学校から出願の承認を受けた後に、入学考査料の支払い手続きが可能になります。支払いが確認されると、受検票のダウンロードができるようになります。
免除制度や減額措置
経済的な理由により入学考査料や入学料、授業料の納入が困難な家庭のために、免除または減額する制度があります。
具体的には、入学料および授業料については、経済的に困難な場合、免除または2分の1に減額する制度があります。免除や減額を希望する場合は、入学予定の学校に相談し、必要な手続きを行う必要があります。
また、「受験生チャレンジ支援貸付事業」というものもあります。これは、中学3年生等の受験生を養育する一定所得以下の世帯を対象に、学習塾代や受験料に必要な資金を貸し付ける制度です。貸付金額は、塾代が上限200,000円、受験料が上限27,400円(4校まで)となっており、進学(入学)した場合は返済が免除されます。詳細はお住まいの区市町村の窓口に問い合わせることをおすすめします。
都立高校の推薦入試との違い
都立高校への入学には、一般入試と推薦入試という2つの経路があります。それぞれの特徴と違いを理解し、自分に合った受験方法を選びましょう。
一般入試と推薦入試の違い
都立高校受験には「一般入試」と「推薦入試」という2つの経路があります。両者の違いを表と箇条書きでわかりやすく解説します。
◆ 一般入試と推薦入試の比較表
項目 | 一般入試 | 推薦入試 |
---|---|---|
選抜方法 | • 学力検査 • 調査書(内申点) • スピーキングテスト結果 • 面接・小論文など(実施校のみ) | • 学力検査なし • 集団討論・個人面接 • 小論文/作文 • 実技検査など |
出願条件 | • 特別な条件なし • 応募資格を満たせば誰でも出願可能 • 志願変更が1回可能 | • 中学校長の推薦が必要 • 志願高校を第1志望とすること • 志願変更不可 |
日程 | • 出願:1月30日〜2月5日 • 検査:2月21日 • 合格発表:3月3日 | • 出願:1月9日〜16日 • 検査:1月26日・27日 • 合格発表:1月31日 |
重視点 | • 学力検査の点数に大きな比重 • 内申点との比率は7:3または6:4 | • コミュニケーション能力 • 思考力・表現力 • 特定分野の能力や実績 |
◆ 一般入試の特徴
- 学力重視:5教科(芸術・体育学科は3教科)の学力検査が実施される
- 客観的評価:点数化された学力と内申点で合否が決まる
- 複数チャンス:志願変更制度があり、状況に応じて志望校を変更できる
- 広い対象:特別な実績や推薦がなくても受験できる
◆ 推薦入試の特徴
- 多面的評価:学力だけでなく、人物像や特技、意欲なども評価
- 早期決定:1月末に合否が決まり、合格すれば残りの期間を入学準備に充てられる
- 種類が多様:一般推薦、文化・スポーツ等特別推薦、理数等特別推薦がある
- 制約あり:中学校長の推薦が必要で、志願先は第1志望のみに限定される
推薦入試のメリット・デメリット
推薦入試には以下のようなメリットとデメリットがあります。
メリット
- 早期に合否が決まる:1月末に合格発表があるため、合格すれば残りの期間を入学準備に充てられます。
- 学力検査がない:筆記試験が苦手な生徒でも、日頃の努力や特技をアピールできます。
- 多面的な評価:学力だけでなく、コミュニケーション能力や意欲、特技なども評価の対象となります。
デメリット
- 中学校長の推薦が必要:中学校の成績や生活態度が良くないと推薦してもらえない可能性があります。
- 第1志望しか出願できない:志願変更ができないため、不合格の場合は一般入試に切り替える必要があります。
- 準備が大変:面接や小論文、集団討論などの対策が必要で、準備に時間がかかります。
どちらを選ぶべきか?
どちらの入試方法を選ぶべきかは、受験生の特性や志望校の状況によって異なります。以下のポイントを参考に検討しましょう:
一般入試が向いている生徒
- 学力に自信がある
- 筆記試験の方が力を発揮できる
- 複数の学校に出願したい(志願変更の可能性も含めて)
- 推薦入試の倍率が高い学校を志望している
推薦入試が向いている生徒
- 部活動や特別活動で実績がある
- 内申点が高い
- 面接や小論文などで自分をアピールできる
- 志望校が明確に決まっている
- 早めに進路を確定させたい
最終的には、自分の強みと弱み、志望校の入試状況(倍率や出題傾向など)を総合的に判断して決めるとよいでしょう。また、両方の入試にチャレンジするという選択肢もあります。推薦入試で不合格になった場合でも、一般入試に再チャレンジすることができます。
いずれの方法を選ぶにしても、早めの準備と計画的な学習が合格への近道です。中学校の先生や塾の講師など、専門家のアドバイスも積極的に取り入れながら、自分に合った受験戦略を立てていきましょう。
【合格への道標】都立高校一般入試の総まとめと攻略ポイント
2025年度(令和7年度)の都立高校一般入試について、日程から内申点計算方法、出願手続き、受験料、推薦入試との違いまで詳しく解説してきました。最後に、都立高校一般入試を成功させるための重要ポイントをまとめます。
◆ 都立高校一般入試攻略のポイント
時期 | 取り組むべきこと |
---|---|
中学3年の前半まで | • 定期テストで良い成績を取り、内申点を上げる • 実技4教科(2倍換算)も疎かにしない • 志望校研究を始め、過去問に触れてみる |
中学3年の夏休み〜秋 | • 志望校を絞り込む • 過去問分析と対策を本格化 • 自校作成問題実施校志望の場合は専門対策を |
中学3年の冬〜入試直前 | • 出願手続きの準備(インターネット出願の登録など) • 出願状況を確認し、志願変更の検討 • 弱点補強と過去問演習の反復 |
◆ 合格を勝ち取るための5つのアドバイス
- 学力検査と内申点のバランスを意識する
学力検査7:内申点3の比率を理解し、両方をバランスよく高める。特に内申点が低い場合は、学力検査でそれを補える得点力を養う。 - 志望校の出題傾向を徹底研究する
過去3〜5年分の入試問題を解き、傾向と対策を立てる。自校作成問題実施校は特に過去問研究が重要。 - 志願変更制度を賢く活用する
出願締切後の志願状況(倍率)を確認する。第一志望が厳しい場合は、合格可能性の高い学校への変更も検討。 - 面接や小論文対策も怠らない
学力検査以外の検査がある学校は、それらの対策も十分に行う。特に定時制課程は面接が必須のため、練習を重ねておく。 - スケジュール管理を徹底する
出願期間や検査日を確認し、スケジュールに余裕を持つ。特に出願書類の準備や手続きは早めに行う。
都立高校の一般入試は、学力を中心とした総合的な選抜方式です。内申点を上げる日々の努力と、学力検査に向けた計画的な学習を両立させることが合格への近道となります。この記事で解説した入試の仕組みを理解し、自分に合った戦略で受験に臨んでください。
最後に、進路選択は人生の大きな分岐点です。自分の将来を見据え、「なぜその高校に行きたいのか」という目的意識を持って取り組むことが、合格だけでなく入学後の充実した高校生活にもつながります。皆さんの合格を心より応援しています!