令和7年度東京都立高等学校入学者選抜合格発表
東京都教育委員会より「令和7年度東京都立高等学校入学者選抜合格発表」がリリースされました。
令和7年度東京都立高等学校入学者選抜合格発表
https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/information/press/2025/03/2025030301
商業、ビジネスコミュニケーションに関する学科の一般入試合格状況 | 高校別受検人数・合格人数・合格倍率

工業に関する学科の一般入試合格状況 | 高校別受検人数・合格人数・合格倍率

農業に関する学科の一般入試合格状況 | 高校別受検人数・合格人数・合格倍率

その他専門学科の一般入試合格状況 | 高校別受検人数・合格人数・合格倍率

総合学科の一般入試合格状況 | 高校別受検・合格人数・合格倍率

2025年度東京都立高校入試における専門学科の動向分析
専門学科の概況
2025年度(令和7年度)の東京都立高校入試における専門学科の状況を見ると、全体の合格倍率は1.14倍と前年度の1.16倍からやや低下しました。募集人員4,413人に対して受検人員は4,094人、合格人員は3,603人となっています。普通科の合格倍率1.30倍と比較すると、専門学科全体の競争率は低い傾向にあります。
学科別の特徴
専門学科の中で特に注目されるのは理数科で、募集人員72人に対して受検人員194人、合格倍率2.55倍と突出した人気を示しています。前年度の1.96倍からさらに競争率が上昇しており、理系進学への関心の高まりがうかがえます。
また、体育科(1.64倍)、芸術科(1.58倍)、国際科(1.46倍)も比較的高い競争率を維持しています。特に芸術科は前年の1.74倍から若干低下したものの、依然として人気のある学科です。
一方で、科学技術科(0.97倍)は定員割れとなっており、前年度の1.18倍から大きく減少しました。また、家庭科や福祉科、工業科(単位制)、水産科、併合科などでは競争がなく、合格倍率1.00倍となっています。
工業科は募集人員1,575人に対して受検人員1,166人、合格倍率1.06倍と前年度の1.09倍からほぼ横ばいです。商業科も1.06倍と低調な状況が続いています。
農業科は合格倍率1.22倍と前年度の1.15倍から若干上昇しており、比較的人気があります。一方、産業科は1.02倍と競争率は低い状況です。
私立無償化で二極化進む専門教育、理数科は存在感
2025年度都立高校入試における専門学科・総合学科の結果からは、2024年度から本格実施された私立高校無償化の影響が顕著に現れています。全体的に競争率が低下する中、特に職業教育系の専門学科では志願者減少が目立ちました。私立高校の選択肢が経済的負担なく広がったことで、就職に直結する専門教育を求める層の一部が私立へ流れた可能性が高いでしょう。
しかし、注目すべきは理数科の2.55倍という高い競争率です。これは前年比0.59ポイント増と大幅な上昇となっており、科学技術人材育成の社会的ニーズの高まりを反映しています。理数科においては私立無償化の影響をほとんど受けておらず、むしろ競争が激化しています。これは都立高校特有の理数教育の質の高さが評価されていることを示唆しています。
また、芸術科(1.58倍)、体育科(1.64倍)、国際科(1.46倍)など、特色ある専門教育を行う学科では比較的高い競争率が維持されています。これらの学科では、都立高校ならではの専門性の高い教育内容が、私立無償化の中でも差別化要因となっていると考えられます。
総合学科は1.20倍と専門学科全体(1.14倍)よりも若干高い競争率を維持しており、進路選択の柔軟性を重視する受験生に一定の支持を得ています。特に多様な科目選択と進路指導が充実している都心部の総合学科は人気を保っています。
一方で、工業科(1.06倍)、商業科(1.06倍)、家庭科(1.03倍)など、伝統的な職業教育系学科では競争率が低調です。これらの学科では実習設備や就職実績などの面で、私立専門高校との差別化が課題となっていると言えるでしょう。
今後の都立高校の専門学科・総合学科は、私立高校無償化の影響をさらに受ける可能性があります。差別化を図るためには、公立ならではの強みを生かした特色ある教育内容の充実や、大学進学と専門教育を両立させるカリキュラムの開発が重要になってくるでしょう。特に理数科のような進学実績と専門性を両立させた学科モデルは、今後の専門教育の方向性を示唆しています。
少子化と私立無償化という二重の課題に直面する中、都立高校の専門教育は選択と集中を迫られており、今回の入試結果はその過渡期を示す重要なデータとなっています。
<参照元>
ページ内のデータは東京都教育委員会発表資料・各高校のホームページやパンフレットを参照しています。しかしながら、参照したタイミングによっては速報データであったり、年度をまたぎ修正・変更となっている場合もありますので、正確なデータは東京都教育委員会、各都立高校の最新データをご確認ください。