東京都教育委員会より令和7年度東京都立高等学校入学者選抜応募状況(学力検査入学願書受付)が発表されました。
令和7年度東京都立高等学校入学者選抜応募状況(学力検査入学願書受付)
https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/information/press/2025/02/2025020702
工業や商業などの伝統的な専門学科では志願者確保に苦戦する一方、理数や国際、芸術など特色ある専門学科には高い人気が集まっています。
商業、ビジネスコミュニケーションに関する学科の一般入試(学力検査)概況 | 高校別募集人数・応募人数・倍率
商業科は、ビジネスに関する専門的な知識と技術を学ぶ学科です。簿記会計、情報処理、マーケティングなどの専門科目を通じて、将来のビジネスパーソンとして必要な実践力を養います。都立高校では7校に商業科、2校にビジネスコミュニケーション科が設置されています。

2025年度の商業・ビジネス系学科の入試応募状況をまとめると、最も高い倍率を示したのは第五商業の1.35倍、次いで千早高校の1.31倍となっています。
一方で、第一・第三商業は0.9倍を下回り、第四商業は0.66倍と定員割れの状況です。全体的に見ると、応募者数は前年度から大きく変動している学校が多く、特に葛飾商業は48人増の153人と大きく増加した一方、第三商業は58人減の91人と大幅な減少が見られました。
募集人員は各校とも前年度からほぼ変動がなく、99人から126人の範囲で安定的に設定されています。校長会調査時の志望倍率では、多くの学校が1.0倍前後となっており、比較的入学しやすい状況となっています。
工業に関する学科の一般入試(学力検査)概況 | 高校別募集人数・応募人数・倍率
工業科は、機械、電気、建築、情報技術など、様々な専門分野の知識と技術を学ぶ学科です。実習や課題研究を通じて実践的な技術を身につけ、将来の産業技術者の育成を目指します。都立高校では15校に工業科系の学科が設置されており、多様な専門分野に対応しています。

2025年度の工業系学科の応募状況をまとめると、募集人員は総じて少人数編成となっており、多くの学科で20~50人程度の募集となっています。
応募状況では、工芸高校の各科で比較的高い倍率が見られ、特にマシンクラフト科(1.52倍)、デザイン科(2.12倍)、グラフィックアーツ科(1.52倍)などが目立っています。一方で、多くの工業系学科で応募倍率が1.0倍を下回っており、全体的に厳しい募集状況となっています。
校長会調査でも、工芸高校の一部学科を除いて1.0倍を下回る学科が多く、比較的入学しやすい状況となっています。工業系学科全体として、専門性の高い教育内容にもかかわらず、志願者確保に課題を抱えている現状が浮き彫りとなっています。
農業に関する学科の一般入試(学力検査)概況 | 高校別募集人数・応募人数・倍率
農業科は、栽培、畜産、食品加工、環境など農業に関する専門的な知識と技術を学ぶ学科です。実習や課題研究を通じて、農業や食品産業で活躍できる人材を育成します。都立高校では瑞穂農芸、農産、園芸の3校に農業関連学科が設置されています。

2025年度の農業系学科の応募状況では、各学科とも20~50人程度の少人数での募集となっており、前年度からの募集人員の変動は見られません。
応募状況の特徴として、園芸高校の動物科で2.52倍、農産高校の都市園芸科で1.62倍、食品科学科で1.76倍と比較的高い倍率を示しています。また瑞穂農芸高校の畜産科学科でも1.88倍と突出した人気を集めています。
畜産や食品科学など、実生活に関連の深い分野で一定の志願者を集めており、専門高校としての特色を活かした募集状況となっています。
その他専門学科の一般入試(学力検査)概況 | 高校別募集人数・応募人数・倍率
都立高校には、水産、家庭、福祉、理数、芸術、体育、国際など、多様な専門学科が設置されています。これらの学科では、各分野の専門的な知識と技術を学び、将来のスペシャリストとしての基礎を築きます。

2025年度入試の応募状況を特徴的な学科ごとにまとめると、
■ 理数・科学技術系
- 立川創造理数科が4.57倍と全都立高校で最も高い倍率
- 多摩科学技術が1.46倍と安定した人気
■ 芸術系
- 総合芸術高校_美術が2.21倍と高い人気
■ 特色ある専門学科
- 大島海洋国際の水産科は1.12倍
- 赤羽北桜の介護福祉科は1.12倍と前年から大幅増
- 国際高校は1.89倍と依然として高い人気
全体的な傾向として、特色が明確で進路実績のある学科には一定の志願者が集まっている一方、八丈の農林・家政科(0.03倍)など、地理的要因や専門性による課題を抱える学科も見られます。校長会調査においても、学科による志願傾向の差が顕著となっています。
総合学科の一般(学力検査)入試概況 | 高校別募集人数・応募人数・倍率
総合学科は、普通教科と専門教科の両方を学び、生徒が自分の興味・関心や進路に応じて科目を選択できる学科です。都立高校では10校に設置されており、多様な進路希望に対応した柔軟な学習システムを特徴としています。

2025年度の総合学科の応募状況をまとめると、募集人員は各校とも136人から192人の範囲で、前年度からほとんど変動はありません。
応募状況では、総合学科としての特色が定着している杉並総合が1.79倍、晴海総合が1.69倍と比較的高い倍率となっています。また、東久留米総合が1.59倍と前年度から0.62ポイント上昇し、大きな伸びを見せています。一方で、半数の学校が1.0倍前後かそれを下回る応募状況となっており、学校間での差が見られます。
校長会調査時の調査では、晴海総合の1.45倍を最高に、多くの学校が0.8~1.3倍の範囲に収まっていました。全体として、学校や地域による志願動向の違いが顕著になってきており、各校の特色をどう打ち出していくかが課題となっています。
専門学科の二極化進む 理数・芸術系は高倍率、伝統的専門学科は苦戦
2025年度の専門学科入試では、立川創造理数科(4.57倍)や総合芸術高校美術(2.21倍)など、特色ある学科に高い人気が集中しました。一方で、工業科の多くが1.0倍を下回り、商業科も平均1.0倍前後と苦戦が続いています。
農業や水産など第一次産業関連の学科では、動物科(2.52倍)など一部に人気が集中する一方、多くの学科で定員割れとなっており、専門教育の在り方が問われる結果となりました。
総合学科では、晴海総合(1.69倍)や杉並総合(1.79倍)など都心部の学校に一定の人気がありますが、地域による志願傾向の差が顕著です。
専門高校全体として、社会ニーズや生徒の進路意識の変化に対応した教育内容の見直しと、特色ある学科づくりが課題となっています。
<参照元>
令和7年度東京都立高等学校入学者選抜応募状況(学力検査入学願書受付
https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/information/press/2025/02/2025020702
ページ内のデータは東京都教育委員会発表資料・各高校のホームページやパンフレットを参照しています。しかしながら、参照したタイミングによっては速報データであったり、年度をまたぎ修正・変更となっている場合もありますので、正確なデータは東京都教育委員会、各都立高校の最新データをご確認ください。