東京都教育委員会より令和7年度東京都立高等学校入学者選抜応募状況(学力検査入学願書受付)が発表されました。
令和7年度東京都立高等学校入学者選抜応募状況(学力検査入学願書受付)
https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/information/press/2025/02/2025020702
2025年度都立高校一般入試(学力検査)の応募状況の概況
学科別の応募状況
全日制課程全体の応募状況は、募集人員30,078人に対して応募者数38,739人で、応募倍率は1.29倍となりました。これは前年度の1.38倍から若干低下しています。
学科別の状況を見ると、
普通科は最も規模が大きく、募集人員23,999人に対して応募者数32,172人で、応募倍率は1.34倍でした。
専門学科では、理数科が3.18倍と最も高い倍率を示し、次いで芸術科の1.79倍、国際科の1.78倍と続きました。一方で、工業科(単位制以外)は0.78倍、工業科(単位制)は0.71倍、家庭科(単位制以外)は0.86倍、家庭科(単位制)は0.90倍、福祉科は0.68倍と、募集人員を下回る応募状況となりました。
特徴的な動きとしては、
- 併合科が0.10倍と極めて低い応募倍率
- 商業科が0.99倍とほぼ募集人員通りの応募状況
- 農業科が1.32倍と堅調な応募状況
また、チャレンジスクール(定時制課程単位制総合学科)と定時制課程単位制普通科(チャレンジ枠)については、募集人員1,490人に対して応募者数2,068人で、応募倍率は1.39倍となっています。
全体的に見ると、前年度と比較して応募倍率は若干低下傾向にあるものの、普通科を中心に一定の競争倍率を維持している状況が見られます。
2025年度都立高校一般入試(学力検査)の応募状況一覧(普通科+α)
23区都心部の高校の一般入試の応募倍率一覧

対象高校
- 千代田区:日比谷高校
- 港区:三田高校
- 新宿区:戸山高校、新宿高校
- 文京区:竹早高校、向丘高校
- 渋谷区:青山高校、広尾高校
- 豊島区:豊島高校、文京高校
募集人員の変動
- 広尾高校が28人増の185人に拡大
- 竹早高校が32人増の209人と大幅増員
- その他の高校は前年度同様の募集人員を維持
応募人員の特徴的な動き
- 新宿高校が前年度から182人減の544人と急減
- 向丘高校も102人減の346人と大きく減少
- 一方で戸山高校は38人増の540人、日比谷高校も43人増の508人と増加
- 豊島高校は562人と都心部最多の応募者数を維持
応募倍率の変化
- 豊島高校が2.23倍と都心部で最高の倍率を記録
- 戸山高校は2.14倍と上昇傾向(+0.15)
- 新宿高校は2.56倍から1.92倍へと大きく低下(-0.64)
- 向丘高校も2.04倍から1.57倍へと低下(-0.47)
都心部の入試動向は、豊島・戸山・日比谷といった伝統校が安定した人気を保つ一方で、新宿高校の大幅な志願者減少が特徴的です。広尾・竹早での募集人員増加は、都心部での需要に応える調整と見られます。実質倍率を見ると、豊島の2.19倍を筆頭に各校とも競争性の高い入試となることが予想されます。
23区東部の高校の一般入試の応募倍率一覧

対象高校
- 台東区:上野高校、忍岡高校
- 墨田区:日本橋高校、本所高校、墨田川高校
- 江東区:城東高校、東高校、深川高校(普通科・外国語コース)
- 荒川区:竹台高校
- 足立区:青井高校、足立高校、足立新田高校、足立西高校、足立東高校、江北高校、淵江高校
- 葛飾区:葛飾野高校、南葛飾高校
- 江戸川区:江戸川高校、葛西南高校、小岩高校、小松川高校、篠崎高校、紅葉川高校
募集人員の変動
- 大幅な減員:竹台(-28人)、城東(-32人)、東(-32人)、足立(-32人)
- その他の学校は前年度と同じ募集人員を維持
応募人員の特徴的な動き
大幅な減少が目立つ学校
- 城東高校:-178人(557人→379人)
- 本所高校:-107人(395人→288人)
- 潤江高校:-108人(233人→125人)
- 青井高校:-97人(173人→76人)
増加した学校は少なく、江北(+36人)、深川(+15人)、小岩(+9人)、南葛飾(+6人)の4校のみとなりました。
応募倍率の変化
- 2.0倍以上:上野(2.02倍)
- 1.5倍以上:深川(1.72倍)、小岩(1.72倍)、江北(1.67倍)、竹台(1.57倍)、南葛飾(1.57倍)、東(1.51倍)、江戸川(1.50倍)、城東(1.50倍)、足立(1.52倍)など
- 1.0倍未満:忍岡(0.85倍)、青井(0.54倍)、足立新田(0.90倍)、淵江(0.70倍)、篠崎(0.78倍)、葛西南(0.57倍)
- 前年度から0.5ポイント以上低下:本所(-0.57)、青井(-0.72)、淵江(-0.60)
23区東部地域では、多くの学校で募集人員の減員や応募者数の減少が見られ、全体的に厳しい状況です。特に青井、淵江、葛西南などでは応募倍率が1.0倍を下回っています。一方で、上野、竹台などは依然として高い人気を保っており、学校間での二極化が進んでいると言えます。校長会調査でも、上野(1.81倍)や江北(1.73倍)、竹台(1.73倍)が高い水準を維持している一方、多くの学校が1.0倍前後となっており、地域内での学校選択に大きな差が生じています。
23区西部の高校の一般入試の応募倍率一覧

対象高校
- 品川区:大崎高校、小山台高校、八潮高校
- 目黒区:駒場高校、目黒高校、国際高校(一般)
- 大田区:大森高校、蒲田高校、田園調布高校、雪谷高校、美原高校
- 世田谷区:桜町高校、千歳丘高校、深沢高校、松原高校、芦花高校
- 中野区:鷺宮高校、武蔵丘高校
- 杉並区:杉並高校、豊多摩高校、西高校
- 北区:飛鳥高校
- 板橋区:板橋高校、大山高校、北園高校、高島高校、板橋有徳高校
- 練馬区:井草高校、石神井高校、田柄高校、練馬高校、光丘高校、大泉桜高校
募集人員の変動
- 大幅減員:駒場(-32人)、大森(-35人)、大山(-32人)
- 若干の増減:八潮(+20人)、田園調布(+8人)、田柄(-5人)
- その他の学校は前年度同様の募集人員を維持
応募人員の特徴的な動き
大幅な減少
- 目黒高校が119人減の255人
- 杉並高校が115人減の308人
- 井草高校が100人減の311人
顕著な増加
- 豊多摩高校が95人増の572人
- 松原高校が85人増の231人
- 鷺宮高校が43人増の388人
- 飛鳥高校が30人増の178人
応募倍率の変化
- 2.0倍以上:豊多摩(2.27倍)、駒場(2.08倍)、芦花(2.07倍)
- 大幅な低下:目黒(-0.63)、国際_一般(-0.63)、田園調布(-0.57)
- 1.0倍未満:八潮(0.73倍)、大森(0.44倍)、大山(0.69倍)、田柄(0.81倍)、光丘(0.72倍)
23区西部では、豊多摩・駒場・芦花といった一部の人気校が2倍以上の高倍率を維持する一方、多くの学校で応募者数の減少が見られます。特に目黒や杉並など従来の人気校での志願者減少が顕著です。また、八潮・大山など1.0倍を下回る学校も複数あり、学校間での二極化が進んでいる状況が浮き彫りになっています。校長会調査時の第一志望倍率でも豊多摩(1.79倍)、石神井(1.88倍)などが高い水準を示す一方、多くの学校で1.0倍前後となっており、地域内での志願動向に大きな差が生じています。
多摩地区(北多摩)の高校の一般入試の応募倍率一覧

対象高校
- 立川市:立川高校(普通科、創造理数科)
- 武蔵野市:武蔵野北高校
- 府中市:府中高校、府中西高校、府中東高校
- 昭島市:昭和高校、拝島高校
- 調布市:神代高校、調布北高校、調布南高校
- 小金井市:小金井北高校
- 小平市:小平高校(普通科、外国語コース)、小平西高校、小平南高校、多摩科学技術高校
- 東村山市:東村山高校、東村山西高校
- 国分寺市:国分寺高校
- 国立市:国立高校
- 狛江市:狛江高校
- 東大和市:東大和高校、東大和南高校
- 清瀬市:清瀬高校
- 東久留米市:久留米西高校
- 武蔵村山市:武蔵村山高校、上水高校
- 西東京市:田無高校、保谷高校
募集人員の変動
- 増員:府中(+32人)、府中西(+2人)
- 減員:小平(-32人)、狛江(-32人)
- その他の学校は前年度と同様の募集人員を維持
- 立川の創造理数科は推薦で充足しなかった分増員で35人
応募人員の特徴的な動き
<大幅に増加した学校>
- 立川_創造理数科が68人増の160人
- 国分寺が69人増の429人
- 神代が50人増の526人
<大幅に減少した学校>
- 府中が102人減の333人
- 府中東が67人減の303人
- 小平南が77人減の290人
応募倍率の変化
<高倍率を維持している学校>
- 最高倍率:立川_創造理数科(4.57倍、前年比+1.86)
- 2.0倍以上:神代(2.09倍)
- 1.5倍以上:立川_普通科(1.60倍)、国分寺(1.70倍)、狛江(1.85倍)
- 1.0倍未満:小平外国語コース(0.74倍)、東村山西(0.84倍)、東大和(0.91倍)、拝島(0.91倍)
多摩北部では、立川高校の人気が際立っており、創造理数科は4.57倍という高倍率を記録しています。尚、普通科も1.6倍と高倍率ですが、創造理数科との併願が可能なため、仮に創造理数科の不合格者がすべて普通科にも併願出願していると仮定すると、募集220人に対し、応募476人となり応募倍率2.16倍という高倍率となります。
また、神代・狛江・国分寺などの人気校も安定した志願状況を維持しています。一方で、府中・小平南など一部の学校では志願者が大きく減少し、地域内での学校選択に明確な志向の違いが見られます。校長会調査でも立川創造理数科(2.05倍)、神代(1.95倍)が高水準である一方、1.0倍前後の学校も多く、学校間での差が顕著になっています。
多摩地区(南・西多摩)+島しょ部の高校の一般入試の応募倍率一覧

対象高校
- 八王子市:片倉高校(普通、造形美術コース)、八王子北高校、八王子東高校、富士森高校、松が谷高校(普通、外国語コース)、翔陽高校
- 町田市:小川高校、成瀬高校、野津田高校、町田高校、山崎高校
- 日野市:日野高校、日野台高校、南平高校
- 多摩市:永山高校
- 青梅市:多摩高校
- 福生市:福生高校
- 羽村市:羽村高校
- あきる野市:秋留台高校、五日市高校
- 島しょ部:八丈高校
募集人員の変動
- 大幅減員:松が谷(-32人)、羽村(-29人)
- 若干の増減:翔順(+5人)、五日市(-9人)
- その他の学校は概ね前年度同様の募集人員を維持
応募人員の特徴的な動き
<増加した学校>
- 成瀬が93人増の328人
- 八王子東が46人増の376人
<大きく減少した学校>
- 日野が112人減の371人
- 永山が86人減の219人
- 町田が83人減の284人
- 秋留台が74人減の112人
応募倍率の変化
- 1.4倍以上:八王子東(1.49倍)、成瀬(1.48倍)、日野(1.47倍)、南平(1.43倍)
- 0.5倍未満:五日市(0.45倍)、多摩(0.49倍)、八丈(0.36倍)
- 大きく低下:山崎(-0.47)、永山(-0.39)、秋留台(-0.55)
多摩南部・西部、島しょ部地域では、八王子東や成瀬など一部の学校で志願者増加が見られる一方、全体的には厳しい状況が続いています。特に多摩・五日市・八丈など0.5倍を下回る学校が複数あり、地域による志願動向の差が顕著です。校長会調査でも松が谷(1.49倍)、日野(1.45倍)など一部の学校を除き、多くの学校が低い倍率となっており、地域内での学校選択に大きな偏りが生じています。
進学指導重点校・特別推進校・推進校の応募状況(募集人員・応募人員・応募倍率)



【募集人員の変動】
- 駒場が32人減の220人と大幅減員
- 竹早が32人増の209人と大幅増員
- 立川_創造理数科が1人増の35人
- その他の学校は前年度同様の募集人員を維持
【応募人員の特徴的な動き】
- 立川創造理数科が68人増の160人と急増、豊多摩が95人増の572人と大幅増
- 顕著な減少:新宿が182人減の544人と大幅減、城東が178人減の379人と大幅減
【応募倍率の変化】
- 最高倍率:立川_創造理数科(4.57倍、前年比+1.86)
- 2.0倍以上: 戸山(2.14倍)、青山(2.04倍)、上野(2.02倍)、日比谷(2.01倍)、駒場(2.08倍)、豊多摩(2.27倍)
進学指導指定校全体として、依然として高い応募倍率を維持しています。特に立川創造理数科の人気が際立っており、4.57倍という突出した倍率となっています。新宿や城東で志願者が大幅に減少した一方、豊多摩や立川では増加しており、学校選択の傾向に変化が見られます。校長会調査でも、立川創造理数科(2.05倍)を筆頭に、多くの学校が1.5倍以上を維持しており、進学指導指定校としての高い競争力を示しています。
二極化が進む都立高校入試|進学指導重点校は高倍率維持、地域校は定員割れも
今年度の都立高校入試は、地域による志願動向の差が一層顕著になりました。立川創造理数科(4.57倍)や豊多摩(2.27倍)、戸山(2.14倍)など、進学指導指定校は軒並み2倍前後の高い倍率を維持。一方で、23区東部や多摩地域の一般校では応募者が大幅に減少し、定員割れとなる学校も散見されます。
学校選択の傾向として、都心部や進学実績の高い学校への志向が強まる一方、地域の進学校でも志願者の減少が見られるなど、各校の特色や進路実績による選別が進んでいます。また、今年は募集人員の調整も多く見られ、教育環境の変化への対応が進められています。
入試は2月21日に実施され、3月3日に合格発表を迎えます。各校の校長会調査を見ると、応募倍率ほどの開きはないものの、依然として学校間での差が大きく、受験生の慎重な学校選択が求められる状況となっています。
<データ参照元>
令和7年度東京都立高等学校入学者選抜応募状況(学力検査入学願書受付)
https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/information/press/2025/02/2025020702
ページ内のデータは東京都教育委員会発表資料・各高校のホームページやパンフレットを参照しています。しかしながら、参照したタイミングによっては速報データであったり、年度をまたぎ修正・変更となっている場合もありますので、正確なデータは東京都教育委員会、各都立高校の最新データをご確認ください。