東京都立高校入試を目指す中学生にとって、内申点は合否を大きく左右する重要な要素です。特に一般入試においては、内申点の換算方法を正しく理解し、日々の学習や学校生活にどのように反映されるかを把握しておく必要があります。本記事では、内申点の仕組みから具体的な計算方法、そして効果的な対策まで、詳しく解説していきます。
都立高校入試概要について
都立高校入試には、主に推薦入試と一般入試の二つの選抜方法があります。それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
推薦入試について
都立高校の推薦入試は、学力検査(いわゆる学力テスト)を行わず、一般入試より早い1月下旬に実施される入試制度です。推薦入試には「一般推薦」「文化・スポーツ等特別推薦」「理数等特別推薦」の3種類があります。一般推薦は基本的な成績基準を満たし、中学校長の推薦があれば受験可能です。文化・スポーツ等特別推薦は部活動などでの実績が評価され、理数等特別推薦では科学的な取組に関するレポートの提出が求められます。
推薦入試の合否判定について
- 調査書、面接、作文・小論文・実技などの結果を点数化
- 総合成績の高い順に合格者を決定
- 調査書点の割合は総合成績の50%まで
ほとんどの高校では5段階評定が調査書点(内申点)として使用されるため、日頃の学習成績が重要な判断材料となります。
一般入試について
都立高校の一般入試(第一次募集・分割前期募集)は、学力検査、調査書、英語スピーキングテスト(ESAT-J)の結果を総合的に評価して合否を判定します。全日制課程では、原則として5教科(国語・数学・英語・社会・理科)の学力検査が実施されます。ただし、芸術科・体育科では3教科(国語・数学・英語)での実施となります。
一般入試の配点と成績算出方法
総合得点は1020点満点で、以下の要素で構成されます。
- 学力検査と調査書(1000点満点)
学力検査:700点(5教科実施の場合)、調査書:300点。比率は原則「7:3」(芸術科・体育科は「6:4」) - 英語スピーキングテスト[ESAT-J](20点満点)
A評価:20点 B評価:16点 C評価:12点 D評価:8点 E評価:4点 F評価:0点
一般入試の調査書点の算出方法
調査書点は、3年次2学期の9教科の評定を以下の方法で換算します。
- 主要5教科(国語・数学・英語・社会・理科):そのまま合計
- 実技4教科(音楽・美術・保健体育・技術家庭):2倍して合計
- 算出した換算内申を300点満点(一部400点満点)に換算
以上の要素を総合的に判断し、総合得点(総合成績)の高い順に合格者を決定します。なお、定時制課程では各校で入試科目数(3~5教科)や学力検査と内申の比重(7:3または6:4)を選択できる仕組みとなっています。
内申点とは
内申点は都立高校入試において、生徒の3年間の学習成果を評価する重要な指標です。正式には「評定」と呼ばれ、中学校の通知表に記載される9教科(国語、数学、英語、社会、理科、音楽、美術、保健体育、技術家庭)の成績を5段階で評価したものです。この評価は「調査書」として高校に提出され、入試の合否判定に大きく影響します。
内申点には「素内申」と「換算内申」の2種類があります。
- 素内申は9教科の評定をそのまま合計した点数で、45点満点となります。これは主に推薦入試の出願基準として使用され、学校によって必要な点数が異なります。
- 換算内申は都立高校の一般入試で使用される評価方法です。学科試験が実施される5教科(国語、数学、英語、社会、理科)の評定合計に、実技4教科(音楽、美術、保健体育、技術家庭)の評定合計を2倍にした点数を加えて算出します。この換算内申は65点満点となり、最終的に300点満点に換算されて調査書点として使用されます。
換算内申の計算方法
換算内申の計算は、以下の手順で行われます。まず、学科試験が実施される5教科の評定を合計します。例えば、国語5、数学4、英語4、社会4、理科3の場合、そのまま足して合計は20点となります。
次に、実技4教科の評定を合計し、その数値を2倍します。例えば、音楽4、美術3、保健体育5、技術家庭4の場合、合計16点を2倍して32点となります。
これらの点数を合計(例:20点+32点=52点)したものが換算内申点となります。最後に、この点数を300点満点に換算します。換算内申の満点は65点(5教科:5×5=25、4教科:5×4×2=40。25+40=65)ですので、計算式は「換算内申点÷65×300」です。上記の例では、52÷65×300=240点となります。
- 5教科:5(国)+4(数)+4(英)+4(社)+3(理)=20
- 4教科:4(音)+3(美)+5(保体)+4(技家)=16 ⇒ 2倍する:16 × 2 = 32
- 換算内申:20(5教科)+32(実技4教科)= 52
- 300点換算:52 ÷ 65 × 300 = 240
もう少しサンプルを見てみましょう。下記サンプルAとサンプルBを比較すると、主要5教科、9教科素内申はサンプルAの方が合計値は高いですが、換算内申にすると実技4教科で点数を稼いだサンプルBの方が高くなり、当日点の300点換算をすると14点の差がつくことになります。


この計算方法からわかるように、実技4教科の評定も内申点に大きく影響します。したがって、学科試験に出る5教科だけでなく、実技教科も疎かにせず、しっかりと取り組むことが重要です。
素内申・換算内申・300点換算の対照表
都度計算するのがめんどくさいという方のために、素内申・換算内申・300点換算の対照表を作成しました。主要5教科の合計点と実技4教科の合計点がクロスするところが対象の値となります。オール2、オール3、オール4、オール5は色を濃くしてありますので、参考にしてください。
- 黄色:素内申(9~45)
- 緑:換算内申(13~65)
- オレンジ:300点換算(60~300)

中3の2学期の内申が重要
内申点として反映されるのは、3学期制の学校では中学3年生の2学期末までの成績、2学期制の学校では3年生の後期中間までの成績です。つまり、11月頃までの成績が最終的な評価対象となります。
この時期が特に重要視される理由はいくつかあります。まず、多くの生徒が部活動を引退し、学習に集中できる環境が整う時期です。また、学習内容も高校入試に直結する重要な単元が多く含まれています。さらに、この時期の成績は志望校選択の最終判断材料としても活用されるため、慎重な対応が必要です。
ただし、3年生の2学期になってから慌てて対策を始めても効果は限定的です。内申点は日々の積み重ねによって形成されるものであり、1年生から継続的な努力が必要です。特に、数学や英語などの積み上げ型の教科では、過去の学習内容の理解が現在の成績に大きく影響します。
内申点アップのためのポイント
内申点を効果的に向上させるためには、複数の観点からの取り組みが必要です。
まず、定期テスト対策が最も重要です。テストの範囲が発表されたら、すぐに学習計画を立て、計画的な準備を始めることが大切です。過去問題を活用して出題傾向を把握し、弱点分野を重点的に学習します。特に実技教科のテストも軽視せず、理論問題の対策もしっかり行いましょう。
提出物や課題への取り組みも評価の重要な要素です。提出期限を必ず守り、内容も丁寧に仕上げることが大切です。追加の課題が出された場合も、積極的に取り組む姿勢を見せましょう。
授業態度も内申点に大きく影響します。授業中は積極的に発言し、分からないことがあれば躊躇せず質問をすることが推奨されます。ノートは板書だけでなく、教師の説明も含めて詳しく記録し、復習に活用できるようにしましょう。グループワークでは、自分の意見を述べるだけでなく、他の生徒の意見にも真摯に耳を傾け、協調性も示すことが大切です。
小テスト対策も忘れてはいけません。特に英単語テストや漢字テストなど、定期的に実施される小テストは、毎回確実に準備をし、高得点を維持することで、定期テストの点数アップにもつながります。
実技教科への取り組みも重要です。実技の基本的なスキルを着実に身につけ、授業にも積極的に参加しましょう。また、理論テストの対策も怠らず、総合的な評価の向上を目指します。
最後に、担任の先生や教科担当の先生との相談を活用することをお勧めします。定期的な面談で具体的な改善点を確認し、効果的な学習方法についてアドバイスを得ることができます。また、志望校に関する情報収集も、先生方のサポートを受けながら進めることができます。
まとめ
内申点は都立高校入試において、合否を左右する重要な要素です。特に一般入試では総得点の約3割を占めるため、その重要性を十分に理解し、計画的な対策を立てることが必要です。
換算内申の計算方法を正しく理解し、国数英理社の5教科はもちろん、実技4教科も含めたバランスの取れた学習を心がけましょう。特に中学3年生の2学期は、内申点が確定する重要な時期となるため、定期テスト対策や日々の授業態度、提出物の質など、あらゆる面での努力が求められます。
また、内申点アップのためには、単なるテスト対策だけでなく、授業への積極的な参加や提出物の質向上など、総合的な取り組みが必要です。早い段階から計画的に準備を進め、志望校合格に向けて着実に内申点を積み上げていきましょう。

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